「iPhone 16e」は“最もリーズナブル”な新時代へのステップだ! 実機を試して分かった従来モデルとの決定的な違い(1/5 ページ)
Appleから、次の時代――「Apple Intelligence」が当たり前となる際のベーシックモデルとなる「iPhone 16e」が発売された。実機を試して分かったことを林信行氏が整理した。
2月28日から販売が開始されるAppleの新モデル「iPhone 16e」。ストレージ容量が128GBの最廉価モデルが直販価格で9万9800円だが、今回は容量512GBのiPhone 16e(ブラックモデル/14万4800円)をいち早くレビューする機会を得た。
iPhone 16eは、Apple Intelligenceを前提としたiPhoneの新しいラインアップのエントリーモデル――別の記事で書いたこの見立ては実機を触っても変わらないが、それがどのような使い心地かを理解する解像度が少し向上した。この記事ではそれをお届けしたい。
本製品のメインターゲットは、iPhoneを極めて基本的なことにしか使っていない人たちや、あまりスマートフォンにお金をかけたくない人たちなので、記事前半はそういった人たちの視点で書きたいと思っている。
一方、自分は上位モデルを買うけれど、純粋にiPhone新製品として興味を持っている人もいると思う。そこで、記事の後半ではベンチマークテスト(性能検証)の詳細な分析などを通して、Appleが新しいエントリーモデルをどのようにデザイン(再定義)したのかに迫りたい。
iPhoneの新しいエントリーモデル「iPhone 16e」。画面はiPhone 16/16 Proと同じ、6.1型の見やすいSuper XDRディスプレイ。ただし、他の2モデルは画面上部のカメラなどが隠されている部分がタッチ操作できるダイナミックアイランドになっているが、iPhone 16eはただのノッチになっている
特別な使い方をしない人のためのiPhone
冒頭でも書いたが、iPhone 16eの主なターゲットはiPhoneを極めて基本的なことにしか使っていない人たちや、あまりスマートフォンにお金をかけたくない人たちだ。
用途で言えば、以下のような利用が中心の人たちだろう。
- メールやWebブラウジング
- LINEなどのメッセージ
- 動画の視聴/音楽再生
- 読書/メモ
- 簡単な写真撮影
- 予定の確認や地図の確認
- 決済端末として
- 単純なゲーム
ズームや超広角レンズを使った凝った撮影をしたい人、磁石を使ってピタッとくっつく快適充電機能のMagSafeを使いたい人は、3~4万円ほど高価なiPhone 16/16 Plusを選ぶべきだ。
また、5倍ズームの望遠やレーザー測量技術を使った3Dスキャニング、使っていない時でも点灯したままのディスプレイ、業務用レベルの品質での写真やビデオの撮影が必要な人は、6~9万円ほど高価なiPhone 16 Pro/16 Pro Maxを選ぶことになる。
iPhone 16eで一番驚いたのはビデオ撮影だ。画質が上位モデルとほぼ変わらないのはカメラ性能から予想していたが、立体感のある空間オーディオでの録音までできてしまった。しかも、オーディオミックス機能にも対応し、被写体の音だけを強調するフレーム内や人の声だけをクリアに通すスタジオ、周囲の音もしっかり聞かせるシネマティックなどにもしっかりと対応している
iPhone 16eの価値は、iPhoneとしてごく基本的な機能を最も手頃な価格で提供することにある。手頃とはいえ、長く続く円安のせいで9万9800円からと高価になってしまったと嘆く人たちがいるかもしれない。
だが、この不安は電話会社が解消してくれそうで、本体をわずか1円や数十円で入手できる購入プランが発表されている。ただし、一定期間(2年間)の契約が必要だったり、通信料金を合算すると割高になったり、契約後に端末を返品する必要があったりと、諸条件には注意が必要だ。それについてはぜひITmediaの他の記事を参考にしてほしい。
本製品の購入を検討しているユーザーの多くは、おそらくこの5年以上iPhoneを新調しておらず、iPhone 11以前(あるいは2020年登場の第2世代のiPhone SE以前)を使っているユーザーだろう。電話会社の購入プランを見つけて、iPhone 16eに切り替えれば、以下の点で「最近のiPhoneはこんなにすごいのか」と確実に驚き、そして満足することだろう。
- 大きく明るく見やすいディスプレイ
- 全ての動作が軽快に感じるパフォーマンス
- 驚くほどきれいに写真を撮れるカメラ
- モバイルバッテリー不要で丸1日持ってしまうバッテリー駆動時間
iPhone 16eへの乗り換えにあたって、まだ持っていない場合は本体以外にもUSB Type-C端子に対応した充電器や本体ケースを買う必要がある。しかし、これも大した出費にはならない。むしろ、これまでのiPhoneが非対応で使えていなかった紛失防止タグのAirTagや、USB Type-C対応の周辺機器を買う欲が出てくる可能性もある。
ここで、AirTagに関しては1つ注意が必要だ。iPhone 16eでは、AirTagを数m単位で探すことはできるが、上位モデルのようにUWB(Ultra Wide Band)という技術を使って数十cm単位で位置を特定する「正確な場所を見つける」は使えない。
さて、以下では触ったからこそ分かる、もっと具体的なiPhone 16e像に迫ろう。
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