それでは、ColorNavigator CEによるハードウェアキャリブレーション後の画質をチェックしていこう。ColorNavigator CEの操作手順についてはCE240Wの試用記事で紹介した通りなので今回は割愛するが、基本的に画面の案内に従ってウィザード形式でキャリブレーション作業が行えるので、使い勝手はよい。
ColorNavigator CEに関しては、ハードウェアキャリブレーションの履歴管理、設定の微調整、エミュレーション機能などが今後のColorNavigatorへのバージョンアップで追加される予定だ。エミュレーション機能は、ほかの液晶ディスプレイの発色をCG241Wでエミュレートする機能で、CG241Wの画質モードはEMUで使用する。エミュレーション機能が実装されるまでは、CG241WのEMUモードは利用されない。
ハードウェアキャリブレーションを実行した後のCALモードの画質をチェックするため、デジタル一眼レフカメラのAdobeRGBモードで撮影したRAWデータを、アドビシステムズのPhotoshop CS2で現像してみた。比較用として、sRGB(NTSC比72%)の色域に対応した同サイズの液晶ディスプレイ「FlexScan S2410W」(以下、S2410W)でも表示したところ、やはりCG241Wの階調特性のすばらしさと色域の広さを実感した。
S2410Wの表示品質も一般向け液晶ディスプレイでは高いレベルにあるのだが、S2410Wでは黒つぶれや色飽和して見えがちな微妙な階調でも、CG241Wならかなりはっきり視認できる。均一性の高い画面表示に加えて、最近のVAパネルは進化していることもあってか、VA系パネル特有の視野角による色変化もほとんど気にならない。
もう1つ、インクジェットプリンタの印刷用紙に合わせて、CG241WをColorNavigator CEでキャリブレーションし、カラーマッチング出力の色再現性も調べてみた。プリンタにはキヤノンの「PIXUS iP9910」(用紙はプロフェッショナルフォトペーパー)と、エプソンの「PX-G930」(用紙は写真用紙クリスピア)を使い、Photoshop CS2経由で印刷している。Photoshop CS2と各プリンタの出力設定はここでは説明しないが、CG241Wで表示した印刷データの発色と各プリンタで出力した発色は、高い精度でマッチングできた。
従来のColorEdgeは、CGシリーズが完全な業務向け、CEシリーズがおもに個人のハイアマチュア層を想定していたが、CG241Wは業務用も個人用も1台でカバーできるだけの能力を備えている。とくに、デジタル一眼レフカメラと印刷色にこだわるユーザーや、グラフィックス/モーション系の全般的なクリエイターには、最適な液晶ディスプレイと言ってよい。
個人ユーザーもカバーできるとする大きな理由の1つが、CGシリーズとしては高いコストパフォーマンスだ。専用の遮光フードやスクリーンクリーナーを付属した構成ながら、ナナオの直販サイト(EIZOダイレクト)で18万8790円という価格を実現している。対応キャリブレーターとのセットも用意され、こちらは20万9790円だ。キャリブレーターを別途単独で購入するよりもお得な価格設定がうれしい。個人ユーザーの感覚だと高価なのは確かだが、これまでのCGシリーズのようにまったく手が届かないほどではないだろう。業務用途なら、複数台の一括導入も現実的に考えられる価格設定だ。
もし可能であれば、ナナオのショールーム&直営ショップの「EIZOガレリア」に足を運び、CG241Wの実機とハードウェアキャリブレーションのデモを体験してみたり、ColorEdgeシリーズを使ったカラーマネジメントセミナーに参加してみてほしい。液晶ディスプレイを評価するには、自分の目で実機を見るのが一番だ。CG241Wの実力は、きっとアナタを満足させてくれるだろう。
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提供:株式会社ナナオ
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2008年3月31日