「実は社長を狙ってました(笑)」──元日本MS幹部が語るグーグル・クラウドへ移籍した理由と「伸び代しかない」日本のAI市場の今後:IT産業のトレンドリーダーに聞く!(2/3 ページ)
2025年10月、日本マイクロソフトで20年間にわたり要職を歴任してきた三上智子氏が、グーグル・クラウド・ジャパンの代表に就任した。就任から半年が経過した今、彼女はなぜGoogle Cloudを選んだのかについて、率直に語ってもらった。
MS時代の幅広い事業経験をGoogle Cloudの多彩な製品に生かす
―― Google Cloudを外から見ていた時と、中に入ってからの印象は違いますか。
三上 技術の先進性には注目していましたが、実際に入ってみて、それ以上のインパクトを感じています。
ご存じのようにGoogleは「AIファーストカンパニー」として、早い段階からAIに対する投資を加速させてきました。AIの広がりとともに、Google Cloudに対する関心がますます高まり、生成AIの「Gemini」を使いたいというお客さまの声が日を追うごとに増えています。
また、技術の広さという点でも、Googleならではの強みを感じています。Alphabet全体で見ると、検索サービスやGoogle マップ、YouTube、スマホの「Pixel」だけでなく、Google DeepMind、Waymo、Wing、TPU(Tensor Processing Unit)などの最新技術を活用した製品やサービスがあり、研究開発領域ではヘルスケアなどにも積極的に投資を行っています。IT業界において、最も広い領域に技術や製品、サービスを展開している企業だといえます。
Googleの特徴の1つが、オープンで、カジュアルな企業カルチャーを持っている点です。これは、私の性格とも親和性があると思っています。Google Cloudは、日本におけるエンタープライズビジネスの拡大が重要なテーマとなっていますが、エンタープライズ一本でやってきた企業とは明らかに異なる文化を持っています。
入社する前に、ある方から「Googleはキオティック(ケイオティック/混沌)な企業だよ」と言われたことがありました(笑)。スタートアップ企業としての気質があり、新たなことにも挑戦する企業風土を持つ一方で、コンシューマードリブンな企業であり、エンタープライズビジネスの手法をもっと変革していく余地があるという点で、そうしたイメージがあるのかもしれません。
ただ、裏を返せばエンタープライズIT企業の中では、ユニークなカルチャーを持った企業であり、私のこれまでの経験を生かすという点では、Google Cloudのカルチャーの方が合っていると思っています。
―― どんな点で、これまでの経験が生かせますか。
三上 私は日本マイクロソフトで、さまざまな事業に携わってきました。2015年7月に発売したWindows 10では、多くのユーザーが利用していた環境を、Windows as a Serviceという新たな考え方の下で、ビジネスモデルを大きく変革する役割を日本でリードしました。また、MRグラスの「Microsoft HoloLens」では新たな事業の立ち上げに関わり、Microsoft初のタブレットPCである「Surface」の日本への導入にも関わりました。
HoloLensやSurfaceでは、パートナーエコシステムの構築に一から取り組むといった経験もしています。さらに、中堅中小企業向けビジネスを担当したときには、事業全体を統括し、そこで、大きな成長を遂げることができました。そして、直近まではエンタープライズビジネスを担当しています。
幅広い事業に関わってきたことは、Google Cloudが持つ幅広い製品ポートフォリオのビジネスにも生かすことができますし、事業を統括してきた経験、エンタープライズの経験も強みになります。グーグル・クラウド・ジャパンが持つ製品やサービスは、それぞれに事業フェーズが異なり、手の打ち方も違います。これも、私のいろいろな経験が生かせる部分だといえます。
グーグル・クラウド・ジャパンは、日本において、さらに大きな成長ができる余地を持った企業です。例えばAIの変化は劇的であり、使い方も大きく変わろうとしています。ただ、AIの活用には企業ごとに温度差がありますし、本当の意味でAIのメリットを享受できるのはこれからです。
言い方を変えれば、伸び代しかない市場です。例を挙げると、Google Cloudの主要プロダクトの1つであるBigQueryは、多くのお客さまにお使いいただいていますが、これからは、AIエージェントレディのインフラやデータの持ち方、分析の仕方が求められ、それに伴ってBigQueryの役割や提案方法なども大きく変化します。
これまで築き上げてきたものを拡大/進化させながら、AIという切り口で新たなビジネスの仕組みを模索していくフェーズに入っているわけです。スピード感を持って、失敗を恐れずに挑戦していくことが大切であり、これが結果的にお客さまやパートナーのメリットにつながります。
日本マイクロソフト時代に経験した新たな仕組み作りの実績は、AI時代の新たな仕組み作りにも生かすことができると考えています。簡単なことではありませんが、チームメンバーと共に新たなことに挑戦できることはとても楽しみです。
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