「HHKB Studio」は最強のコンパクトキーボード ただし物理キーの少なさに慣れるかが鍵になる:「目指せ↑ワンランク上の仕事術」デジモノ探訪記(3/3 ページ)
企業や組織のIT部門を支援してきた石黒直樹氏が、実際に使っていて仕事に役立つと思ったものや、これから登場する新製品、新サービスをいち早く試してレビューする連載。
ポインティング操作は「慣れ」だが、大きなデスクトップには向かない
ポインティングスティックの扱いに慣れていないと書きましたが、これは慣れれば問題ないのかなと思います。しかし、そもそもの問題があります。私のメイン環境は5つのディスプレイを接続した広大な空間です。ポインティングスティックで移動するには広すぎました。チマチマと動きますので、マウスのように大きく移動させることができないのです。
逆にノートPCの1画面でも使ってみましたが、こちらは特に問題なく使用できました。利用環境に適しているかは検討した方がよいかもしれません。
ジェスチャーパッドは便利な半面、誤操作との兼ね合いが悩ましい
実はHHKB Studioに興味を持ったのはこのジェスチャーパッドがキッカケでした。ジェスチャー操作で画面のスクロールなどが可能です。例えばWordでキーボードをガッツリ利用している時に、上下を見たいだけのためにマウスのスクロールボタンに手をのばすのはおっくうなものです。それがキーボードの縁で操作できると「ものすごく生産性があがるのでは……」という期待です。
この点については期待通りの動きでした。スクロールだけでなく、キーボード手元でマウスカーソルの移動やクリックもできますので、まさにキーボードだけで操作ができました。
しかし、比較的緩くキーボードを使っている時は、誤ってジェスチャーパッドを触ってしまうことが何度も発生しました。これは私の癖ですが、手の置き場所として結構キーボードの縁に手を置いていたようです。ジェスチャーパッドはスクロール以外にもカーソル操作が割り当てられていますので、入力カーソル位置が意図せず違うところに飛んでしまう事態も発生。これはこれでストレスになります。なお、ジェスチャーパッドの動作を無効化することもできますので、よほどであればオフにするのもよいでしょう。
物理スペースのあるデスクトップ環境には不要かも
HHKB Studioの売りは、そのコンパクトさの中にマウスやジェスチャーパッドといった付加機能があるという点だと感じます。つまり、大きく手を動かさずに全てのPC操作が可能ということです。しかし、ファンクションキーやテンキーまで排除したコンパクト性はデメリットも生みます。1つのキーボタンでできることが必然的に減るためです。
私のメイン環境はキーボード、マウスのみならず、左手デバイスともいわれる「Stream Deck+」を使っています。特にStream Deck+は非常に重要なデバイスで、ショートカット操作などをボタン一つで操作できます。少しでも快適で効率良く、と場所も確保して環境整備している中、無理にキーボードサイズを小さくする必要性は無いわけです。
HHKB Studioにせめてファンクションキー、できればテンキーありモデルがあると、完全に付加機能がプラスとなります。HHKB Studioを使うからといって既存のマウスを外す必要はなく、併用すればよいのです。自分にとって何が良くなって何が悪くなるのか。よくよくの見極めが必要かと思います。
逆に、コンパクトな場所で使うには非常に使いやすい
私の場合、メイン環境は特殊ですが、コンパクトな場所で使うには非常に魅力的だと思います。マウスも不要になるためです。外出先で使うのは面白いかもと感じますね。
ノートPCの外付けキーボードとして使うことを考えると、今度は変な話、ノートPC本体のキーボードが物理的に邪魔になってきます。そうなると、ディスプレイが360度回転するノートPC、Surface ProのようなタブレットベースのPC、Galaxy TabのようなAndroidタブレットなどが魅力的なデバイスになってきます。
ノートPCのキーボードの上に置くための「キーボードブリッジ」といった板も発売されていますが、ノートPCの上で重いキーボードをガシガシたたくのは、物理的な意味で少し気が引けます。
外出先で最高のキーボードが使えるのは魅力的ですが、持ち運ぶには重さの壁があります。HHKB Studioは単三形乾電池4本をセットした状態だと約930gです。私が持ち運び用として使用しているノートPC「LIFEBOOK WU2/H1」も約930g。持ち運ぶにもそれなりの気合いが必要になります。
キーの少なさが克服できれば、最高のキーボード
HHKB Studioがあなたにとって使えるか使えないか。それは最終的には物理キーの少なさにどこまで適合できるかになると感じました。もともとのHHKBシリーズと同様ですね。
私としてはコンパクトさよりも、ファンクションキーのように1つのキーでできることの利便性を重視します。コンパクトさを生かした持ち運びを考えても、重さから及び腰になりました。しかしそれらに問題がない場合、最高のキーボードであると感じます。
キー操作に問題がないかどうかは、実際に使ってみるしかありません。HHKBがレンタルできるサービスもあります。そうしたサービスを活用し、本当に自分に合うかを確認するのも一つの手だと思います。
コンセプトに反するかもしれませんが、なんとかファンクションキー搭載モデルの開発を願うところです。
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