理論値以上のゲーミング性能を発揮できる秘密は? MSI Claw 8 EX AI+で知る「Intel Arc G3 Extreme」の実力(1/5 ページ)
IntelがポータブルゲーミングPCに特化したSoC「Intel Arc G3」シリーズをリリースした。このSoC、理論性能だけを見るとライバルに劣るのだが、実際にゲームを遊ぶと性能面で“逆転”することがある。その秘密に、「MSI Claw 8 EX AI+」を通して迫る。
近年、ハンドヘルド型のゲーミングPC(ポータブルゲーミングPC)への注目が高まっている。といっても、既存のゲームプラットフォームを脅かすほどのブームではない。実際、この分野はニッチな世界の製品のままではあるのだが、「新ジャンル」として順調に市場規模を拡大している。
このタイプの製品が以前からなかったわけではないが、ここまでのブームに成長させた“仕掛け人”は、Valveが2022年に発売した「Steam Deck」だといえる。実際、Steam DeckはPCメーカーに広く影響を与え、2023年にはいわゆる中華メーカーを中心に各社から似たコンセプトの製品が登場した。特に大手PCメーカーのLenovoが「Legion Go」シリーズ、ASUSTeK Computer(ASUS JAPAN)が「ROG Ally」シリーズ、MSIが「Claw」シリーズをほぼ同タイミングで投入したあたりから、認知度がグッと広がった印象だ。
その多くがAMDのRyzenプロセッサ(SoC)を採用する中、MSIは積極的にIntelプロセッサを採用したモデルを投入している。今回取り上げる「Claw8-EX-AI-CG3EM-406JP」(以下「Claw 8 EX AI+」)も例外ではなく、Intelの最新モバイル向けCPUアーキテクチャ「Panther Lake」(開発コード名)をベースに、ポータブルゲーミングPCに最適化したSoC「Intel Arc G3 Extreme」を搭載している。
今回は、インテルから借りた実機に触れることができたので、その性能を探ってみたいと思う。
Intel Arc G3 Extremeの「GPU」の性能をチェック
こうしたポータブルゲーミングPCに関心を抱くユーザーは、「どの程度のゲーミング性能があるのか?」という点に興味が集中しているはずだ。そこで、まず性能評価から行うこととしたい。その上で、本体回りやArc G3 Extremeの素性などの話題に切り込んで行こう。
最初はしっかりめの負荷をGPUに掛けられるゲームベンチマークテストを実行しようと考え、カプコンの「モンスターハンターワイルズベンチマーク」の利用を考えた。しかし、本アプリの配信は2025年1月をもって終了している(参考リンク)。
しかし幸いなことに、同社は7月から「鬼武者 Way of the Sword」のベンチマークソフト(鬼武者ベンチ)を公開した。今回は、これを使って性能を確認することにする。
なお、鬼武者ベンチのダウンロードには「Steam」または「EPIC Store」のアカウントが必要となる。
鬼武者ベンチのベースとなっている鬼武者 Way of the Swordは、カプコンが誇るゲームエンジン「REエンジン」をベースに制作されており、グラフィックスの作り込みには高い評価が寄せられている。さらに、アクションゲームでありながらレイトレーシング(RT)にも対応している。
ある意味で、最新マシンのゲーミング性能を推し量るにはもってこいといえる。
Claw 8 EX AI+単体で測定しても絶対的な性能が分かりにくいため、ちょうどいい比較対象がほしい。たまたま、筆者は私物でASUS JAPANの「ROG Xbox Ally X」を所有しているので、これと比べることにした。
ROG Xbox Ally Xは、2025年時点ではポータブルゲーミングPC向けとしてほぼ最高性能クラスと言われていたSoC「Ryzen AI Z2 Extreme」を搭載している。Claw 8 EX AI+(Intel Arc G3 Extreme)の詳細なスペックに対する考察は次節以降に提示するが、ここでは、GPUの理論性能値だけをざっくりと比較しよう。
まずは、両SoCの主要スペックをまとめた下表を見てほしい。
GPUのピーク性能は、Claw 8 EX AI+(Intel Arc G3 Extreme)が7.07TFLOPS(毎秒7.07兆回)なのに対して、ROG Xbox Ally X(Ryzen AI Z2 Extreme)が11.88TFLOPS(毎秒11.88兆回)となる。単純に見ると、Claw 8 EX AI+比で1.68倍の演算能力を持つROG Xbox Ally Xはだいぶ高性能ということになる。
メモリ帯域はClaw 8 EX AI+が毎秒136GB、ROG Xbox Ally Xが毎秒128GBであり、Claw 8 EX AI+の方が7%ほど高速だが、大差といえるほどではない。
鬼武者ベンチマークは、描画解像度をフルHD(1920×1080ピクセル)にそろえた上で、パフォーマンスの違いが出るのか確かめるためにグラフィックスのプリセット設定を「中品質」「高品質」の2パターンで計測した。また、レイトレーシング(RT)の有効/無効による影響を見るため、「中品質」設定時にのみRT設定「中」でもテストを実施した。
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