コラム

2025年のPC業界を振り返る キーワードは「EOS特需」「メモリ逼迫(ひっぱく)」「Snapdragon」(3/4 ページ)

2025年もまもなく終わる。PC業界にとって、この年はどういう年だったのか。振り返りたい。

ノートPC向けCPU/SoCに「Qualcomm」という第3の選択肢

 もう1つ、2025年はWindowsノートPC向けのCPU/SoCベンダーの“3社体制”が定着した年としても記憶されるだろう。

 従来、WindowsノートPC向けのCPU/SoCといえば、AMDとIntelの事実上の2択だった。スマートフォン向けSoCで知られるQualcommも、PC向けSoCをリリースしていたものの、バッテリー駆動時間は長い反面、性能面でAMDやIntelに大きく遅れを取っていた。加えて、Qualcomm製SoCはアーキテクチャが異なるため、ソフトウェアの互換性問題を指摘される場面も多かった。ゆえに、Qualcomm製SoC搭載PCは、現実的な選択肢になり得ない状況だった。

 しかし2024年5月、Microsoftが発表した「Copilot+ PC」にQualcommの最新SoC「Snapdragon X」シリーズが搭載されると、状況は一変した。Microsoftのフラグシップ製品である「Surface Pro」「Surface Laptop」にSnapdragon X Elite/Plusが採用され、2025年5月に発表されたよりローエンドな製品でもSnapdragon Xシリーズが採用されることになった。

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Snapdragon X Eliteのチップ

 ファーストパーティーたるMicrosoft製品に採用された事を受けて、ソフトウェアベンダーの対応も進み、Snapdragon Xシリーズ(ArmアーキテクチャのCPU)に関する互換性問題は解消する方向に向かっている

 例えばゲームのアンチチートツールもArmアーキテクチャへの対応が進み、日本市場における“最大の課題”だった「ATOK Passport for Windows」も2026年2月のメジャーアップデートでArmアーキテクチャ対応を果たす。

 アドビのアプリもほぼ対応が終わり(β版を含む)、プリンタドライバもキヤノン、エプソン、ブラザー工業や日本HPといった主要メーカーがArm対応を進めている。

 こうして、Snapdragon X(Armアーキテクチャ)における互換性問題は徐々に解消に向かっている……のだが、もちろんこういう問題は“100%解消”というのは難しい。「ほぼ問題のないレベル」になってきたという意味である。

 こうした状況を受けて、他のPCメーカーでもSnapdragon Xシリーズを採用するモデルが増加傾向にある。ASUS JAPANのようにSnapdragon Xシリーズ専用モデル(Zenbook SORA)を用意するメーカーもあれば、日本HPやレノボ・ジャパンのように、1つのシャシー(ボディー)でAMD/Intel/QualcommのCPU/SoCを選べるようにしているメーカーもある。一方で、デル・テクノロジーズのようにSnapdragon Xシリーズを限定的な採用にとどめているメーカーも存在している。

 ともあれ、2024年よりもSnapdragon Xシリーズ搭載モデルの選択肢が増えたことは間違いない。この年末にはDynabookから「dynabook XD5」が発表され、いよいよ国内のPCメーカーにもSnapdragon Xシリーズの波がやってきた。

 AMDやIntelに加えて、Qualcommもマトモに選べるようになった――2025年はそんな年だと記憶されることになるだろう。


Zenbook SORAはSnapdragon Xシリーズ専用モデルにして、ASUSTeK Computerとしては初めて日本市場をメインに据えて開発を進めたモデル

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