PCディスプレイに接近しつつ、“FORIS”としてのこだわりは失わず液晶テレビ「FORIS.HD」開発者インタビュー(2/3 ページ)

» 2007年11月19日 10時10分 公開
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単に色域が広いというだけで、きれいな絵が出るわけではない

ITmedia 液晶の話に戻りますが、PCディスプレイ向けのパネルを採用しつつ、テレビ製品としての品質も高めるためには、さまざまな点で苦労があったのではないでしょうか?

FORIS.HDの画作りを担当した同部 商品設計1課 米出久司氏

米出久司氏(以下、米出) 最初に、パネルへ出力して実際に確認してみたところ、まず明るさに大きな違いがあり、そこがチューニングの難しいポイントとなりました。また、テレビとPCの双方に必要な表示品質を満たしつつ、見栄えが違いすぎないようにバランスをとる配慮も必要です。最終的には、いずれの用途でも違和感のない映像へと追い込めたと思います。

金田隆仁氏(以下、金田) PC用途では色温度の標準が6500Kですから、パネルもその設定で性能を発揮するように、あらかじめチューニングされています。それをテレビの9300Kという色温度設定でどういうふうに映していくのか、という点が最重要課題となりました。さらに、今回は“FORIS”シリーズとしては初めて広色域パネルを採用したこともあり、そのパフォーマンスを最大限に引き出せるよう苦心しています。その点では、いままでのテレビ作りで培ってきたノウハウだけでなく、頭をひねるというか、少し視点を変えて作り込んでいます。

米出 当然ながら、色域が広いというだけできれいな絵になるわけではありません。今回採用したパネルでは、色域は広がっているんですが、逆にパネル自体の輝度は少し落ちています。その分、階調の低いところをいかに描き出すかというのは、非常に難しいところでした。さきほどもバランスという言葉を使いましたが、今回は輝度と色のバランスに関しても十分に検討を行ったという点が、とりわけ“ミソ”となっています。それが今回の製品で、いちばん苦労した点ですね。

金田 今回の製品コンセプトではデスクトップでの近接視聴を主に想定していますから、PCディスプレイ向けのパネルが最適と考えています。

ITmedia 入力端子に関しては、ビデオ入力、3系統のHDMI端子に加え、PC入力としてDVI-I端子を装備していますが、やはりユーザーからの要望が多かったということでしょうか?

新田 FORIS.TVに関しては、もともとリビング向けのテレビ製品ですから、主にノートPCとの接続を考慮して、D-Sub(アナログRGB)端子を装備しました。一方、今回のFORIS.HDは、最初からデスクトップPCとの接続を意識して、デジタル接続も可能なDVI-I端子としています。

映像入力インタフェースは、AV入力用としてはS-Video/コンポジット、D端子(D4)、HDMI×3(背面2、側面1)を、PC入力用としてはデジタル/アナログ両対応のDVI-Iを装備する

ITmedia 実際に試してみたところ、DVI-D接続でも1080i/1080p入力を受け付けるようですが、音声の伝送を除くと、内部的には同じ扱いなのでしょうか?

新田 絵作りで明確に分けています。HDMI入力はAV向けの絵作り、PC入力(DVI-I入力)はPC向けの絵作りと、まったくといっていいほど変えています。変換ケーブルを利用すれば、PCをHDMI、AV機器をDVI-Iにつなぐことも可能は可能ですが、こちらが目指している絵作りとは違うものになってしまうでしょう。

米出 PCで動画再生を楽しむ場合には、映像モードの「ムービー」を利用していただければ。今まで以上に、テレビライクな見栄えに近づくように調整を施してあります。

ITmedia そういえば、AV入力系の映像モードには「シネマ」が加わりましたね。

米出 AV入力系の映像モードで、唯一、名称を変更したのが「シネマ」です。FORIS.TVでは「ソフト」という映像モードになっており、その名のとおり、温かくてやさしい感じの絵を作っていましたが、今回のパネルで同じように調整してしまうと、少しぼやけすぎの印象となります。解像度が高い分だけ、見えすぎといってもいいくらい細部まで映し出すパネルなのに、その真価が生かせないため、今回はコントラストが上がるような方向で調整を行いました。

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制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2008年3月31日