また「SP831」では、BrilliantColor™を搭載している。これはテキサス・インスツルメンツ(DLPチップの開発元)が供給している色再現性向上技術で、システムレベルで最高6種類までのカラー処理を行うことにより、映像の色彩表現を向上させている。
特に自然風景や人の肌など、中間色が多く含まれる映像において効果が得られ、広範囲の色表現と同時に、50%以上の輝度向上も実現するという。「SP831」の場合、通常のRGB+白の4セグメントカラーホイールに加え、独自の黄色セグメントとシアンセグメントを追加した6セグメントカラーホイールを採用しており、パステルカラーをも含む、より多彩な色再現が可能だ。
キーストーン機能もしっかり用意されている。前回でも触れたとおり、「SP831」は名目上はインストレーションタイプに分類される製品だが、サイズは375×115×277ミリ、重量は約4.5キロに収まっており、完全に“固定”して利用されるケースは少ないものと思われる。「SP831」のキーストーン機能は縦横の台形補正に対応しており、ボタン操作で垂直(縦)±30度/水平(横)±40度の調整が可能。つまり、移動先でスクリーン正面に本体を置けない場合でも、キーストーンを使えば上下左右にある程度の余裕が持たせられ、柔軟な設置が行えるわけだ。
さらに「SP831」は基本的にはデータプロジェクターのカテゴリーに属する製品でありながら、映像鑑賞もおざなりなレベルでの対応にはとどめてはいない。この点でも、ユニークな存在といえるだろう。
まず第一に、15:9比率のWXGA解像度は、ワイド画面(16:9)の映像コンテンツと相性がいい。ただ、これだけでは特に映像鑑賞にも力を入れているとはいえないだろう。「SP831」では、ホームDLPプロジェクターの最新モデル「W500」と同様に、市場で高い評価を得ているビデオプロセッシング技術“HQV”を導入したのである。
もともとBenQの製品には、コントラストやシャープネスの強化、カラー、および、モーションの最適化などを行う、同社独自の映像補正技術Senseyeが搭載されている。「W500」および「SP831」では、ここへさらに、SiliconOptixの「HQV(Hollywood Quality Video)」を組み合わせることで、ビデオ映像に対する処理性能を高めた。これにより、480i/pのSD映像を入力した場合のアップスケーリング品質の高さはもちろんのこと、1080iのHD映像をI/P変換して表示する際にも、明瞭かつ安定した映像が映し出される。
ビジネス用途に特化するケースが多いハイエンドのデータプロジェクターでは、映像鑑賞時の品質を高めても無駄と考える人もいるかもしれない。しかし、そうではなく、逆に映像鑑賞もおろそかにできないのである。インストレーションプロジェクターだからこそ、幅広い対応が求められるわけだ。
プレゼンテーションの範囲内でも、投影される画面は決して表やグラフだけではないし、それ以外にも、レクリエーション目的のビデオ上映に使われるケースもあるかもしれない。「SP831」なら、どんな使用目的に対しても、満足の行く映像品質を提供してくれるというわけだ。
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制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2007年9月30日