ついにApple全デバイスが同じ操作体系に 共通の“皮膚”と“神経”を取り入れて新たな時代へ踏み出したApple:WWDC25(3/4 ページ)
Appleが、年次開発者会議「WWDC25」をスタートさせた。その基調講演で明らかになったことを、Appleウォッチャーの林信行氏がまとめた。
スポットライト:ショートカットキー入力で完結する新しい操作体系
よく行う操作の略号をタイプするだけで、一発で呼び出す機能が「Quick Keys」だ。呼び出したショートカットの宛先などを書き込むことで、状況に応じた操作を代行させることができる。写真はSend Messageの略である「sm」と入力したところ
Apple Intelligenceの方向性を強く感じさせる新しい機能として面白いのが、「macOS Tahoe 26」に搭載される進化したスポットライト機能だろう。
検索機能のスポットライトは、これまでもMacのストレージ上のファイルを探したり、アプリ名の最初の数文字を打ち込んで起動したりといった使い方ができたが、新スポットライトでは予定やリマインダーの追加など、普段アプリを操作して行っていたさまざまなアクションをタイプして実行できる。
例えば、「牛乳を買いに行く」という項目をリマインダーに追加することを考えてみよう。これまでだとリマインダーアプリを起動して、新規項目を作成して、項目を入力していた。しかし、同じ操作をスポットライトから行えばキーボードから手を離さずにこれを実行できてしまうのだ。
これに進化した「ショートカット」機能を組み合わせれば、さらにできることが広がる。ショートカットは、ユーザーがよく行う一連の操作を一発で実行するものだが、macOS Tahoe 26からは、ショートカットの中にApple IntelligenceやChatGPTのAI処理を組み込めるようになった。
そのため、例えば講義の録音をAIで文字起こしした内容と、講義中にとったノートを比較してノートを取り損ねていた部分を補う、といった複雑な一連の操作を登録し、何度でも実行できる。
新スポットライトでは、こうやって作成したショートカットの一連の操作を、その操作につけた名前をタイプして実行可能だ。
特によく行う操作について見ていくと、「リマインダー作成」は「Create Reminder」の略で「CR」、「メール送信」は「Send Mail」を略して「SM」など数文字のアルファベットとして登録しておくQuick Keysという機能が用意されており、呼び出しをさらに楽に行える。
このスポットライト機能は、アプリの利用中も使用できる。例えばPagesなどのワープロで挿入した絵を選択して、スポットライトから「background removal(背景を削除)」とタイプする。するとタイプし終えなくてもPagesに組み込まれた「背景削除」機能が検索に引っかかるので、これを選ぶとキーボードからの操作だけで背景を消すことができる。
あまり使わないアプリの機能は、たまにどこのメニューにあるのか分からなくなったり使い方が分からなくなったりして困ることがあるが、スポットライトはそういった問題も解決してくれそうだ。
Appleはアプリ開発者たちに、このようなアプリではなく、アプリ内の機能を直接呼び出す機能(App Intentという)を用意するように呼びかけている。これに対応するアプリが増えれば、スポットライトからタイプするだけでさまざまな操作が行えるようになる。
また、タイプして呼び出せるということは、当然、遠からずSiriを使って声を使っても操作できるようになるということでもあり、さらにはApple IntelligenceのAIがそれらの機能を活用できるということでもある。
いずれPCやスマートフォンでは、何をやりたいかだけを伝えればAIがそれを理解して必要な操作を代行してくれるようになると言われているが、これらの機能はそういった未来を実現するための重要なステップということができる。
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