新しい第2世代「AirPods Pro」はUSB Type-C対応だけではない! 独自の進化とiOS 17に合わせた進化の二刀流(2/2 ページ)
iPhone 15シリーズなどの販売に合わせて、完全ワイヤレスイヤフォン「AirPods Pro」もUSB Type-C対応に生まれ変わる。従来の製品名と同じなのはいただけないが、どのような変化があったのか、新モデルを林信行氏が試した。
iOS 17へのアップデートで利用可能になる3つの新機能
さて、実はこの新しいAirPods Proの登場に合わせて、というか正確には9月19日未明にリリース予定のiOS 17に合わせて、利用が可能になるAirPods Proの新しい機能がいくつかある。それについても紹介したい。
1つ目は「適応型オーディオ」だ。第2世代AirPods Proに搭載された「H2プロセッサ」で実現した。外部音取り込みモードと、アクティブノイズキャンセリングを動的に組み合わせたモードだ。iOS機器の場合はコントロールセンターからアクセスできる。
ノイズキャンセリングのように周囲の音を遮断することなく、音楽の背景に周囲の人の声や物音がしっかりと聞こえているが、掃除機の音や賑やかな大声、サイレンの音など音楽のリスニングを妨げる騒音が耳障りになってくると、自動的にノイズキャンセリングのレベルを上げて快適さを保ってくれる。
2つ目は「会話感知」機能だ。適応型オーディオやノイズキャンセリング機能で周囲の音を打ち消している時に、会話を始めると自然に会話ができるように自動的にノイズキャンセリングを解除してくれる機能だ。
テクノロジーを、人と人との関係を隔てる壁にならないようにする実にAppleらしい機能だが、この機能の実装方法も非常にAppleらしい。誰か人が話しかけてきたタイミングでノイズキャンセリングを解除するのではなく、話しかけてきた人に声を出して答えたタイミングで発動する。
例えば街中を歩いていると、不快な言葉を投げかけてくる不審者に遭遇することもある。そういう場合は、ノイズキャンセリングの効果を生かして相手の声を打ち消したまま無視して通り過ぎることができる。AirPods Proが、自分を不審者から守る音の防具になってくれるのだ。
相手の顔や態度を見て、この人となら話をしたいと自分が応答したタイミングでノイズキャンセリングが解除される。何よりも製品のユーザーを重視した設計だ。
ちなみに、これに似た機能はApple Vision Proにも搭載される。Apple Vision Proは、基本的には現実空間にウィンドウを配置して操作をする拡張現実デバイスだが、デジタルクラウン(ダイアル)を回してデジタルコンテンツに没入するモードもある。ただ、この没入モードでも、ユーザーが周囲の人と断絶してしまわない機能が用意されている。誰かが近づいてくると、その人の顔や上半身だけが浮かび上がる。
さてiOS 17に合わせて利用が可能になるAirPods Proの3つ目の新機能が「パーソナライズされた音量」だ。
音量の好みは人によって大きく異なる。この好みを機械学習して常に快適な音量で音楽やPodcast、映像コンテンツなどを楽しめるようにしようというのが「パーソナライズされた音量」機能だ。ユーザーの利便性を高める一方で、Appleが最近重視している「耳の健康」に配慮した機能ともいえそうだ(大きな音を長時間聞き続けると、恒久的に聴力が失われることに配慮してそれを防ぐ)。
これらの新機能はH2プロセッサの搭載が条件で、第1世代のAirPods Proでは使えないが、第2世代AirPods Proであれば、従来のLightning端子搭載のモデルでもiOSのアップデートで利用可能になる。
新しいUSB Type-C端子を備えたAirPods Proは、Apple Vision Proが搭載して初めて利用できる最新音声技術に加え、こういった第2世代AirPods Proの最新機能をサポートした上で充電済みケースの併用で、最大30時間使えるバッテリー動作時間やUWB通信対応iPhoneで、どこにおき忘れたかを探す機能など人気の機能も当然継承されている。
USB Type-Cを搭載した新しい第2世代AirPods Proは、既にApple公式ページで販売が始まっており、9月22日から出荷が開始される。円安が進む中、どのようになるかが心配だったが、Lightning版と同じ税込み3万9800円になっている。
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