市場の逆風も「成長のチャンス」へ――トップ自らeスポーツの現場に立つマウスコンピューター、2026年の戦い方:IT産業のトレンドリーダーに聞く!(3/3 ページ)
ポストコロナ時代に入り、業界を取り巻く環境の変化スピードが、一段上がった。そのような中で、IT企業はどのようなかじ取りをしていくのだろうか。大河原克行さんによる経営者インタビュー連載は、マウスコンピューターの後編だ。
AI PC普及の鍵は「アプリの充実」 慎重姿勢の背景と真の価値訴求
―― その一方で、AI PCに対しては、やや慎重な姿勢をみせている感じを受けます。
軣 そこは、今でも慎重です(笑)。大手PCメーカーでは、2026年度には出荷の約半分をAI PCが占めるといった方針を出していますが、当社ではAI PCの構成比は1桁台の水準です。2026年度も大きく成長するとは思っていません。
私は今のAI PCの価格と、NPUが持つ機能と性能、AI PCがもたらすメリットという点で、まだギャップが埋めきれていないと思っています。AI PCはハードウェアの性能だけが上がればいいというものではなく、使われるアプリケーションによって初めて効果を得られますが、それが不足しているのが現状です。特に日本では、AIアプリケーションの不足が顕著な状況にあります。
例を挙げると、コンシューマーユーザーの多くはAIというとChatGPTを想定すると思いますが、その範囲の利用であればAI PCは必要ありません。ChatGPTを使うのにAI PCでなければいけないといった誤解を解きつつ、ではAI PCの価値は何ということを正しく訴求していく必要があります。
そのためには、コンシューマーユーザーがメリットを実感できるAIアプリケーションが必要です。当社でも、リーズナブルな価格帯のAI PCを投入していく努力をしなくてはなりませんし、ダイレクトショップではAI PC体験コーナーを設置し、実際に触ってもらえる場も提供していきます。
ただ、AI PCはどのメーカーが市場に投入しても今はデザインが異なるだけで、中身はほぼ一緒という段階ですし、AI PCならではの提案ができていないという現状は、裏を返せばメーカーのエゴで製品を投入しているという範ちゅうを抜け出ていないともいえます。アイデアやサービスなどでの差別化が打ち出せるAI PCを市場に投入し、選ばれるAI PCを作っていかなくてはならないと考えています。
―― マウスコンピューターが取り組む、社会貢献に向けた基本姿勢を教えてください。
軣 当社では複数の大学や地方自治体と包括連携協定を結び、研究プロジェクトの共同推進、街作りや地域活性化、DX推進や働き方改革、人材育成、地域でプログラミング教室やPC組み立て教室を実施するといったことも行っています。
今後は当社が包括連携を結んでいる大学同士、自治体同士の連携も強化していきたいですね。例えば、当社が包括連携を結んでいる長野県飯山市と北海道の木古内町は、どちらも雪国ですから、その点では似た課題を持っている部分があります。当社が間に入りながら、共同で課題解決などにも取り組むことができるのではないかと思っています。
―― 軣社長が経営トップとして、今重視していることは何ですか。
軣 できるだけ社員と話すことを心がけています。上下関係を意識せずに、どのタイミングでも、すぐに言える環境を作りたいですね。
そして、最も重視していることは、やはり、「ものづくり10」の徹底です。マウスコンピューターの社員はみんな真面目なんですよ(笑)。そういった社員たちが、楽しみながら仕事をしてもらい、アイデアを生み出してもらう企業であることが大切です。モノ作りを起点にして、常に挑戦している企業でありたいと思っています。
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