“掃除=ルンバ”の構図を定着できるか? アイロボットジャパン社長が語る、新・最上位モデルの狙い(3/3 ページ)
アイロボットジャパンのロボット掃除機「Rommba(ルンバ)」のフラグシップモデルが刷新された。これにより“新生Roomba”のラインアップは完成することになる。同社の狙いをまとめた。
Roomba Max 705 Comboの特徴は?
今回発表されたRoomba Max 705 Combo ロボット + AutoWash 充電ステーションは、その名の通りハイエンドのRoomba Maxシリーズの新モデルで、アイロボットジャパンは「ルンバ史上最高の清掃力を誇るフラッグシップモデル」と位置付けている。
その概要は別記事に譲るが、製品説明を担当したアイロボットジャパンの藤田佳織氏(プロダクトマネージャー)は、「吸引力と水拭き共に(ルンバとして)最高の性能を実現し、ルンバならではのパワーと賢さで、最高レベルの清掃体験を提供する、究極の新製品だ。“徹底した清潔感”にこだわる人に最適なルンバといえる。ペットオーナーやロングヘアの人、4人以上の家族で間取りが広い家庭にお勧めしたい」と語る。
先に発表されたRoomba Max 705 Vac + AutoEmptyとは異なり、本製品は水拭き機能も備えている。しかも、後述の通り新機軸もある。「ペットの抜け毛“も”しっかり掃除したい」「ブラシに毛が絡まない掃除機が欲しい」「とにかく吸引力が強い掃除機が欲しい」「水拭きも、隅々まで丁寧にできるロボット掃除機が欲しい」「どうせ買うなら、最高品質のロボット掃除機を手に入れたい」……というように、幅広いニーズに応えられる製品となっている。
Roomba Max 705 Comboのターゲット層。先行するRoomba Max 705 Vac + AutoEmptyが“特化形”だったのに対して、本製品はより幅広いユーザーに訴求するような感じとなっている
本製品は、ルンバ初となるローラータイプの水拭き機構を備え、温水を使用した水拭き掃除に対応している。毎分200回転で安定した圧力を加え、壁際まで伸びる「PowerSpin ローラーモップ」により、拭き掃除のカバー範囲を拡大した。拭き取り力は「Roomba 105 Combo ロボット」比で最大10倍だ。
藤田氏は「水拭き機能が備わるロボット掃除機の普及が進む中で、ルンバの水拭き機能開発は熟考を重ねた。市場が求める本当に必要な機能や、お客さまにとっての使いやすさを追求した」と語る。
吸引の能力は、Roomba 600シリーズ比で最大175倍で、4段階クリーニングシステムも採用している。Roomba Max 705 Vac + AutoEmptyの「最大180倍」と比べるとわずかに能力は低いということになるが、それでもルンバとしては最上位クラスだ。
さらに、本製品は最新の「Roomba Homeアプリ」に対応し、タップするだけで清掃エリアを選んだり、清掃履歴をもとに最適な清掃を自動で提案したり、モップの乾燥時間や水温も設定できるようにしている。
公式オンラインストア価格は17万9800円で、月額7980円で利用できるサブスクリプションプランも用意している。
日本独自のプロモーション「極サラ水拭き」
今回の新製品の投入に併せて、アイロボットジャパンは9月5日から日本独自のキャンペーン「毎日キレイで #床サイコー」を公式Instagram/X(旧Twitter)アカウントで開始する。さらに「極サラ水拭き」を、ポップに表現した広告動画も配信する。
このキャンペーンでは、極サラ水拭きを実感する瞬間を「#床サイコー」のハッシュタグと共に公式SNSに投稿すると、その内容がCMに採用される可能性がある他、抽選で6人に最上位モデルをプレゼントする。
同社は、水拭き専用掃除機として「Braava(ブラーバ)」を投入しているので、水拭き機能にも一定の実績はある。一方で、ロボット掃除機への水拭き機能の搭載では遅れを取った経緯がある。
しかし、Roomba Max 705 Comboの投入によりルンバの水拭き対応モデルは4万円を切るエントリーから、18万円弱のフラグシップまで幅広く取りそろえることになった。2025年4月から発売した新たなルンバでも、購入する際に、最も重視したポイントとして「水拭き機能」が一番多い回答となっている(20.7%)。
アイロボットジャパンの山内洋氏(経営戦略担当ディレクター)は、「ルンバの水拭き機能によって『床がサラサラになった』『はだしで歩けるようになった』といった声がある。(はだしで歩くと)暑い日でもフローリングがひんやりと感じることができて気持ちがいい。家の“爽快感”を一段引き上げる体験価値を提供できる」と、水拭き機能の意義を強調する。
今回のキャンペーンは、こうしたルンバが備える水拭き機能の特徴を訴求するもので、「ルンバの水拭き機能がもたらす価値をシンプルなワードで表現した」(山内氏)という。
床をはだしで歩きたい――日本ならではのニーズに対して、ルンバの機能を訴求することで、新たなニーズを掘り起こす考えだ。
関連記事
アイロボットがフラグシップロボット掃除機「Roomba Max 705 Combo」を8月29日発売 約18万円
4月にブランドを一新したアイロボットのロボット掃除機「Roomba(ルンバ)」に、新しいフラグシップモデルが登場する。Roomba初要素を複数取り込みつつ、キレイに掃除できることを重視できることを重視するユーザーに訴求する。ロボット掃除機市場はまだまだ伸び代がある 「2030年までに国内掃除機の20%に」 挽野社長が語る「4つの力」
ポストコロナ時代に入り、業界を取り巻く環境の変化スピードが、1段上がった。そのような中で、IT企業はどのようなかじ取りをしていくのだろうか。大河原克行さんによる経営者インタビュー連載は、アイロボットジャパンの後編だ。アイロボットがロボット掃除機「ルンバ」新モデル6機種を一挙投入
アイロボットジャパンは、同社製ロボット掃除機「ルンバ」のラインアップを一新、計6機種の販売を開始する。iRobotコーエンCEOが来日 ロボット掃除機「ルンバ(Roomba)」の新ラインアップを紹介 企業継続への不安は「心配無用」とアピール
アイロボットジャパンが、ロボット掃除機「ルンバ(Roomba)」の新製品を一挙に投入した。親会社の米iRobotのゲイリー・コーエンCEOも登壇し、新製品の特徴を解説しつつ、同社の「継続企業の前提」について心配無用であることをアピールした。新型「ルンバ」は床掃除もパッド洗浄もメンテを自動化! 家事がはかどらない人必見
アイロボットジャパンは8月29日、ロボット掃除機「Roomba Combo 10 Max ロボット+AutoWash 充電ステーション」「Roomba Combo 2 Essential ロボット+AutoEmpty 充電ステーション」を発表した。掃除だけでなく掃除後のパーツクリーニングも自動化した。家事や育児で掃除に回らない家庭に訴求する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.