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マウスコンピューターや行政が国内のeスポーツを支援する理由(1/2 ページ)

東京ゲームショウ2022において、「Future of esports」と題したパネルディスカッションが行われた。eスポーツに関わる当事者が、日本国内のeスポーツ発展に向けて何をすべきか、意見交換がなされた。

 9月15日~9月18日に、千葉県の幕張メッセ開催された「東京ゲームショウ2022」。この中の「TGSフォーラム」にて、JeSU(一般社団法人日本eスポーツ連合) Presents eスポーツセッション「Future of esports」と題したパネルディスカッションが開催された。


パネルセッションの模様

TGS2022 フォーラム JeSU Presents eスポーツセッション「Future of esports」に参加したパネリストとモデレーター

日本国内のeスポーツをどのように発展させるのか

 パネリストとしてプロeスポーツ選手のネモ氏、マウスコンピューター マーケティング本部 本部長の杉澤竜也氏、経済産業省 商務情報政策局 コンテンツ産業課 課長補佐の上田泰成氏、Aetas代表取締役社長で4Gamer.net編集長の岡田和久氏が登壇し、eスポーツの未来について語った。

 「eスポーツというか、オンラインゲームのギルド(プレイヤー同士の集まり)での対戦が『ラグナロクオンライン』で始まったのが2000年初頭。ここに日本でのeスポーツの起源がある」と岡田氏は口火を切った。

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Aetas代表取締役社長 4Gamer.net編集長 岡田和久氏

 日本eスポーツ連合(以下、JeSU)が結成されたのは2018年だ。それから約4年間でeスポーツを巡る環境は大きく変わった。2017年には、eスポーツを知っていると答えた人が14.4%であったのに対し、2021年3月には79.9%と、ほぼ8割の人がeスポーツという言葉を認知するまでになった。

 そして2020年のeスポーツ市場規模は66.8億円で、2024年には180億円を超えると予想されている。ファン層についても、2018年では10代~20代が中心だったが、年を経て年齢を重ねるにつれて30代以上にも拡大していった。


日本国内のeスポーツ認知度の推移(日本eスポーツ白書2022の資料)

日本国内のeスポーツ市場動向(日本eスポーツ白書2022の資料)

eスポーツファン層の拡大(日本eスポーツ白書2022の資料)

 ここまで市場規模が大きくなるにつれ、eスポーツへのさらなる投資を呼び込むため、広告効果を測定する動きも登場する。1990年代後半~2010年代に生まれたいわゆる「Z世代」と呼ばれる人に向けて、eスポーツを通じた「ゲーム×経済の好循環」を発展させることが目的だ。

 その結果、eスポーツスポンサー企業の事例として分かったのが、9割以上のファンが、応援する選手やチームのスポンサー企業や展開する商品について、良い印象を感じているということだった。


スポンサーの効果を可視化

 これについて杉澤氏は、eスポーツが好きで集まってくる人に対しては、どのようにPCが売れるのかを考えたときに、「あくまでゲームが好きで集まってくるのであって、PCを買いたいわけではない。PCはあくまでもツールだ」と語る。PCの知識を手に入れよう、理解しようとしている人は従来の媒体でアプローチすればよいが、eスポーツが好きで集まる人はこれに入らない。

 このため「プロ野球選手が持っていたグローブやバットを欲しいというような形で、あの選手が使っているからという、あこがれから購入動機を生んでいく」アプローチを取っているという。「eスポーツの選手やチームをスポンサードすることによって、ファンに対してマウスコンピューターのゲーミングブランド『G-Tune』がいい、というメッセージを届けてもらうことが重要だ」と語った。


マウスコンピューター マーケティング本部 本部長 杉澤竜也氏

スポンサーシップにより、ファンに商品が浸透していく

 ただし、スポンサードするにあたってもいろいろと課題がある。「今はどんどん新しくチームが立ち上がっているが、投資をする側としては、どこでもうけていくのかという話をしなければならない」と杉澤氏。

 「現状、チームとして知名度は高くないが、この人たちならとスポンサードすることもある。それは全然違うところでお金を安定して稼ぐようにし、新規事業としてeスポーツに取り組んでいるパターンだ。チームにベットしても、いつからリターンが来るか分からないが、母体となる企業の資産価値を生かしながら、マウスコンピューターのPCをより拡散するように協力していくという流れも生まれている。短期的な成果だけではないところで、長期的に見ていくスポンサーがいるという情報を伝えたい」(杉澤氏)

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