世界70カ国が参加するゲームイベント「World Cyber Games 2006」の国内予選が秋葉原で開催され、イタリアへの切符をかけた熱い戦いが繰り広げられた。
東京・秋葉原のUDX4階「先端ナレッジフィールド」で、WCG(World Cyber Games)の国内予選が9月2日、3日の2日間にわたって開催された。WCGは2000年の韓国大会を皮切りに、これまでに6回行われている世界規模のゲーム大会だ。昨年の決勝戦はシンガポールを舞台に繰り広げられ、今年はイタリアのモンツァがその会場に決定している。昨年のWCG2005日本予選は、東京ゲームショウの会場で行われたため、その見事なプレイヤースキルを目の当たりにした読者も数多くいることだろう。
2006年の競技タイトルは、Xbox360部門が「Project Gotham Racing 3」と「DEAD OR ALIVE 4」、PC部門は「Counter-Strike 1.6」、「スポーツ:スカッとゴルフ パンヤ」の合計4タイトル。取材した9月3日はその日本代表を決める国内予選決勝戦だ。
今年の会場となった「先端ナレッジフィールド」だが、選手たちが実際に試合を行うのは、外部から完全に仕切られた3つの部屋。一部ガラス張りになった場所から中の様子をうかがうことはできるものの、観戦のメインは隣の会場に用意されたモニタールームだ。ここでは実際のプレイ画面や各選手の様子を解説とともに大型スクリーンで上映する。昨年のような観客と選手の一体感、熱気というものは生まれにくい半面、見たいタイトルの試合だけを詳細な解説とともにゆったりと観戦できる、というスタイルはおおむね好評だったようである。
さて、今年のWCG2006日本予選決勝だが、メインスポンサーとして「ベンキュージャパン」が機材の提供を行っており、試合には液晶ディスプレイ「FP93GX」をはじめ、マウスやキーボードにいたるまですべて同社の製品が使用されていた。ゲーマーの中には「FPSのプレイはCRTじゃないと……」とこだわりを見せるユーザーも多いが、実際の出場選手に質問してみたところ評判は上々。それもそのはず、このFP93GXは応答速度2ms(GTG)を実現した“ゲーマー仕様”ともいうべき液晶ディスプレイで、コンマ1秒が命取りになるFPSやアクション性の高い3Dゲームにも対応できるのが特徴だ。
Counter-Strike 1.6で国内3位となったチーム「Ownz」のリーダーに試合後の感想を聞いてみたところ、「FPSの大会で機材が液晶だったことは過去何度もありましたが、それと比べて今回のディスプレイは反応が良く、残像もほとんど目立たなかったですね」とコメントをくれた。
オンライン大会などで国内予選を勝ち抜いてきた、各タイトルのトッププレイヤーが集合した決勝戦は、さすがにため息のでるような素晴らしいプレーが続出。試合の様子は「Yahoo!動画」にてストリーミング配信され、毎回各タイトルを知り尽くした解説者により実況が行われたが、過去の世界大会経験者でもある解説者も絶賛するほどのファインプレーが繰り広げられた。
格闘ゲームやFPSといった、どちらかといえばハードな種目が多いWCGの中で、ちょっと異色なオンラインゴルフゲーム「スカッとゴルフ パンヤ」はその試合風景も独特だ。瞬間の判断力が問われるタイトルの試合中は、殺気立つというか、音を立てるのもはばかられるような空気が漂うのだが、パンヤの日本最強を決める試合は実になごやかなもの。隣のプレイヤーとのんびりしゃべったり、ガラス越しに試合風景を覗き込む観客へディスプレイを向けるサービスも見られた。
しかし内容はさすがにハイレベルだ。決勝に進出するプレイヤーともなると、“カップが射程範囲なら必ず入る”ぐらいの勢いで、最低がパー。バーディ、イーグルは当たり前。さらにはホールインワンやアルバトロスも、いちいち驚いていられない回数を目にした。パンヤはそのサービス状況から、WCGの競技の中でも唯一、アジア圏の選手しか参加しないタイトル。優勝したモカ氏によれば、韓国プレイヤーのスコアは、この日の大会記録を遥かに下回る数字を叩き出しているのだとか。日本代表となった4名には、ぜひとも勝利をもぎとってきて欲しいものだ。
一方、決勝戦が最後に行われたCounter-Strikeは、WCG以外にも世界大会が数多く開催されているだけあって、コアなファンが多く注目度も高かった。同タイトルを知らない読者のために簡単に説明すると、1チーム5人で構成された2つのチームがテロリスト(攻)とカウンターテロリスト(守)の立場に分かれて戦うFPSだ。
1試合の制限時間は1分45秒と大変短く、テロリスト側がマップ内の指定エリアに爆弾を仕掛け、爆発させられればテロリスト側の勝利。爆弾を解除すればカウンターテロリスト側の勝利となる。また、どちらかのチームを全滅させても、やはり勝利と判定される。とにかく瞬間の判断力が要求されるタイトルで、早いときには残り時間が1分を切る前に決着がついてしまう。
決勝戦は前半15ラウンド、後半15ラウンド行われ、先に16ラウンドを取った方が勝利する方式だ。優勝候補チーム「PARANOID」と敗者復活でここまできた「Cynthia」の戦いは、下馬評では「PARANOID」が圧倒的な強さで勝負を決めると思われていたが、「Cynthia」側が大健闘し、前半が終了したところで7-8という結果に。しかし後半は「PARANOID」が安定した実力を見せはじめ、一気に流れは逆転。10-16で「PARANOID」の優勝が決定した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:ベンキュー ジャパン 株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年10月31日