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富士通の電子ペーパー端末「QUADERNO」を1カ月使って分かったことScanSnapからの直接取り込みにも対応(2/4 ページ)

「QUADERNO」(クアデルノ)は、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)のE Ink電子ペーパー端末だ。軽量で長時間駆動、見やすい画面に加えてペーパーレス化の機能を強化した新バージョンをチェックした。

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欠かせないPCのユーティリティー

 一方、悪い意味での驚きもある。それはWi-Fiの設定を1つ行うにしても、PCと有線接続してユーティリティーで行わなくてはいけないことだ。十数年前の電子ブックリーダーならいざ知らず、今になってこいった製品にお目にかかるのは驚きだ。Wi-Fiごと非搭載ならまだしも、そうではないだけに首をひねりたくなる。

QUADERNO
本製品は、Wi-Fi接続機能自体を持っているにもかかわらず、SSIDの検索も、パスワードの入力も行えない
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PC専用ユーティリティーの「Digital Paper PC App」でWi-Fi設定を行うと、後述のScanSnapと連携するためのワイヤレス通信がようやく可能になる

 いったんWi-Fiを設定してしまえば、PCとのデータ転送はUSBケーブルをつなぐ必要はなくなるが、それでも必ずユーティリティーを経由しなくてはならない。定期的にデータを同期できるなど一定の機能は備わっているものの、以前紹介した「BOOX」が、Google Playストアを利用でき、オンラインストレージアプリ経由でクラウドと直接データをやりとりできたのとは対照的だ。

 そうした点からは、本製品はどちらかと言うと、シャープの電子ノート「WG-PN1」に性格的に近い。この製品との比較なら、PDFが扱える分、本製品の方が多機能だ。汎用(はんよう)的なタブレットではなく、電子ノートをベースに、プラスαの機能を付け加えた製品であることを把握しておかないと、購入してから後悔しかねない。

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PC用のユーティリティーで本製品のストレージ領域を表示しているところ。PDFをドラッグ&ドロップすると転送される。ちなみにユーザー使用可能領域は約11GBある

ScanSnapから直接取り込みが可能、手順は至ってスムーズ

 さて、そんな本製品に今回加わったのが、ScanSnapと直接連携しての書類取り込み機能だ。これがあればPCレスで、ScanSnapからダイレクトに書類を取り込んで持ち歩ける。例えば事前配布された紙資料を取り込んでおき、会議やミーティングにはペーパーレスで出席し、メモやノートは本製品上で取るなどの使い方が考えられる。

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PFUのドキュメントスキャナ「ScanSnap」。今回は「iX1500」を使用した

 本機能の利用にあたっては、あらかじめPCの専用ユーティリティーを使って、本製品にWi-Fiを設定しておく。それ以降、PCは不要で本製品のメニューから「ScanSnapから取り込む」を選択すると、ネットワーク内にあるScanSnapが検出される。ScanSnapの接続対象がPCではなく、本製品になるイメージだ。

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Wi-Fi設定を完了させた後、メニュー左下にある「ScanSnapから取り込む」をタップする
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正しく設定されていれば、ここにネットワーク内のScanSnapが表示される。下段で読み取りオプションを選択する

 後はScanSnapに原稿をセットし、本製品の画面の下部にある「スキャン」ボタンをタップすることでスキャンが開始され、書類データが画面に表示される。スキャンデータは、本体メモリ内の「Received」というフォルダに格納される。前述のScanSnapの検出がスムーズに行けばという前提だが、手順は至ってスムーズで、迷う余地は全くない。よくできている印象だ。

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ScanSnapに原稿をセットする。このiX1500は両面スキャンに対応している
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「スキャン」ボタンをタップすると取り込みが実行される
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取り込まれたスキャンデータの一覧。PDFとして保存されていることが分かる
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データを表示したところ。モノクロで表示されているが、データそのものはカラーで取り込まれている

 読み取りオプションは「片面/両面の指定」「白紙削除」「裏写り軽減」と少なく、傾き補正や回転はもちろん、解像度やカラーモードの指定もできない。本製品側だけでなく、ScanSnap側でもこれらを設定することはできない。またOCR処理も施されておらず、画像PDFとして転送される。

 つまり手軽さを最優先させた仕様なのだが、個人的にはこれで正しいと思う。本製品はストレージではなくビューアであり、データの永続的な保管場所ではないからだ。あくまでも本製品上で参照、書き込みを行うためのPDFの生成が目的であり、それを良しとするのであれば便利に活用できるだろう。

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