インタビュー

マザーボードから総合AI企業へ──ASUS ジョニー・シー会長が語る35年の軌跡、「All in on AI」のビジョンと日本市場での勝算:IT産業のトレンドリーダーに聞く!(2/3 ページ)

「日本はASUSの成長を支え、多くの学びと挑戦を与えてくれた特別な市場である」──ASUSTeK Computerのジョニー・シー会長はそう断言する。シー会長とASUS JAPANのアルビン・チェン代表取締役社長に、これまでのイノベーションの軌跡と、総合AI企業へと進化する未来へのビジョンを聞いた。

7年ぶりの海外訪問先に日本を選んだ理由と「禅」への共鳴

―― シー会長は、2026年6月に7年ぶりの来日を果たしたわけですが、それに関しては特別な思いはありましたか。

シー コロナ禍をきっかけにして、この7年間は海外を訪問し、お客さまと直接お会いする機会には恵まれませんでした。しかし、今回、約7年ぶりとなる海外訪問の機会を得て、その最初の訪問先に、日本を選びました。日本に来ることができたことを大変うれしく思います。

 私は日本の文化が好きで、とても尊敬をしています。常に、伝統文化として根づいている「禅」に触れたり、京セラの稲盛和夫氏のような優れた日本の経営者の話に触れたりしていますし、質に対するこだわりについても学ぶ部分が多くあります。

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 当社の数ある製品の中でも、私にとって特別な存在といえるのが「Zenbook」シリーズです。Zenbookの名称は、日本の「禅」の精神から着想を得ており、採用している同心円の象徴的なデザインも、日本庭園からインスピレーションを受けたものです。

 日本で初めてZenbookを発表したとき、多くのお客さまやパートナー各社から、温かい支持をいただいたことを今でも鮮明に覚えています。

 それ以来、何度も日本を訪れ、新しいASUSのイノベーションを紹介してきました。今回は、久しぶりに来日することができ、とてもエキサイティングでした。

 当社にとって、日本の市場は最も重要な戦略市場の1つです。そして、日本は35年以上にわたり、当社の成長を支え、多くの学びと挑戦を与えてくれた特別な市場です。

 日本は世界第3位の経済規模を持ち、アジアを代表する市場として技術や品質、そしてイノベーションにおいて業界の基準を引き上げ続けています。また、日本はクラフトマンシップ、機能美、信頼性が高く評価される市場でもあり、日本のお客さまに認めていただくことは、当社にとって、品質と信頼の証につながると考えています。


最新の「ASUS Zenbook 14 UX3480」シリーズ。カラーはコモドコーラルだ

日本の厳しいニーズに応える「究極のエンジニアリング」

―― ここ数年、日本の市場における御社のシェアが上昇し、存在感が高まっています。その理由は何であると自己分析していますか。

シー 日本のPC市場において当社が成長するには、どこに力を入れるべきかといったことを2019年から日本法人の社員たちとともに検討してきました。

 日本では、品質が重要な要素となります。耐久性や信頼性に対して、高い基準を持つ市場であり、見た目の美しさにもこだわる市場です。私は、これらの考え方は、「禅」に通じるものだと捉えています。

 当社はエンジニアが中心にいる企業であり、それが当社のDNAの一部となっています。また、Extreme EngineeringおよびDesign Thinking(究極のエンジニアリングおよびデザインシンキング)を追求している会社でもあり、営業部門であっても、こうした思考を持って動くことができます。

 日本での事業を強化する上では、これらのDNAや姿勢が生きました。日本のお客さまがどういう生活をして、どういうニーズがあるのかを理解し、そうしたユーザー向けの製品を設計していくという取り組みを開始し、この結果、当社の製品が受け入れられたと考えています。

 「ASUS Zenbook SORA」や、今回発表した「ASUS ExpertBook Ultra」は、日本のお客さまが求める品質や頑丈さ、薄型化や軽量化に対する要望などを反映したものです。ASUSのトップデザイナーにとっても、日本からの要望は大きな挑戦となっています。

 しかし、それを楽しみながら課題をクリアしていく様子を目の当たりにするのは楽しいものです(笑)。当社のエンジニアやデザイナーは、日本のお客さまの要望に応え、その要望を超えるための努力を、日々重ねています。


日本国内の教育市場でシェア2位を獲得(2025年度)

国内の法人市場では3位まで上昇した(2026年度第1四半期)

チェン 日本市場向けには、まず若い世代をターゲットとした取り組みを強化しました。日本の若い世代に受け入れられるPCとは何かを追求しながら、ゲーミングPCに力を注ぎ、そこでNo.1のシェアを獲得しました。

 さらに、GIGAスクール構想に対応したChromebookを投入しました。2021年には、教育分野で8位だったものが、今では2位のシェアを獲得しています。そして、2022年には官公庁市場へと事業展開を広げ、わずか3年間でゼロだった市場シェアは12%へと拡大し、第3位のポジションとなっています。さらに、Copilot+ PCは、2024年6月に発売して以降、市場シェアNo.1を維持し続けています。

 このように2019年以降、狙ったそれぞれのカテゴリーにおいて、実績を上げてきました。当社は日本市場においてユーザーターゲットを明確にし、それに対応する製品開発を行うという手法を採用し、それが功を奏しています。

 振り返りますと、特に大きな転機となったのが2020年4月で、このときにGIGAスクール構想が本格化しました。日本法人の売上高が一気に上昇し、過去最高の実績となったのもこのタイミングです。

 また、これらの施策を展開する中で、日本のお客さまから多くのフィードバックと高い評価を得ることもできました。同時に、販売パートナーからも、店頭での展示スペースをもっと増やしたいという声をいただくことが増えました。

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