パワフルなRyzen 7 6800Uと有機ELディスプレイは“極上” ASUSのモバイルPC「ZenBook S 13 OLED」を試す(1/4 ページ)
ASUS JAPANが、最新APU「Ryzen 7 6800U」を搭載するモバイルノートPC「ZenBook S 13 OLED」を発売した。美しい有機ELディスプレイも気になる本機だが、パフォーマンスはどうなのか。合わせてチェックしてみよう。
新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、在宅ワークが急速に普及した。そのこともあり、ノートPCの需要はかなり大きくなったという。
しかし、一言で「ノートPC」といっても、さまざまな選択肢がある。画面サイズなら12型台~17型台と、選択肢は幅広い(12型未満の画面サイズは「UMPC(超小型PC)」という別ジャンルと見なされることが多い)。ボディーの形態でいえば、画面が反転(回転)しない「クラムシェル型」があれば、反転してタブレット端末と同じ感覚で使える「コンバーチブル型」もある。
職場と自宅の往復を含めて、外出先に持ち出す機会が多い人には12~14型の「モバイルノートPC」がお勧めだ。ASUS JAPANの「ZenBook S 13 OLED(UM5302TA)」も、そんなモバイルノートPCの1つである。ボディーサイズはA4サイズの紙とほぼ同じで、カバンに入れて持ち運んびやすい。今回は、ZenBook S 13 OLEDの上位モデル「UM5302TA-LX143WS」(税込み希望小売価格27万9800円)をじっくりとチェックしていく。
最新APU「Ryzen 7 6800U」を搭載
PCの使い勝手を決める要素は複数あるが、処理パフォーマンスは間違いなく大きな部分を占める。中でもさまざまな演算処理を担う「CPU」と、グラフィックスを担う「GPU」は、パフォーマンスを大きく左右する重要なデバイスである。
ZenBook S 13 OLEDは、AMDの最新APU(GPU統合CPU)「Ryzen 7 6800U」を搭載している。Ryzen 7 6800UはRyzen 6000シリーズ(開発コード名:Rembrandt)のUプロセッサの上位モデルで、CPUコアは8コア16スレッド構成(2.7GHz~4.7GHz)、GPUコアは12コアの「Radeon 680M」を搭載している。詳しい解説は別の記事に譲るが、特にGPUコアは最新の「RDNA 2アーキテクチャ」に基づいており、リアルタイムレイトレーシング(RT)処理にも対応する。
メインメモリはLPDDR5規格の16GB(デュアルチャネル対応)で、APUと合わせてビジネス向けモバイルノートPCとしては“十分過ぎる”性能を備えている。SSDはPCI Express 4.0接続で、容量は1TBとなる。
PANTONE認証を取得した有機ELディスプレイを搭載
モデル名からも分かる通り、このマシンは有機ELディスプレイ(OLED)を搭載している。最大解像度は2880×1800ピクセル、コントラスト比(明暗比)は100万:1、応答速度は約0.2ミリ秒、最大輝度は550ニト、ディープブラック(黒色)輝度は0.0005ニトと、液晶ディスプレイ視点で考えるとかなりの高スペックといえる。
このディスプレイはDCI-P3の色域を100%カバーしており、「VESA DisplayHDR 500 True Black認証」や「PANTONE認定」も受けている。Webクリエイターにとって、安心して使える仕様だ。
ASUSのOLEDノートPCは、いずれもディスプレイの発色が良く、くっきりと鮮やかに映る。このマシンも例外ではなく、液晶ディスプレイを搭載するモデルと並べて比べると映像の鮮明さが明らかに違う。
「ビジネス向けノートPCに、OLEDはオーバースペックははないか?」と考える人もいるかもしれないが、ブルーライト照射量が70%軽減されるだけでなく、メリハリのある表示に慣れてしまうと、液晶ディスプレイに戻りづらくなる。微妙な色表現が可能なOLEDだからこそ、生産性は向上するともいえる。
なお、このディスプレイはタッチ操作とペン入力にも対応する。ペンは純正の「ASUS Pen 2.0」が付属する。
ディスプレイの上部には、Webカメラがある。フルHD(1920×1080ピクセル)撮影に対応しているだけでなく、ランダムノイズを最大94%除去する「3Dノイズリダクションテクノロジー」にも対応している。ただし、物理的にカメラにフタをするプライバシーシャッターは用意されていない。
バックライト付きキーボードを搭載
キーボードは83キーの日本語配列で、テンキーはない。公称のキーピッチは約19.05mm、キーストロークは約1.35mmだ。LEDバックライトを備える「イルミネートキーボード」となっており、刻印部分が光るようになっている。イルミネートキーボードの輝度はF7キーを押すと3段階で調整できるが、筆者としては最大輝度が使いやすく感じた。
電源キーは指紋認証センサーを統合しており、事前に指紋を登録しておけば「Windows Hello」によるログイン(サインイン)ができる。指紋認証に対応するノートPCの中には、センサーが指紋をなかなか認識せずにストレスを感じるものもあるが、このモデルのセンサーは精度がよく、素早くログイン可能だ。
タッチパッドは大型でとても使いやすいが、最近のASUSノートPCで実装例が多い、テンキーにもなる「NumberPad」ではない。
ボディーサイズは約296.7(幅)×210.55(奥行き)×14.9~15.3(高さ)mmと、比較的コンパクトに収まっている。一方で、重量は約1.1kgと1kgを切らないのは少し残念である。
ただし、約1.1kgであればそれほど重いという印象もないので、サイズも相まって持ち運びに困ることはないだろう。なお、本体と液晶パネルは180度開くようになっているので、ペン入力の際はもちろん、対面で座っている人に画面を見せる際にも便利に使える。
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