インタビュー

「20年使ったMS製品からの移行は苦労も」グーグル・クラウド・ジャパン三上代表が語るGoogle独自の強みとAI実装の最前線IT産業のトレンドリーダーに聞く!(3/3 ページ)

グーグル・クラウド・ジャパンの代表に就任した三上智子氏が、最初に着手した大仕事――それは同社初となる「日本独自のビジョン」の策定だった。今後の成長戦略を含め展望を聞いた。

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20年使ったMS製品からGoogle Workspaceの移行で見えた強み

―― 2026年のグーグル・クラウド・ジャパンのビジネスは、どこに力を入れていくことになりますか。

三上 それは明確で、「Gemini Enterprise」ということになります。Gemini Enterpriseは、あらゆる従業員が全てのワークフローにおいて、最先端の Google AI を利用できるようにするための高度なエージェントプラットフォームです。

 組織全体のデータソースを活用して、生成 AI/エージェント/ワークフローによる支援を実現すると共に、他社クラウドで作ったエージェントとも連携ができます。さまざまなビジネスプロセスがAIレディとなり、数多くのエージェントが創出される中で、これらのエージェントを制御するプラットフォームが必要です。それを担うのがGemini Enterpriseとなります。つまり、Gemini Enterpriseは、AIの全ての入口において、使ってもらえるものになります。

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 しかし、日本では事例が重視されますから、各業種において「ノーススターユースケース」を提示することが大切だと考えています。グローバルのサービスデリバリーチームが用意している事例に加え、合宿形式のワークショップを通じて、顧客のビジネス課題の解決に向けたソリューション開発を支援する「TAP」(Tech Acceleration Program)での事例創出、さらには、日本独自の実績などを積極的に見せていきます。

 既に、SOMPOホールディングスでは国内グループ会社の社員約3万人を対象にGemini Enterpriseを導入し、煩雑な保険の審査業務などにおいて、エージェントに置き換える取り組みを進めています。

 また、メルカリではGemini Enterpriseを活用してコールセンターの業務を刷新し、カスタマーサービス担当者の業務量を少なくとも20%削減し、500%のROIを生み出す計画です。さらに、日立製作所でも、4万シートを導入し、自らGemini Enterpriseを活用しつつ、パートナーとして提案活動を進めることになります。


今後注力する「Gemini Enterprise」

 感度の高い経営者は、エージェントによって、経営をどう効率化していくのかという具体的なアイデアを持っています。そこに、Gemini Enterpriseをどう活用するか、どう実装するかが、ポイントになってきています。こういったユースケースを日本で増やしていき、それを紹介しながら横展開していきます。

 Gemini Enterpriseによって、私たちの提案や販売のやり方も変えていかなくてはなりません。エンジニアが一緒になってクイックに開発し、実装し、伴走しながら活用していくという仕組みも考えていく必要がありますね。

 一方、2026年1月に米国ニューヨークで開催されたNRF(全米小売業協会)主催の「リテールズ・ビッグ・ショー2026」では、Gemini Enterprise for Customer Experience(GECX)を発表し、大きな話題を呼びました。

 Google Cloudはリテールのお客さまと深いつながりを持っており、Gemini Enterprise for Customer Experience(GECX)では、エージェントを通じて買い物体験を大きく変える提案をしています。この領域は、エージェントの活用が一気に進むと想定される分野でもあります。

 リテールやファイナンス分野でも、日本のお客さまならではの先進的な事例を作ります。2026年には、各業種においてトップ2~3社で、Gemini Enterpriseのノーススターユースケースを出せるというようにしたいですね。

 ハードルは高いですが、Gemini Enterpriseに対する期待感が急速に高まっており、状況は大きく変わっています。また、こういった事例作りをパートナーと一緒に進めたいと考えています。当社だけでなく、パートナーも成果の横展開が進められるような状況を生み出します。

 明らかなのは、AIをテクノロジーで議論するフェーズは終わり、どう実装するか、どんな効果があるのかというフェーズに入ってきているという点です。Gemini Enterpriseは、そこに回答を出すことができます。

―― 2026年1月の事業方針説明会では、2026年度の重点領域として、「インフラ」「開発者体験」「データ」「セキュリティ」「エージェントの業務ツール」を掲げました。

三上 これもGemini Enterpriseと密接に関連します。Gemini EnterpriseをAIの入口として捉えた場合、データ活用やAPI連携、それを支えるインフラ、セキュアな環境は必ず求められます。全てがGemini Enterpriseとつながることになります。

 Gemini Enterpriseは、エージェントの変革を促すことになります。企業が持つ経営課題に対して、これまでのテクノロジーではアプローチできなかったことでも、Gemini Enterpriseではアプローチができるようになり、その結果、企業のトップラインを伸ばし、コストを下げることができます。

―― 一方で、Google Workspaceは、どんな進化を遂げることになりますか。

三上 オフィスで日々活用する文房具としての役割は変わりません。ただし、AIレディの時代においては、Google Workspaceが、データソースの1つとしても位置付けられ、そこからAIエージェントが稼働するといったことも考えられます。

 Google Workspaceの引き合いは増加傾向にあります。ここでもGeminiの効果があります。私は20年以上、Microsoft Officeを使ってきましたから(笑)、Google Workspaceに移行して、最初の2週間ぐらいは苦労したのですが、すぐに慣れましたよ。独特の軽さがあり、そこは一度使い出したら離れられないですよ。

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