“未来のスマホとノートPC”をSamsung Displayのプロトタイプから予想する:Intel Innovation 2023(2/3 ページ)
Intelの開発者/技術者向けイベント「Intel Innovation 2023」は、講演だけでなくブース展示も充実していた。有機ELパネルや液晶パネルの大手メーカーであるSamsung Displayのブースから、有機ELディスプレイのメリットを生かした提案を見てみよう。
開いた後に“伸ばせる”「Flex Hybrid」
動画の後半に出てきた2つ目のコンセプトモデルは「Flex Hybrid」という。
パッと見、Flex Hybridは今でもある二つ折りモデルと同じように見える。事実、“開く”アクション自体はGalaxy Z Foldシリーズと変わりない。
画面を開くと、1600×1200ピクセル(アスペクト比4:3)の画面が広がる。こちらも折りたたみ技術の検討用なので、解像度は低めだ。しかし、よく見ると、開いた本体の片方が分厚くなっていることに気が付く。
分厚くなっている方の縁を持って引っ張ると、何と追加の画面が出てくる。全てを引っ張り出すと、1920×1200ピクセル(アスペクト比16:10)の画面として使えるのだ。
このギミックは「へぇ、スライド式なんだ、ふーん」と片付けてはならない。実はこの有機ELパネル、初めから1920×1200ピクセルで作られており、320×1200ピクセル分が本体内に丸まって格納されている。要するにフォルタブル部とスライド部に“切れ目”が全くないのだ。
二つ折り部分の折り目の曲率半径は約1.4mmで、スライドして出てくる追加画面の収納時の丸め込みの曲率半径は約4mmとなっている。折りたたみ時の本体の厚さは、Flex Gとほぼ同等の20mm程度だ。
追加画面が収納されている側は、収納されていない側と比べて1.5倍くらいの厚みがある。先述の通り、ディスプレイの一部を丸めて収納するためだ。
技術的には本体の両側から画面を引き出せるようにもできるはずだが、今回のFlex Hybridは片側からしか引き出せない。恐らく、両側から引き出せるようにすることで厚みが増すのを避けるべく、片側に“寄せる”判断をしたのだろう。加えて、引き出される追加画面をより大きくするには、フレキシブル有機ELパネルの丸め込み半径をより小さくする必要もある。製品化の際には、これらのハードルを乗り越えなければならない。
ちなみに、追加画面は引き出す時よりもしまう時の方が力を要する。これは、引き出す時にはパネルが平面に戻る際のテンションを利用できる反面、しまう時はバネを押し込むような抵抗力がかかるためだろう。
画面収納時、本体内側の見えないところで、パネルが曲がりながら収納されていく――筆者はそのことを想像すると、画面を気軽に出し入れできなくなってしまった(笑)。
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