「Echo Show 10」をしばらく使って分かったメリットとデメリット:山口真弘のスマートスピーカー暮らし(4/4 ページ)
スマートスピーカーやその関連デバイスについて、試行錯誤を繰り返しつつ、機能をバリバリ使えるようになる(予定)までの過程をお届けする本連載。今回は画面付きスマートスピーカーの最上位に位置する第3世代「Echo Show 10」を細かく試してみた。
ハードウェアの完成度は高いが疑問点が多く残る1台
以上ざっと見てきたが、最大の特徴であるブラシレスモーターによる回転機能は非常にスムーズかつ静かで、ハードウェアとしての完成度は高い。モーション検知での自動回転は個人的に必要性を感じないが、監視カメラ機能で広範囲が見られるという点では、350度にわたって回転する機能の価値はある。
ただし、この機能をユーザーが本当に求めていたのかはやや疑問が残る。特にモーション検知は、同社が言う「何重ものプライバシー保護対策」が完全に機能していたとしても、見られている感覚は常につきまとう。最初はその動きのユニークさに「オオッ」と思っても、しばらく経つと、大半のユーザーはオフにすることを選択するのではないかと思う。
また、ディスプレイ部を動かすことが前提の設計ながら、画面がグレア加工であるせいで、照明が絶えず映り込むなど、ちぐはぐな印象はある。照明が映り込んでいるため、少し角度を変えて見ようとすると画面がこちらを向いて結果的に反射まで追従してくるのは、ストレス以外の何物でもない。
本製品が、従来の第2世代Echo Showの「後継」であるのも疑問だ。本製品は設置のために約36.5cmという、従来(約15cm)の2倍以上の奥行きを必要とするので、買い替えても同じ場所には置けない。物理的に置き換えが難しく、またコンセプトも異なる本製品を「後継」とするのは無理がある。従来の「上位モデル」とするのが妥当で、そうした意味で一般的な大画面スマートディスプレイが、マトリクス上消滅したのは気になるところだ。
ちなみに、これはボディーの前方に張り出すようにディスプレイを取り付けた本製品の設計上の問題で、ボディーの前ではなく上にディスプレイを取り付ければ、回転ギミックを維持しつつ、奥行きは25cm程度で済ませられた計算になる。このあたり、もう少し設計段階でなんとかならなかったのかという気はする。
もちろん、これらは筆者が勝手に危惧しているだけで、もしかすると世界的にはこういった製品のニーズが大きく、ヒットする可能性もある。次世代でもこの路線が維持されるのか、それとも元の路線に戻るのかは、非常に興味があるところだ。
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