インタビュー

「20年使ったMS製品からの移行は苦労も」グーグル・クラウド・ジャパン三上代表が語るGoogle独自の強みとAI実装の最前線IT産業のトレンドリーダーに聞く!(2/3 ページ)

グーグル・クラウド・ジャパンの代表に就任した三上智子氏が、最初に着手した大仕事――それは同社初となる「日本独自のビジョン」の策定だった。今後の成長戦略を含め展望を聞いた。

なぜGoogleのビジョンに「ワクワク」? 背景にある日本法人の“危機感”と“使命”

―― グーグル・クラウド・ジャパンが掲げたビジョンは、どんな言葉になりましたか。

三上 「AIの力でともに創ろう、ワクワクする日本の未来を」としました。また、ビジョンと共にパーパスやバリューも策定しました。これらは、私たちが日本の市場にどう貢献したいのかということを示したものです。

 このビジョンの下で、どのセグメントのお客さまに対して、どうアプローチをしていくのかといったことを明確化し、組織作りやビジネスプロセスに落としていくという取り組みを行っています。

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―― 「日本の未来」という言葉を使っていますね。これはどんな意図がありますか。

三上 日本法人の社員は、米国の会社に属しているからこそ、むしろ、日本に対して熱い思いを持っています。議論の中でも、「子どもたちが希望を持てる日本の未来を作りたい」「世界に誇れる日本にしたい」という声が出てきました。課題先進国の日本だからこそ、最先端の新たな事例を発信し、世界をリードしていくことができます。

 現在、当社は米国本社に直接レポートを行っています。本社との関係を維持するためには、日本はこれだけの投資をする価値がある市場だということを見せなくてはいけません。社員にはそういう危機感があり、私以上に社員が感じている部分でもあります。

 外資系企業の日本法人が、本社との直接やりとりからアジアの傘下に入るといった動きが出ています。グローバル全体における日本の立ち位置を考えた際にも、同じようなことが起きているといえます。日本を元気にしていきたい、日本の未来を明るくしたいというグーグル・クラウド・ジャパンの社員の気持ちがここに示されています。

―― もう1つ気になったのは、「ワクワク」という言葉を使っている点です。

三上 私らしいとも言われるのですが(笑)、ビジョンはみんなのものにしたいと考えていたので、言葉の選定について私はあまり強くは言っていないんです。

 最初は「躍動」といった言葉なども候補に挙がっていたのですが、議論に参加したメンバーからは、「硬い言葉はGoogleらしくない」という声が挙がり、「ワクワク」という言葉になりました。議論の最後の方では、私が、記者発表を模して、いくつかの言葉を発言してみたのですが、「ワクワク」という言葉を使ったときには、メンバーから「これだ!」という声が出たりして、自然と拍手が沸きました。

―― やはり、三上代表らしい部分だと感じます(笑)。2日間という短期間で決めたところには意味はありますか。

三上 この時の熱量をそのまま形にしたかったのです。一度議論から離れ、現業に戻ってしまうと忙しさに追われて、熱量が下がってしまいますからね。議論の密度を優先しました。ここを逃したら、まとまらないと思い、現場では「午後1時までには決める!」と言ってました(笑)。

 ただ、完成したビジョンに対するメンバーの納得感は強いものがありました。今はワークショップを通じて、社員一人一人に浸透させ、自分事にしてもらうための活動を進めています。

―― 既に「三上流」といえる経営が始まっているようですね。三上さんが手本にしている経営者はいますか。

三上 誰か1人ということではなく、その時々の場面で手本にしている経営者がいます。とはいえ、日本マイクロソフト元社長の平野拓也さんからは、いろいろと影響を受けています。

 世の中を良くしたい、お客さまを良くしたいということに真剣に取り組む経営者であり、思いを形にすることに長けています。学ぶ部分が多い経営者です。また、Microsoftのサティア・ナデラCEOによるカルチャー変革への大胆な取り組みからも学ぶところは多いですね。そして、Alphabetのスンダー・ピチャイCEOからも多くのことを学んでいます。

―― 三上代表は、どんなグーグル・クラウド・ジャパンを目指しますか。

三上 一言で言えば、ワクワクがある会社、元気がある会社にしたいですね。マグネットのようになり、みんなが働きたくなる会社を目指します。お客さまからも「エネルギーがあって、元気がいいね」と言ってもらえるとうれしいですね。

 もっともっと、元気で、勢いがある会社になれると思っています。当社には「ビルド(作る)」する余地がたくさんありますから、その動きを楽しみにしていてください。

―― 米国本社からはどんなことを求められていますか。

三上 こちらも一言にまとめると、ビジネスの成長となります。私も、グーグル・クラウド・ジャパンは日本市場の潜在ポテンシャルよりも、より高い成長を遂げることができると考えています。その成長のためには、米国本社から、もっと多くのサポートをしてもらおうと思っています。

 成功体験を共有し、日本と本社が共に成長することを重視します。AIの登場によって、私たちを取り巻く環境は、過去とは比べものにならないほど、激しい変化の中にあります。本社としっかりと連携をし、一緒になってビジネスを作り上げていきたいですね。

 Google Cloudのトーマス・クリアンCEOは、オラクルに長年在籍していたこともあり、日本におけるパートナービジネスの重要性を深く理解しています。当社がNEC、富士通、日立製作所、NTTデータなどとパートナーシップを組み始めたのはこの数年です。他社が長年にわたるパートナーシップを構築してきたのに比べると大きな差があり、もっと関係を強化していく必要があります。

 その一方で、GoogleのAIに対する関心が高まっていますから、その点は追い風になると思っています。本社との連携を強化しながら、パートナーエコシステムを強化し、日本でのビジネス成長を加速していきます。

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