レビュー

「iPhone Duo」を1週間使って分かった、全部盛りではない“上質さ” 心地いい開閉ヒンジの内部を見るために“非破壊検査”してみた(2/5 ページ)

36万4800円からの「iPhone Duo」を約1週間試用した。望遠カメラやProRAWを省く一方で、縦長に開く画面や空間オーディオ、開閉の感触、純正フォリオまで造り込まれている。性能より使い心地の上質さで勝負する、新しいハイエンドの姿を探る。

横に開けば、2つのアプリを並べて使える

 縦に持てば読むのが快適になる。一方、横に持てば映画などの映像コンテンツを楽しめるだけでなく、広い画面を2つの用途に振り分けられる快適さもある。1枚の画面を左右に分割し、2つのアプリを並べる「Split View」だ。

 画面左側にWebブラウザやAIアプリを開いて調べ物をしながら、右側でメールの返事やソーシャルメディアの投稿を書く。あるいは左右にWebブラウザを2つ開いて競合製品を比較したり、片方にレシピのメモを表示しながら、もう片方でFaceTimeのビデオ通話をして料理の仕方を教えてもらったりする。使い方は自由自在だ。

 この機能自体は、他の折りたたみスマホでも当たり前のように使える。他社製品の中には、まるでPCのウィンドウのようにアプリを自由な位置に表示できるものや、画面を3分割、4分割できるものもある。しかし、そこはユーザーの混乱を避けてストイックな設計をするAppleだ。「Split(分割)」というからには、画面を左右に分割して均等な大きさで表示するのが基本で、左右の比率を変えることも、上下に分割することもできない。

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横開き画面では「Split View」という機能を使い、左右に分割して2つのアプリを同時に使える。大谷翔平選手のポストシーズン最後のホームランは、この状態でXのタイムラインとMLBアプリの中継を見ながら楽しんだ

 画面を左右に分割した状態から本体を90度回転させて縦長にすると、最後に操作していたウィンドウが全画面表示になる。つまり、直前まで使っていた側の画面だけが残り、もう一方は隠れるということだ(ただし、横向きに戻すとSplit View状態で再び現れる)。持ち替えるたびに表示する側を選び直さなくても、操作していた内容をそのまま使い続けられる。

何でもかんでも自由にしてしまうと、その分、操作も複雑になる。iPhone Duoで2つのアプリを同時に表示できるのは、横開きでSplit Viewを使ったときだけ。回転して縦開きの状態にすると、最後に操作をしていた画面が全画面表示になる

 こうした自然なつながりに、ユーザーが迷わないことを優先する、デザイン主導企業ならではの配慮を感じられる。

 ちなみに、画面を横向きで使うもう1つの魅力は、大きな画面で映像を楽しめることだ。他の折りたたみスマホも売りにしている、いわば当然期待される機能だが、iPhone Duoはここでも大きな差を生み出している。画面の縦横比が練られているので無駄な黒帯が少なく、画面の大きさを目いっぱい生かして2倍近いサイズの映像を楽しめるというのもその1つだ。しかし、それ以上にものをいうのが迫力の立体音響(空間オーディオ)だ。

 筆者がこれまで試した他社の折りたたみスマホでは、内蔵スピーカーの音に物足りなさを感じ、ヘッドフォンを併用したくなることが多かった。

 これに対してiPhone Duoは、この薄い本体の中に、構えた向きに合わせて音の向きを切り替える空間オーディオ用の音響システムを組み込んでいる。

 店頭などで試す機会がある人は、ぜひYouTubeなどでDolby Atmosの立体音響のデモ映像を再生してみてほしい。この薄いiPhoneが、ここまで豊かな音場を作り出すのかとびっくりするはずだ。

アプリの対応は、まだこれからの部分もある

 iPhone Duoの体験は、対応アプリを使うとさらに魅力的なものになる。Netflixが開発を進めているiPhone Duo最適化版のビュワーで、その一端を味わった。

 本体をノートPCのように半開きにして置くと、立ち上がった上半分で本編を再生し、手前に寝た下半分には、その映像がぼんやりと映り込んでいるように見える。最初は、上の画面の光が、そのまま下の画面に反射しているのだと思った。

 ところが、本編を再生している上半分を隠してみても、下半分の像は消えなかった。実は、反射しているように見える映像を、下半分にもわざわざ表示していたのだ。物理的な映り込みと見まがうほど自然な、ムードづくりの演出だった。


iPhone Duoに最適化されたNetflixのアプリ。画面半分を立てて机に置いて再生している状態で、暗くなった水平画面がわずかに青いのは反射しているからかと思ったら、実はあたかも反射しているような映像を表示しているからだった

その証拠に映画の画面を紙などで覆っても、反射のような映像が表示され続ける

 画面に触れると、この「反射」は消え、早送りや巻き戻しなどの操作ボタンが現れる。操作をしないときには、そこも映像を楽しむ雰囲気をつくる場所になる。折り曲げた画面の片側を、こんなふうに使うのかと感心した。

 ただし、執筆時点で筆者が使った範囲では、iPhone Duo対応アプリはまだまだ少なく、「互換モード」で動くものが多かった。

 互換モードのアプリは、本体を開いても、標準状態では従来のiPhone画面に相当する枠の中に収まって表示される。広い画面の中に、いつものスマートフォンの画面が浮かんでいるような格好だ。

 ただ、拡大ボタンを押せば、この表示を画面いっぱいに大きくできる。左右に開いた横向きの状態なら、Split Viewを利用して左か右、どちらか片側に固定して使うこともできる。

 文字や写真を大きく見られるだけでも便利だが、元の画面を拡大することと、広さや折り曲げ方に合わせて新しい体験をつくることには大きな違いがある。今後、普段使うアプリのiPhone Duo対応が進めば、Duoの魅力はさらに増すだろう。

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