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TP-Linkが「Wi-Fi 7(IEEE 802.11be)」ルーターを国内投入決定 2023年夏に発売予定国内最速の見込み

ティーピーリンクジャパンが、Wi-Fi 7ルーターを日本市場で2023年夏から発売することを明らかにした。現時点では日本最速投入となる見通しだ。

 ティーピーリンクジャパンは3月9日、IEEE 802.11be(通称「Wi-Fi 7」)に対応する無線LANルーターを日本市場に投入することを発表した。発売時期は2023年夏以降を予定している。

 この記事では、主要な新製品の概要を紹介する。なお、IEEE 802.11beは現在、米IEEEにおいて規格を策定する作業中で(参考リンク)、正式な規格は2024年に成立見通しである。新製品は、ハードウェア的にIEEE 802.11beの要件を満たせるものという位置付けとなる。


日本国内で発売する予定の家庭向けWi-Fi 7ルーター

日本国内で発売する予定のWi-Fi 7対応メッシュルーター(Decoシリーズ)

日本国内で発売する予定のWi-Fi 7対応中継器(レンジエクステンダー)と法人向けアクセスポイント

12本のアンテナを備える新しいフラグシップ「Archer BE900」

 「Archer BE900」は家庭向けWi-Fi 7ルーターのフラグシップモデルで、税込みの想定販売価格は8万9800円となる。

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Archer BE900

 本モデルは合計で12基のアンテナを内蔵しており(2.4GHz帯/5GHz帯兼用×4+5GHz帯専用×4+6GHz帯専用×4)、それぞれを立体的かつ最適な位置に配置することで、各周波数帯におけるスループット(実効通信速度)を最大化しているという。Wi-Fi 7規格における各周波数帯の最大通信速度(※1)は以下の通りとなる。

  • 2.4GHz帯:1376Mbps
  • 5GHz帯:5760Mbps(2帯域対応)
  • 6GHz帯:1万1520Mbps(※2)

(※1)利用できる帯域幅を全て使った場合の理論値(以下同様)
(※2)320MHz幅で通信した場合。ただし、無線LANで利用できる帯域幅の制約から現時点の日本では320MHz幅の通信に対応できない


各帯域における最大通信速度。5GHz帯を2つ用意しているのは、日本のように法規制で6GHz帯での360MHz幅通信が難しい国/地域でもWi-Fi 7の「マルチリンクオペレーション(MLO:キャリアアグリゲーション)」を使ってより高速な通信を実現するためだという

 有線ポート類は以下のものを備える。

  • WAN(インターネット)/LAN兼用
    • 10GBASE-SR(SFP+)ポート×1(※3)
    • 10GBASE-Tポート×2(※3)
  • LAN専用
    • 2.5GBASE-Tポート×4(2基を使ったリンクアグリゲーションに対応)
    • 1000BASE-Tポート×1
  • USB端子(ストレージ等の接続用)
    • USB 2.0 Standard-A×1
    • USB 3.0 Standard-A×1

(※3)10GBASE-Tポートのうち1基と10GBASE-SRポートは排他利用


日本でも普及が進む機運が高まっているマルチギガビットインターネットに対応すべく、WAN/LAN対応ポートはいずれも10Gbps対応とした。家庭向けモデルでSFP+インタフェースを装備するのには少し驚いてしまった所である

 本体の正面にはLEDスクリーンとタッチディスプレイを備えている。LEDスクリーンには天気や時刻、スマートフォンアプリで設定した任意の文字列を表示できる(日本語対応)。タッチディスプレイでは通信ステータスを表示できる他、「ゲストWi-Fi」のオン/オフの切り替え、LEDスクリーンの調整などに対応する。

 また、メッシュネットワークについては同社独自の「OneMesh」に加えて、Wi-Fi Allianceが提唱する「Wi-Fi EasyMesh」でも構築できるようになっている。


正面にはLEDスクリーンやタッチディスプレイを備えている。スマホアプリ、あるいはWebブラウザからアクセスする管理画面を使わなくても、ある程度のことはできるようである

下位モデルとなる「Archer BE805」(左)と「Archer BE550」(右)も日本での発売を予定しているが、時期と価格は明らかにされなかった

10Gbpsバックホール回線に対応する「Deco BE85」

 「Deco BE85」は家庭向けWi-Fi 7対応メッシュシステムの最上位モデルとなる。バックホール回線として10Gbps有線ポートまたはWi-Fi 7を用いることで超高速なメッシュネットワークを構築できることが特徴で、税込みの想定販売価格は単体が7万9900円、2台セットが14万8800円だ。


Deco BE85(中央)は、Decoシリーズの新たなフラグシップモデルで、Wi-Fi 7にも対応するモデルである

 本モデルは合計で8基の高利得アンテナを内蔵している。Wi-Fi 7規格における各周波数帯の最大通信速度は以下の通りだ。

  • 2.4GHz帯:1376Mbps
  • 5GHz帯:8640Mbps(※4)
  • 6GHz帯:1万1520Mbps

(※4)240MHz幅で通信した場合の数値


各帯域における最大通信速度。本モデルでは5GHz帯で240MHz幅を確保するという形で高速化を行っている

 有線ポート類は全てWAN/LAN兼用で、以下のものを備える。

  • 10GBASE-SR(SFP+)ポート×1(※5)
  • 10GBASE-Tポート×2(※5)
  • 2.5GBASE-Tポート×2
  • USB 3.0 Standard-Aポート×1

(※5)10GBASE-Tポートのうち1基と10GBASE-SRポートは排他利用


Deco BE85も10Gbpsポートを複数備えている。うち1基をメッシュネットワークのバックホール回線として利用すれば、高速かつ安定したメッシュネットワークを構築しやすい

家屋の構造にもよるが、利用できる帯域をうまく活用すればワイヤレスバックホールでもより高速なメッシュネットワークを構築できるようになったという

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