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富士通の電子ペーパー端末「QUADERNO」を1カ月使って分かったことScanSnapからの直接取り込みにも対応(1/4 ページ)

「QUADERNO」(クアデルノ)は、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)のE Ink電子ペーパー端末だ。軽量で長時間駆動、見やすい画面に加えてペーパーレス化の機能を強化した新バージョンをチェックした。

 富士通クライアントコンピューティング(FCCL)のE Ink電子ペーパー端末「QUADERNO」(クアデルノ)が、最新のアップデートによってドキュメントスキャナ「ScanSnap」からの直接取り込みに対応した。書類をダイレクトにPDFとして取り込むことで、身近な書類をペーパーレス化しての持ち運びがはかどるというわけだ。

 今回は、A4版とA5版という2つのサイズのうち、後者のA5サイズ版(FMV-DPP04)を使ってScanSnapとの連携方法の他、電子ペーパー端末としての使い勝手もチェックする。


「QUADERNO(クアデルノ)」。最新のアップデートにより、ドキュメントスキャナ「ScanSnap」からの直接取り込みが可能になった

薄くて軽くて画面も高精細

 最初に本製品がどのような製品なのか、概要をざっと紹介しよう。

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 本製品は一言でいうと、スタイラスペンによる手書き入力が可能なノート端末だ。一般的なけい線入りのノートから方眼、無地までさまざまなテンプレートが用意されている他、五線譜や原稿用紙などの追加テンプレート、さらにはスケジュール帳までもダウンロードして使うことができる。

 PDF(PDF 1.7準拠)に対応していることも大きな特徴だ。多くのノートデバイスでは、デバイス内では独自フォーマットで管理し、外部へのエクスポート時にPDFやJPGへと変換することが多いが、本製品は内部でもPDFのまま扱うので、外部からPDFを取り込んで表示するのも容易だ。また付属のペンを使っての書き込みにも対応する(詳細は後述)。

 PDFビューアは見開き表示に対応し、右とじと左とじの切り替えも行えるなど、カユいところに手が届く機能がそろっている。ただし電子書籍ストアアプリが使えるわけではないので「電子書籍が読める」という表現は違和感がある。自炊した書籍PDFなど、DRMなしのPDFに限定される点は注意したい。


A4モデル(13.3型)とA5モデル(10.3型)が存在する。今回はA5モデルを試用する

本体は厚さが約5.9mmとスリムだ。側面にはペンをマグネットで吸着させられる

ペンで筆記中。スクリーンはザラザラしており、書き心地は紙に近い

さまざまなテンプレートが用意される。クラウドから追加することも可能だ

本体上部中央にホームボタンがある。電源ボタンを除けば、唯一となる物理ボタンだ

画面上部に表示されるのがホームメニューという扱い。ドキュメントやノートの呼び出しに加え、後述するScanSnapからの取り込みもここから行う

 さて、そんな本製品を前知識ゼロで使ってみて、驚くことは主に3つある。1つはボディーの薄さと軽さだ。今回試用しているA5モデルは、現行のiPad(第7世代)とほぼ同じ面積ながら、厚みはiPadの約7.9mmをはるかに下回る約5.9mmとなる。現行スマートフォンのほとんどの機種より薄く、バッグの中に入れておくと、書類の間に挟まって行方不明になりかねない。

 さらに重量も約251gと、現行のiPad(約483g)の半分ほどで済む。手に持っていてもフワフワして落ち着かないほどだ。


第7世代iPad(右)との比較。サイズはほぼ同じだ

ボディー底面に電源ボタン、microUSBポートなどを備える。本体は薄い割には強度もあり、軽くひねった程度ではボディーのねじれはほとんど感じない

上はiPadとの厚み比較。端が薄くなっているせいもあるが、本製品の方が明らかに薄い。下は本製品と同じE Ink端末であるKindle Oasis(厚さは3.4~8.3mm)との比較。こちらはやや分が悪い

 もう1つ、E Ink電子ペーパーのクオリティーの高さも特筆できる。筆者は過去にKindleや楽天Kobo、ソニーのReaderといった読書端末、前回紹介したOnyxのBOOXシリーズ、さらにはポメラ「DM30」やシャープの電子ノート「WG-PN1」に至るまで、さまざまな電子ペーパー製品に触れてきたが、同じ16階調グレースケールでありながら、本製品におけるスクリーンの粒子感のなさは驚きだ。特に黒ベタの美しさは感動的ですらある。


表示したドキュメントを拡大したところ。細かい文字でも高精細な表示が可能だ

ページをめくるたびにリフレッシュされるせいもあるが、黒ベタは残像もなく、その美しさは傑出している

 一方で、使っていると気になる部分も出てくる。

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