「最近、目が疲れる」―そんなアナタが改善すべきは“今見ているディスプレイ”本田雅一が語る“目に優しい液晶”のススメ(1/3 ページ)

かつて「液晶は目に優しい」といわれていたが、昨今は急激にピーク輝度が上がり、そのまま使い続けていたのでは、CRTより目に負担がかかることもある。今回はEIZOチャンネルでおなじみの本田雅一氏が、社会問題化しつつある「PC作業が原因の疲れ目」と「ディスプレイの使い方による改善策」に迫る。

» 2008年07月25日 10時00分 公開
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コンピュータと人の接点「ディスプレイ」にはこだわりたい

 かれこれ20年以上になる筆者のコンピュータライフを振り返ってみると、最もこだわって選び、惜しみなく投資してきたのはディスプレイだと思う。これは別にEIZOチャンネルだから書いているわけではない。

 もちろん、投資した金額そのものを比べれば、コンピュータ本体にかけた予算の方がはるかに多い。しかし、今や十分に高性能化、高機能化したノートPCがあるにもかかわらず、相変わらず書斎ではデスクトップPCを使い続けているのも、本質的には“より広く”“高品質で”“視認しやすい”ディスプレイを欲しているからだ。

 また、ディスプレイ一体型デスクトップPCあるいはディスプレイが添付されたデスクトップPCが主流になってからは軽視されがちだが、本来、高品質なディスプレイの寿命はPC本体よりもずっと長い。筆者が昨年末まで使っていた21.3型液晶ディスプレイ「FlexScan L985EX」は5年近く前に入手したものだし、その前に現役だった21型CRTディスプレイ「FlexScan F980」も、引っ越しで書斎のレイアウトが変更されなければ、液晶パネルへの切り替えを考えず、そのまま5年ぐらいは使い続けたに違いない。

筆者が使ってきたナナオのハイエンドディスプレイ。1600×1200ドット表示に対応した21.3型液晶ディスプレイの「FlexScan L985EX」は2003年に発売(写真=左)。広い視野角と、視野角による色度変位の小ささ、高い色純度が特徴のスーパーIPSパネルを採用し、内部ガンマ補正の演算精度を14ビットに高めるなど、大画面と高画質で好評を博した。最大2048×1536ドット/85Hz表示が可能な21型CRTディスプレイ「FlexScan F980」は1999年に発売。登場時は40万円を超える価格だったが、プロの要求に応える高い表示品質を備えていた

 コンピュータを快適に使うには、コンピュータと自分との接点にこだわる必要がある。入力機器であればキーボードやマウスがそれに相当するだろうし、人によってはスキャナやメモリカードインタフェースの性能や使いやすさも重要と答えるかもしれない。一方、コンピュータが使用者に伝える情報を示す場合、そのほとんどはディスプレイに依存している。

 だからこそ筆者はディスプレイにこだわってきたのだが、上記のように“最高の品質のディスプレイを長期間使おう”と意志を持った製品選びができるのは、おそらく筆者がコンピュータ中心の仕事スタイルを行う自営業者だからだ。最も重要な商売道具だとすれば、そこに予算を惜しむべきではないと考えている。

 個人ユーザーで高品質ディスプレイにこだわる人は、やはり同様に考えていることだろう。高品質なディスプレイは、単に画質がよいだけでなく、最近の製品はスタンドの可動範囲が広いなど、人間工学的にも配慮された製品が多い。だから自分は目の疲れへの対策といっても、せいぜい使用時間に気をつけるぐらいでよかろうと思ってきた。幸いなことにディスプレイの品質と、無意識に実行していた表示設定(詳しくは後述する)がよかったせいか、個人的には目の疲れを強く意識したことがない。

ディスプレイにこだわれない場合、目の疲れとどう闘えばいい?

 しかし周囲を見渡せば、コンピュータを用いた長時間のオフィスワークが強いストレスになっていると話す人は多い。昨今では、長時間のPC作業による疲労が原因とされる、めまいや頭痛など、さまざまな健康被害が問題視されてきている。その背景には、オフィスワークにおけるPCの使用が常態化していることはもちろん、ディスプレイの主流が液晶になってピーク輝度がCRTの時代よりも高まり、画面から目に入る光が強くなったことも挙げられる。

2004年に厚生労働省が調査したところ、仕事でのPC作業で身体的な疲労や症状を感じている人は78%にのぼり、そのうち約9割は目の疲れや痛みを感じている

 長時間ディスプレイを見つめて作業するのは疲労に直結するというのは半ば常識であるが、世間的にはディスプレイにもっとコストをかけようという流れにはなっていない。極端にいえば、ディスプレイはPCからの映像信号をきちんと表示できれば、どんな製品でもほとんどの役目を果たすことができる。したがって純粋に投資効率を考えるなら、ディスプレイへの投資は抑えられがちになるからだ。

 筆者のようにディスプレイを仕事道具として重視している人ならばともかく、家庭で使われているディスプレイやオフィスワークで用いられるディスプレイの多くはコスト優先である。例えば、職場に大量に導入する際、要求スペックに合う最も安いディスプレイ、あるいはPCベンダーの純正品を問答無用で採用しているケースがほとんどではないだろうか。

 もっとも、ディスプレイにかけられるコストが限られるとはいえ、ユーザー側でできる疲労対策はある。その一例として、厚生労働省は2002年に、労働安全衛生管理の観点からディスプレイ使用法のガイドラインを発表している。これは「適切な作業姿勢の保持」と「適切なディスプレイの高さや角度の調整」、そして「1時間に10分間の定期的な作業休止」といった内容だ。

 無論、メーカー側もディスプレイを使うことで発生する疲労については認識している。特にナナオはこの分野に積極的で、2008年6月には眼科医とVDT作業労働衛生インストラクターの監修・指導のもと独自調査を実施。「ディスプレイの輝度を適切な値まで下げること」で目の疲労度は下がり、さらに厚生労働省のガイドラインに沿って「ディスプレイの位置や作業姿勢を正しく設定し、休憩を入れること」で目の疲労度はさらに下がる傾向にある、との調査結果を発表した。

ナナオによる、VDT作業における目の疲労度調査の結果。VDTとはコンピュータディスプレイなど表示機器の総称だ。グラフは、「標準設定」(約450カンデラ/平方メートルの最高輝度で使用した場合)、「適切な輝度」(周辺は照度500ルクス、画面輝度は約100カンデラ/平方メートル)、「適切な輝度+VDT指導」の3つの測定条件ごとに、ディスプレイの使用前と使用後に測定した目のピントの合う最短距離の平均値を比較し、目の疲労が原因でピントの合う最短距離が遠くなる度合いの変化を示している。詳しい調査方法と結果は、ナナオの発表内容を参照してほしい

 この調査結果から、ナナオは目の疲れを軽減する方法として、「輝度とディスプレイ位置の適正化」「正しい姿勢」「適度な休憩」の3つが効果的だとしている。またナナオは、オフィスワークにおけるストレスを軽減するためのアドバイスをエンドユーザーに知ってもらう目的で、報道機関向けに「疲れ目対策セミナー」を開催したり、同社Webサイト内に特設ページ「今すぐできる!疲れ目対策講座」をオープンするなど、ディスプレイの使用法改善による疲労軽減の認知度向上を図っている。

ナナオが2008年7月に開催した「疲れ目対策セミナー」の様子。ディスプレイは、画面に外光が映り込まない場所に設置し、画面の上端が目の位置より少し下になるように高さを合わせ、ディスプレイと目の距離は最低40センチ、画面が横に長いワイド液晶では50センチ以上とる。照度が500〜1000ルクス程度ある一般的なオフィス環境では、100〜150カンデラ/平方メートル程度の輝度が適切とのこと。ユーザーの姿勢は、イスに深く腰かけて背もたれに十分背をあて、背筋を伸ばし、座面の先端とヒザの裏にすき間を設けつつ、靴底全体が床に面した状態がよいとされる。写真で指導を行っているのは、「VDT作業労働衛生教育インストラクター」でもある同社マーケティング部 商品技術課 商品管理係の上田陽一氏

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提供:株式会社ナナオ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2009年3月31日