「iPhone Duo」を1週間使って分かった、全部盛りではない“上質さ” 心地いい開閉ヒンジの内部を見るために“非破壊検査”してみた(1/5 ページ)
36万4800円からの「iPhone Duo」を約1週間試用した。望遠カメラやProRAWを省く一方で、縦長に開く画面や空間オーディオ、開閉の感触、純正フォリオまで造り込まれている。性能より使い心地の上質さで勝負する、新しいハイエンドの姿を探る。
まず、価格の話はいったん脇に置きたい。手が届くかどうかは大切な問題だが、それを中心に議論をすると、あこがれのスポーツカーや高級時計といったものは作れなくなり、世界は想像の範囲内のものばかりがあふれるつまらない場所になってしまう。大事なのは、背伸びをして購入した人に「やっぱり買って良かった」と思わせる満足感を、ちゃんと与えられているか否かだ。
およそ1週間に及ぶiPhone Duoの試用期間は、常にそんな喜びにあふれていた。
本体を開閉するときの、すりガラスのような美しいアニメーションに始まり、開いた本体を閉じるとき、最後に磁石が両端を引き寄せて「カチッ」と澄んだ音が鳴る感触。Appleのデザインチームが自慢する内側のナノテクスチャーディスプレイの、「ヌルッ」と「サラッ」を組み合わせたような、いつまでも人差し指でなぞりたくなる「ヌルサラ」の触感。
いつも眺めているソーシャルメディアも、リクライニングチェアでくつろぐときに本体を開いて縦長に構えれば、普段より二回りほど大きな画面で楽しめる。見るのが快適で、なんだか少し優しい気持ちになれる。
本体を山型にして机に置くとスタンバイモードに切り替わり、卓上時計としても使える。アラームの時刻になると、外側の画面が光って直接照らすのではなく、内側に向いた画面が机の天板を蛍のような明滅で照らし、その反射光で起こしてくれる。この配慮には感動した。
映画を見れば、筆者がこれまで試した折りたたみスマホにはなかった立体音響が空間を包み込み、驚かされた。
読みやすい。音がいい。触っていて心地よい。高いけれど、決してガッカリさせない。iPhone Duoはそんな端末だと感じた。
縦に開くと、いつもの「読む」が変わる
1週間使っていると、この端末の何が一番の強みなのかが見えてくる。人によって違うかもしれないが、筆者に最も響いたのは、開いた本体を縦長に構えるスタイルだ。
ソーシャルメディアのタイムライン、相手から届いたメール、Webページ、校正用のPDF。これまでのスマートフォンでも読めないわけではないが、小さな画面で長い文章を読むのはそれなりに疲れる。
しかし、このスタイルにすれば画面の面積は外側画面の約2倍になる。小さな文字が読みづらくなってきて、普段から画面を拡大して読んでいる人には、とりわけ魅力が伝わるはずだ。文字の読みやすさに困っていなくても、写真や図を大きく眺められる気持ちよさがある。
iPhone Duoで何といっても快適なのが縦開きモードだ。いつものiPhoneの画面が2倍に拡大されたようで、普段行っているメールの確認も、ソーシャルメディアのタイムラインのチェックも読書も目に優しく、快適になる
よくある折りたたみスマートフォンでは、本体を開いた状態の画面が正方形に近い。そのため縦長のページを全体表示すると黒い余白だらけになり、せっかくの2倍近い画面サイズを生かせていなかった。
それに対してiPhone Duoは、閉じた状態でも開いた状態でも、ほぼ同じ縦横比だ。開いたときの画面は、文庫本1ページ分(一般的なA6判)を少し大きくしたくらいのサイズ感だ。
電子雑誌を読むにはまだ小さいかもしれないが、電子コミックを1ページ単位で楽しむにはかなり相性がいい。見開きの絵が出てきたら、そのときだけ本体を横向きに構えて迫力を楽しむこともできる。
内側と外側の画面が近い縦横比でつながることも、使いやすさに関係している。対応するアプリでは、閉じた画面から開いた画面へ移っても、表示内容がズームされるように広がり、画面の形の違いによる無駄な余白が生じにくい。
さまざまなスタイルで体験がどのように変わるか。ChatGPTで作成した見開き漫画で比較してみた。こちらはiPhone Duoを閉じた状態で外側のディスプレイで読んでいるところ。これまでのiPhoneでも電子コミックが読めていたように、もちろんこの状態でも楽しめる。画面の縦横比が文庫本に近いので無駄なスペースが少なく、画面を目いっぱい生かして読める
折りたたみスマホというと、折り目が目立つか否かばかりを気にする人が多いが、iPhone Duoを使ってみると、実はそれよりも画面の縦横比の方がはるかに大事だったことに気付かされる。Duoに近い比率の折りたたみスマホは他社からも出ているが、AppleはOSも自ら作っている。閉じたときと開いたときの世界観をシームレスにつないでいるからこそ、この体験価値を生み出せている部分があると思う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「iPhone 18 Pro」は“カメラの原点”に回帰する――機械式絞りとAI時代の“真正性”証明技術に見た新生Appleの挑戦
Appleの新型「iPhone 18 Pro/Pro Max」は、一見すると前モデルから外観の変化が少ないように思える。しかし、その内部には機械式の可変絞りを備えたプロ仕様のカメラや、AI加工前提の時代に写真の“真正性”を担保する新技術など、革新的な進化が隠されていた。本機の実力をチェックした。
ついに登場した「iPhone Duo」と新CEOが掲げるAI時代の新構想「Intelligent Personal Hub」――Appleが描くAI時代のプライバシーと未来
Appleが発表した初の折りたたみスマホ「iPhone Duo」。しかし今回のイベントの核心は、新CEOのジョン・ターナス氏が掲げた「Intelligent Personal Hub」というAI時代の新たな構想にある。同社が描く未来の「正体」に迫ってみよう。
iPhone Duoだけじゃない! 折りたたみの陰に隠れたApple新製品の「本当のすごさ」
9月9日(米国太平洋夏時間)に行われたAppleのスペシャルイベントでは、初の折りたたみiPhoneが注目された……のだが、Apple Watch Series 12を中心に他の新製品にも注目すべきポイントがあった。それをまとめて紹介しよう。
まるで“狂気の沙汰”──ジョブズ時代のAppleを感じさせる「iPhone Duo」のヒンジと製造工程
Apple初の折りたたみスマホ「iPhone Duo」。1台ごとにヒンジの個体差を測り、樹脂を印刷して折り目を消す“狂気”の量産工程に迫る。ハードとソフトが融合した唯一無二の端末は、今後のAppleの試金石となるか。
「Apple Watch Series 12/Ultra 4」登場 AIサウンド認識、ヘルスケア機能を強化 セラミックも復活
Appleが「Apple Watch Series 12」「Apple Watch Ultra 4」を発表した。ヘルスケアの新センサーと「S11」チップにより測定精度が向上した他、日々の準備状態を示すスコアや、会話内容のテキスト化と要約などのAI機能を利用できる。



