続いてS-Video端子とコンポジット端子だ。映像は輝度信号と色信号で構成されるが、この2つを合成したものを「コンポジット映像信号」という。コンポジット端子ではコンポジット映像信号をそのまま伝送し、S-Video端子では輝度信号と色信号に分離して伝送する。S-Video端子は輝度信号と色信号を合成/分離する過程がコンポジット端子より少ないことから、コンポジット端子と比べて画質が高い。
また、S-Video端子にはS1端子とS2端子の2種類がある。S1端子ではアスペクト比が4:3の映像と16:9の映像を識別でき、S2端子はさらに16:9映像の上下に黒帯を追加して4:3映像にした「レターボックス」の識別も可能だ。16:9映像やレターボックス映像を受け取った表示機器は、適切なスケーリング処理を施した後に正しいアスペクト比で表示する。
S-Video端子とコンポジット端子が対応するのは、NTSCのSD映像(480i)までだ。VHSビデオデッキやDVカメラなど旧来の映像機器を接続する場合を除いて、今後は徐々にフェードアウトしていくだろう。
D端子とコンポーネント端子を含めてアナログビデオ用の映像インタフェースをまとめると、一般的に高画質とされる順に、コンポーネント端子、D端子、S-Video端子、コンポジット端子となる。
最後に、再びPC環境の話題に戻ろう。最近では、PCのディスプレイ出力にUSBポートを転用する製品が登場してきた。USBはもともとディスプレイ用のインタフェースではないが、特にノートPCや低価格なNetbookにおいて、D-Subケーブルで接続するよりも手軽にマルチディスプレイ環境を構築できるアイテムとして一定のニーズを喚起している。
製品の形態は、いわゆる変換アダプタが主流だ。PCとはUSBで接続し、出力先がDVI-DやDVI-Iのコネクタになっている。そこから液晶ディスプレイにつなぐわけだ。デバイスドライバをインストールすると、PCでは「ディスプレイアダプタ」として認識される。Windowsなら「画面のプロパティ」を使い、変換アダプタに接続したセカンダリディスプレイを有効にすることで、マルチディスプレイとして使えるようになる。表示のパフォーマンスに関しては、マウスやキーボードの操作に対して画面表示への反映が微妙に遅延することがあるなど、高速応答が求められる用途には向かない。
もう1つ、映像入力インタフェースにUSBを採用した液晶ディスプレイも少数ながら販売されており、PCと液晶ディスプレイをUSB接続することで、PC画面の出力と表示が可能だ。こちらもやはりノートPCやNetbookと相性がいい。オフィスのデスクや自宅では、大画面の液晶ディスプレイにノートPCを接続して使い、外出時には1本のUSBケーブルを外すだけでノートPCを持ち運べるようになるからだ。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2009年3月31日