「次にAIが狙うのは経営者の仕事」――インテル大野社長が語る、設立50周年の「矜持」とAI時代の生存戦略:IT産業のトレンドリーダーに聞く!(2/3 ページ)
ポストコロナ時代に入り、業界を取り巻く環境の変化スピードが、1段上がった。そのような中で、IT企業はどのようなかじ取りをしていくのだろうか。大河原克行さんによる経営者インタビュー連載は、インテルの後編だ。
供給逼迫と円安の荒波を乗り越えるインテルの視点
―― インテルは、日本の教育分野のデジタル化支援に長年取り組んでいますね。この姿勢は今後も継続しますか。
大野 その姿勢はこれからも変わりません。2025年は内田洋行と協力し、石川工業高等専門学校(石川高専)に、最先端のAI教育を実践する学習施設「AI Career Tech Center」を設置しました。アジアでは初の取り組みであり、「AI教育に最適な環境、かつ地域連携を促進する拠点」と位置付け、学生がAIの最新の技術や知識を習得し、地域課題の解決に取り組む教育モデルを推進します。
石川高専は、もともと授業にAIを積極的に取り込んでおり、新たな学習施設はそれを加速するために、アイデアを引き出す教室空間の実現を支援したり、AIを創るための高性能PCの導入を支援したり、教職員向けのAI研修や本格的なAI教材の導入などを進めます。
また、埼玉県戸田市の戸田中学校では、ダイワボウ情報システムと連携して「STEAM CAMPUS」を設置し、最新テクノロジーを活用したSTEAM教育のあり方について共同研究を進めています。
最新テクノロジーを各教科の学習で活用するだけでなく、実社会における課題解決などを行うプロジェクト型学習「戸田型PBL」にも取り組みます。さらに教員研修では、インテルの教員研修プログラム「Skills for Innovation」も活用します。
2026年も、日本の教育分野に対する支援を行っていくことになります。
―― 2026年のインテルを取り巻く環境は、どう捉えていますか。
大野 国内のPC市場は、年間出荷台数が減少するフェーズには入りますが、全世界で見るとPC市場全体は4%増の成長が見込まれています。PCが成長分野であることに変わりはありません。
さらにデータセンターの領域では、AIに対する世界的な投資意欲の高まりを受けており旺盛な需要が続いています。全世界の半導体出荷金額は、年間1兆ドルに迫る水準となっています。かつては、2030年に1兆ドルに到達すると言われていたものが、4年も前倒しになっている状況なのです。
また、米国では半導体関連株がけん引し、NYダウやナスダック総合指数、S&P500も過去最高値を更新するといった動きが出ており、日本でも日経平均株価が史上最高値を更新する動きにもつながっています。
ただ、データセンター向けのHBMメモリの需要が伸長し、あらゆる主要デバイスが足りなくなる状況が生まれている点は注意しなくてはなりません。供給が逼迫(ひっぱく)してメモリなどの価格が上昇しており、セットメーカーにとってはサプライチェーンをどう見るかが極めて難しい局面に入っています。
さらに日本では為替の影響も大きく、関税政策への対応やレアアースの課題もあります。ここは慎重に見極めていく必要がある領域です。
個人的には、ソブリンAIに注目しています。世界各国で「AI主権」が大きな話題となっており、日本でも高市政権となったことで、経済安全保障の観点からも国家レベルでAIやデータの主権に対する関心が高まっています。
特に日本では、2025年にサイバー攻撃によるセキュリティ問題が大きくクローズアップされたことも、セキュリティ強化とともに、データ主権/AI主権を重視することに影響しています。2026年において、最も注目される分野の1つだと見ています。
その一方で、投資家やアナリストから高い関心が集まっているのが、インテルが考えるAI戦略です。インテルはこの分野で、どんな役割を果たすのかが注視されています。
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