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3月20日は「電卓の日」だった! 60周年を迎えるキヤノン電卓の歴史と電卓のこれからを考える(2/3 ページ)

3月20日は50年前に現JBMIAが制定した「電卓の日」だ。そしてキヤノンの電卓事業は、2024年10月に60周年を迎える。節目となるこの年に、これまでの歴史と今後の展望を紹介する説明会をキヤノンマーケティングジャパンが開催した。展示されていた歴史的なモデルにも触れてきた。

懐かしの名機たちが一同に

 発表会の会場には、キヤノンマーケティングジャパンが60年の間手がけてきた歴史的名機も含めた、さまざまな電卓が展示されていた。

 中でも、ひときわ目立っていたのが世界初のテンキー式電卓キヤノーラ130だ。商店街で見かけるレジスターほどの大きさがあり、重量は約18kgもある。「子供くらいの重さがあります」と長氏が解説していた。

 開発のきっかけは、カメラ事業の効率化を図りたいというものだった。キヤノンではカメラやレンズを開発しているが、その中で光学計算をするためだけの人員がいたという。それではあまりに非効率だということで、社内向けに計算機を開発して、生まれたのがキヤノーラ130というわけだ。

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見た目は小さいが18kgとずっしりしているキヤノーラ130。フルキーしかなかった時代では、これでもコンパクトだったのだろう

 金融機関や米国で愛用者の多いプリンタ搭載電卓の「P120-DH」。業界初の大型LCDを採用したACアダプター必須の電卓でもある。


プリンタ搭載電卓の「P120-DH」

 こちらもプリンタを内蔵した電卓だが、印刷方式がバブルジェットタイプだ。


バブルジェット方式のプリンタ内蔵モデル「BP12-D」

 筆者が気になったのは、こちらのテンキー搭載マウス「LS-100TKM」だ。2008年発売の製品なので、今でも愛用している人がいるかもしれない。


普段はマウスとして、パカッと開けばテンキーとして使える変わり種の電卓(マウス?)のLS-100TKM。まさか、新品が残っているとは!

一見すると普通のマウスだが……

開けばテンキーが現れる。「送信」ボタンがあることから察するに、電卓機能を使って計算した結果を転送することもできたのだろう。今売っていたら、間違いなく買ってしまう

ただし、こちらはMini USB Mini-B端子を使った有線接続方式なので、新モデルが出るのならできればUSB Type-C端子を装備してもらえるとありがたい

 もちろん、関数電卓も開発している。関数電卓にしてはカラフルなので、持っていたらちょっと自慢できそうだ。


関数電卓「F-7185G」と「F-7895G」

 デザインが自慢といえば、こちらも目を引いた。全体的にフラットな「X MARK I」だ。ちょっとオシャレな建築事務所などに置いてあれば「映える」と感じた。


スリムな電卓「X MARK I」

まるで1枚の板のようなたたずまいで、撮影用の小物にも良さそうだ

 「懐かしい!」と感じたのは、クレジットカードサイズの電卓だ。一定以上の年齢の読者であれば、財布に忍ばせていたのではないだろうか。


キヤノンカードLC-7の1モデル。非常に精巧なデザインゆえ、ジョークグッズとして持っていたいほど。「Rマーク」のあることから、アメリカン・エキスプレス・カードとのコラボだったのかもしれない

 アラーム時計付きマルチ電卓「CC-10」は、変形ロボ的なギミックが非常に良い。携帯時は女性の化粧品アイテムのコンパクトのように、電卓として使うときには開いて伸ばして、アラームなど時計機能を使いたいときには、三角になるように組み立てて視認性を高められる。旅行に重宝する人が多かったというのもうなずける。


CC-10はさまざまなモードに変形さられる。旅行に行くことがほとんどなくても、変形ロボ好きな人の心をわしづかみにするに違いない

 最後は、最新モデル「HS-1220TUB」だ。使いやすい大きさのこの電卓は、キヤノン電卓として初めて植物由来の原料(バイオマスプラスチック)を使用した環境配慮型電卓となる。キーの一部にバイオマスプラスチックを、その他のプラスチック部品には再生プラスチックを重量の40%以上で使用している。


環境配慮型電卓「HS-1220TUB」

 機能によって整形の異なる3タイプのキー「快速入力傾斜キー」を搭載し、早打ちでも入力ミスを最大限抑制するようにしている。


シリンドリカル……ではなく、快速入力傾斜キーを備えている

 最後に、電卓市場の今とこれからの電卓を見ていこう。

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