2022年はWindows 11普及の年になるのか:Windowsフロントライン(1/2 ページ)
AdDuplexによるWindows 10/11のシェア動向を毎月レポートしているが、今月はWindows 11のシェア推移に話題が集まっている。
毎月この時期の恒例となるが、AdDuplexの出したWindows 10/11のバージョン別シェアが話題になっている。過去半年ほどを見れば順調にシェアを伸ばし続けていたWindows 11だが、ここにきて拡大ペースが急減速したことがそのトピックとなる。
Windows 11のシェアは前月からほぼ伸びず
「AdDuplex Report for March 2022」によれば、2022年3月末時点でのWindows 11のシェアは19.4%と、先月の19.3%からほぼ横ばいとなった。
正式リリースから約半年は数ポイントベースで伸び続けていたことを考えれば、その普及に急ブレーキがかかった印象だ。「May 2021 Update(21H1)」が微減となる一方で、「November 2021 Update(21H2)」はシェアを3割以上伸ばして最大勢力となっており、Windows 10の過去のバージョンから、「“11”ではない“10”の最新バージョン」へと移行したユーザーが多数であることをAdDuplexのデータは示している。
前回のレポートでも触れたように、聞き込みを含む筆者の推測でAdDuplexのデータは、企業ユーザーよりもややコンシューマーに偏った数字が表れていると考えている。とはいえ、新プラットフォームへの移行に慎重な企業ユーザーはともかく、比較的移行に抵抗の少ないコンシューマーにおいてシェアの数字が停滞したことは、Windows 11移行を考えていたユーザーの第1波はこれで落ち着き、第2波が来るまで伸びは緩やかなものになる可能性が高い。
以前までのWindowsとは異なり、Windows 11ではTPMのバージョンやプロセッサの適合要件などが厳しく規定されており、最小要件を満たさない現役PCが少なくない。Microsoft自身も、要件を満たさず10から11へのアップグレードを行ったユーザーに対してウォーターマークの表示で警告を行うなど、そうしたPCでの利用を推奨していない。そのため、今後はコンシューマーにおいてWindows 11がシェアを伸ばすのは「リプレイス需要」が中心になると考える。
コンシューマー市場における、PCの商戦期はいくつか存在するが(例えば日本の春の入学シーズンや諸外国における夏から秋にかけての「Back to School」商戦)、おそらくシェアを大きく動かす商戦は秋ごろが中心になるだろう。
逆にいえば、年末ごろまでは20%台前半でWindows 11のシェアが停滞するのではないかと推測される。筆者は当初「2022年末までに3割弱程度」のWindows 11シェアを予測していたが、このペースだと達成はやや厳しいかもしれない。一方で、Windows 11が今後シェアを伸ばす上で重要なのは企業ユースであり、ここをターゲットとしたテコ入れが2022年の大きな鍵となるだろう。
つまり、今後Windows 11においてMicrosoftが重視してくるポイントの1つが「企業向けの機能強化」ということだ。より正確にいえば、Windows 11のみならず、Windowsを絡めた「モダンな作業環境」をアピールすることで、従来の作業環境からの移行を促すのが同社にとってのミッションとなる。
こういった最新の取り組みについて、お披露目されるとみられるのが、4月5日(米国時間)に開催が予定されている「Windows Powers the Future of Hybrid Work」というオンラインイベントだ。
日本時間で6日の深夜0時開催となるこのイベントでは、米Microsoft会長兼CEOのサティア・ナデラ氏、Windows担当エグゼクティブバイスプレジデント兼最高製品責任者(CPO)のパノス・パネイ氏が登壇予定で、“ハイブリッド”環境における最新の作業ツールやサービスについて発表が行われるとみられる。
“ハイブリッド”が何かという点だが、現状を鑑みればコロナ禍における「リモートワーク」が継続する一方で、米国においても少しずつオフィスへの復帰が進みつつある中で、働く場所の境界が曖昧となりつつある。
この辺りの復帰計画は同社がBlog上に「The next chapter of our hybrid workplace: update on our Washington state work sites」のタイトルで公開しているが、おそらくMicrosoft以外の会社においても似たような状況なのではないかと考える。“ハイブリッド”が意味するものの1つは、場所を選ばずにシームレスに作業環境が移行できることにあると言えるかもしれない。
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