「iPhone 16e」が“iPhoneの価値”を再定義する製品だと考えられる、4つのデザイン視点(3/3 ページ)
Appleから、これからの「スタンダードiPhone」を意味する「iPhone 16e」が発表され、28日は販売がスタートする。林信行氏が、改めてこの新モデルの立ち位置や魅力をまとめた。
製品体験のデザイン
iPhone 16eは、Apple Intelligence時代のiPhoneで、この新しい時代にユーザーがどのようにiPhoneを使うかを考えて仕様が決められている。
既に触れたが、そこにはApple Intelligenceのテキストの自動校正や要約機能を使って、これまで小さなiPhoneでは扱うことが大変だった長い文章をより効率的に理解したり、作成したりするといった使い道もあれば、Visual Intelligenceを活用して、カメラで写した物体の情報を瞬時に取得するといったことも含まれる。
これまでのiPhone SEが苦手だった、暗い場所での写真もナイトモードを使ってよりきれいに撮影でき、人物などの対象物を撮影したとき、人が目で見ている印象により近い2倍ズーム(35mm換算で52mm)での撮影も“荒れ”のない光学撮影で撮ることができる。
またUSB Type-C端子の搭載で、外付けSSDや楽器用オーディオインタフェース、カメラなどさまざまな周辺機器と直接接続ができるようになる。Lightning端子と比べると、ケーブルを挿した際のカチっという感触もなく不安な部分もあるが、既に多くのPCに採用されており、USB Type-C端子を備えた周辺機器であれば、物によってはiPhoneとPCの両方でケーブルを変えずに使い回しができるというメリットも新たに加わる。
また凝った映像のアクションゲームなどをプレイする人であれば、iPhone SEやiPhone 15では処理が間に合わず、フレームレートが遅くて快適にプレイできない大作でもiPhone 16eなら快適に、(しかも、バッテリー動作で長時間)プレイできる可能性が高い。
そしてほとんどの人は一生使わずに済むが、万が一、遭難したり事故にあったりした際に衛星通信機能を使ってSOSの発信が行われ、命が救われる確率も大きくなっている。
iPhone 16eの登場は、こういったことを全てひっくるめて一新されたiPhoneシリーズの“最低限満たされるべき価値”であることを明らかにしてくれた。
iPhone 16eをiPhone SEの後継製品と捉える人もいるが、実際には本製品はiPhoneという製品の価値を再定義した製品なのではないだろうか。
Wi-Fiもなければスマートフォンの電波もない場所で遭難した場合でも、空が見える場所に出ることができれば衛星通信を使ってSOSを呼べる可能性がある。この衛星通信を使った遭難SOSも、iPhone SEでは使えなかった。iPhone 16eの命を救う機能の1つだ
ところで本製品の登場により、iPhoneが全製品同じナンバーでそろえられたことになる。そこで、気になることが1つある。製品の更新のタイミングだ。
おそらくこれまでのiPhone SEのように不定期更新ではなく、毎年更新されることになるだろう。今回の16eの発表は2月に行われたが、他のモデルは例年9月に一斉に更新される。しばらくは、この半年差更新を続けるのか、それともいずれは9月にまとめて一斉に更新されるのか。
Appleはぜひとも、製品の購入計画が立てやすいように明確に製品更新のタイミングを定めてほしい。
関連記事
「iPhone 16e」発表、A18チップ搭載、128GBモデルが9万9800円から 廉価なiPhone SEの“実質的な後継モデル”に
価格は9万9800円(税込)から。21日午後10時に予約受け付けを開始し、28日に発売する。「iPhone 16」がiPhone新時代の幕を開く 試して分かった大きな違い
日本で人気のスマートフォン「iPhone」の最新モデルが、9月20日から発売される。iPhone 16シリーズとiPhone 16 Proシリーズを使った林信行氏が、最新モデルを勧める理由とは?「Apple C1」は“新しい進化の出発点”となる“自社開発”モデム 「iPhone 16e」で初採用となった理由
Appleが2月28日に発売する「iPhone 16e」には、Appleが自社設計したセルラーモデムが初搭載されている。これは、今後のApple製品の競争力を向上する上で重要な存在となりうる。【修正】なぜ“まだ使えない”Apple Intelligenceを推すのか? 新製品から見えるAppleの狙い
Appleが、毎年恒例の9月のスペシャルイベントを開催した。順当に発表された新型iPhoneでは、生成AIを生かした「Apple Intelligence」が推されてるのだが、当のApple Intelligenceは発売時に使うことはできない。なぜ、発売当初に使えない機能を推すのだろうか。新製品の狙いを見ていこう。“後出し”の生成AI「Apple Intelligence」がAppleの製品力を高める理由
生成AIにおいて出遅れを指摘されているAppleが、開発者向けイベントに合わせて「Apple Intelligence」を発表した。数ある生成AIとは異なり、あくまでも「Apple製品を使いやすくする」というアプローチが特徴だ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.