今ベストな「5万円台スト5PC」の形を再考する【追加ベンチマーク編】:お手軽ゲーミングPCの道(4/5 ページ)
2020年3月からスタートした本連載だが、この4カ月間で外部環境が大きく変化した。それらの最新動向をチェックしつつ、初号機のAMDモデルに加え、弐号機のIntelモデルを作り、格安ゲーミングPCの勘所を探った。
CPUとGPUを組み合わせた価格を確認
さて、測定結果の考察に移る前に、今回の「ベンチマーク追加編」で性能測定対象として引っ張ってきたパーツ類を組み込んだ際に、本連載の看板キーワード「5万円台」に適合しているかを検証しておこう。
なお、3月の「パーツ選定編」時で選定されたパーツの合計金額はCPUをRyzen 5 1600としたときに、総計が約5万6500円だった。
CPUとGPUの組み合わせと実売価格 | ||
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CPU | GPU | その他パーツを含めた価格 |
Ryzen 5 1600AF(約1万1000円) | Radeon RX 570/4GB(約1万5000円) | 約5万6500円 |
Ryzen 5 1600AF(約1万1000円) | Radeon RX 5500 XT/8GB(約2万4000円) | 約6万5500円 |
Ryzen 5 1600AF(約1万1000円) | GeForce GTX 1660/6GB(約2万3000円) | 約6万4500円 |
Core i5-9400F(約1万7000円) | Radeon RX 570/4GB(約1万5000円) | 約6万2500円 |
Core i5-9400F(約1万7000円) | Radeon RX 5500 XT/8GB(約2万4000円) | 約7万1500円 |
Core i5-9400F(約1万7000円) | GeForce GTX 1660/6GB(約2万3000円) | 約7万0500円 |
こうして見ると、5万円台に収まるのは「CPUをRyzen 5 1600AF(約1万1000円)、GPUをRadeon RX 570/4GB(約1万5000円)とした場合」だけに限られ、それ以外は6万円台、7万円台に達してしまう。ストVがもらえる「Unleash Your Brilliance」キャンペーンを利用し「ストV購入コスト分の3990円分を得する」と見なすと、「CPUをCore i5-9400F(約1万7000円)とし、GPUをRadeon RX 570/4GB(約1万5000円)とした場合」の価格が約5万8510円となり、ギリギリ“事実上の5万円台”に収まる。
ベンチマーク結果から見えてくる各CPUと各GPUの特質
では、実際に、ベンチマークテストを実行しての結果を示す。
なお、IntelプラットフォームでなぜかファイナルファンタジーXIVベンチマークがうまく動かなかったため、ストリートファイターVベンチマーク(ストVベンチ)、ファイナルファンタジーXVベンチマーク(FFXVベンチ)、PCMark 10、CINEBENCH R20の4つの測定結果をまとめている。まぁ、ファイナルファンタジーXIVは古めのベンチなので、今回をもってお役御免と言うことでいいだろう。
表1は、オリジナル(初号機)の「5万円台スト5PC」のGPUとして選定したRadeon RX 570/4GBと、各CPUを組み合わせた時の結果をまとめたものになる。
ストVベンチは最高設定での測定だが、その結果は「どのCPUでもほぼ60fpsに達成している」と見なせるものとなった。「59fps+小数点以下の端数」は単なる測定誤差と見て良いと思う。まあ、ここから見えるのは、Radeon RX 570/4GBであればどのCPUでもストVは十分に動くということだ。
FFXVベンチについては、Core i5-9400Fが優秀だ。FFXVベンチはグラフィックス負荷のみを計測するテストだが、CPUの違いだけでスコアがそこそこばらつくのは興味深い。FFXVベンチはグラフィックスエンジンがDirectX12ベースではなく、DirectX11ベースなので、ここが結果に影響しているのかもしれない。
どういうことかというと、DirectX11の描画コマンド成形処理系がシングルスレッド性能に依存した設計となっているため、この方面に強いIntel系CoreプロセッサのCore i5-9400Fが優秀なスコアを出したのではないか、ということだ。同じRyzen系でもIPC(Instruction per Clock)効率が改善された、世代の新しいCPUが高いスコアを収めている点からもその傾向が読み取れる。
PCMark10は複合要素テストなのでスコアだけを見ての分析は難しいが、おおむねこちらもシングルスレッド性能の高いCPUが高いスコアを収めているとみなせそうだ。
CINEBENCH R20はシンプルにCPUのマルチスレッド性能の計測になるため、6コア12スレッド対応のRyzenが、世代の新しい順に高いスコアを収めているのが見て取れる。逆に、Core i5-9400FとRyzen 5 3500は、世代が新しいCPUにもかかわらず、6コア6スレッド対応にとどまるせいか、あまり高いスコアを出せていない。
続く表2は、今回初めて取り扱ったRyzen 5 1600AFとCore i5-9400Fの2つCPU、そしてRadeon RX 5500 XTとGeForce GTX 1660の2つのGPUに、オリジナル「5万円台スト5PC」のGPUとして選定したRadeon RX 570/4GBの全組み合わせでテストした結果をまとめたものだ。
このままだと測定結果から傾向が読み取りにくいので、表2から「Ryzen 5 1600AFと各GPUを組み合わせた際の測定結果」を抜粋してまとめた表3と、同様に「Core i5-9400Fと各GPUを組み合わせた際の測定結果」を抜粋してまとめた表4を示す。
この2つの表3と4からは、おおよその「GPUの性能特性」をうかがい知ることができる。一言で言えば「各ベンチごとに一番優秀なGPUはどれか」が見えてくる──といった感じだろうか。
実際、測定結果の順位は、GPUのグラフィックス性能の善し悪しの範囲がそれなりに高いストVベンチ、FFXVベンチ、PCMark 10の3つでは、順位傾向がGPUごとに全く同じとなった。一方で、実質的にCPUテストであるCINEBENCH R20の測定結果順位はやや乱れ気味である。
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