NVIDIAの測定デバイス「PCAT2」で最新GPUから旧モデルまで消費電力を測って分かったこと(前編):準備こそがクライマックス?(2/4 ページ)
グラフィックスカード(GPU)の消費電力をリアルタイムに測れる――NVIDIAがそんなデバイスを開発していることをご存じだろうか。今回、PCI Express 4.0に対応した第2世代製品を試す機会があったので、まずはその特徴とセットアップの過程を紹介しようと思う。
PCAT2は、どうつないで使う?
ところで、「グラフィックスカードへの電源供給」といえば、電源ユニットから伸びているGPU補助電源ケーブルを連想する人が多いと思う。しかし、実際はPCI Expressスロットからも電源供給を受けている。
そのため、PCATではPCI Expressスロットからの供給電源を計測するためのプローブを組み込んだライザーカードが付属している。先ほどのセット一式の写真を見て「なんでライザーカードがあるんだろう?」と思った人もいるかもしれないが、このために用意されているのである。
一方、電源ユニットから出ているGPU補助電源ケーブルについては、グラフィックスカードに直結せずにPCAT2のメイン基板を介して接続することになる。メイン基板は、GPU補助電源の消費電力を計測する役割も担っているのだ。
メイン基板には3つの電源入力端子が実装されており、1つは旧来の8ピン端子、2つは最新規格の16ピン(12vHPWR)端子となっている。これら3つの端子を全て使うと、3端子分の消費電力を個別かつ同時に計測可能である。ただし、複数のグラフィックスカードの消費電力を同時に計測しない限りは、どれか1つの端子に電源ケーブルをつなげばいい。
……と、ここで「あれ?」と思うかもしれない。8ピン×2で給電を受けるグラフィックスカードは、どうつなげばいいのだろうか。
先述の通り、メイン基板には8ピン端子は1つしかない。もしも電源ユニットの8ピン出力が“強力”なら、ひとまずユニットとPCAT2との間は「8ピン×1」ケーブルでつなぎ、PCAT2とグラフィックスカードの間を「8ピン×1⇔8ピン×2」ケーブルでつなぐという方法も取れる。しかし、筆者の実験環境ではこれがうまく行かなかった。計測対象にしようと考えていた「Radeon RX 6900 XT」の動作が不安定になってしまったのだ。
そこで、PCAT2のキットに付属するケーブルをうまく組み合わせて、8ピン×2分の電源供給をしっかりと受けられるようにしてみた。少しばかりパズルみたいな感じになるが、四股の12vHPWRケーブルと、2本の2分岐8ピン端子ケーブルを組み合わせたところ、Radeon RX 6900 XTの動作が安定するようになった。
「PCATを使うと消費電力(≒GPUへの負荷)が大きいゲームの挙動がおかしくなる」という場合は、真っ先に「電力不足」を疑った方がいい。
8ピン端子が1つしかないPCAT2において、8ピン端子×2の電源供給が必要なグラフィックスカードをつなぐ場合は、この写真のように四股の12vHPWRケーブルと、2本の2分岐8ピン端子ケーブルを組み合わせると安定して動作するようになる
では、ぼちぼち測定環境の構築に入ることにしよう。
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