膨大な紙資料をデジタルデータ化して整理するため、仕事、家庭を問わず、ドキュメントスキャナの導入が増えている。さらに最近ではクラウドサービスが普及し、かつて紙だった情報を自室のPCでも、リビングで使うタブレット端末でも、そして常に携帯しているスマートフォンでも手軽に扱えるようになった。ITジャーナリストでモバイルの達人でもある神尾寿氏は、こうしたドキュメントスキャナとクラウドサービスの連携による、徹底したペーパーレス化を提案する。
仕事柄、紙とは長い友達である。
記者会見で配布されるプレスキット(報道者向け説明資料)に始まり、取材や打ち合わせのメモ、企業のコンサルタント業務で必要になる各種資料など、日々ありとあらゆる「紙」に囲まれて生きている。週に数百枚単位で、紙の資料は増えていく。
仕事だけではない。2人の子どもが小学生になると、プライベートで扱う紙の量も増える。学校やPTAからの配布物、区役所から届くお知らせの類まで紙は増えるばかりだ。独身者や未就学前の子どもを持つ親御さんは、将来に覚悟をしておいたほうがいい。子どもを取りまく環境は、私たち大人の仕事環境以上に「紙ばかり」なのだから。
日々あふれる紙をどうにかすべく、私が数年前から取り入れているのが「デジタライズ」である。要は紙をドキュメントスキャナで取り込んで、それをPDFにしてしまうということだ。紙という物理媒体から“情報”だけを取り出し、それをデジタルデータとして管理することで、私は紙を「捨てる自由」を手に入れた。
これならば紙資料の山にスペースを取られることもないし、資料そのものを紛失した、見つからない、ということもない。紙資料をいつまでも手元に置いておくよりも、きちんとセキュリティ設定をして、デジタルデータとして管理したほうが安全性も高い。
かくして私は、「デジタライズして捨てる」という術を会得したのである。
紙資料をデジタル管理し始めた当初は、PDF化したデータはすべてノートPCのHDDで管理していた。当時はこれが最良の管理方法であったし、資料が“いつでも見られる”ことはとても便利だったからだ。しかし、移動中にちょっと資料を確認したいときも、いちいちノートPCの液晶を開いて起動し、過去のPDFを探すというのが面倒になってきていたのも事実だ。
このドキュメント管理を大きく進化させ、とても便利にしてくれたのが「Evernote」だった。周知の通り、Evernoteは個人用ドキュメントサービスの代表的なものであり、クラウド上にユーザーのさまざまなドキュメントを保管してくれるというものだ。PC/Macはもちろん、iPhoneやiPad、Androidなどさまざまなプラットフォーム向けに使いやすいクライアントソフトを提供していることも特長である。
また、一度Evernote上にアップロードしたPDFファイルは自動的にOCRがかけられるため、後から文書内のキーワードで検索することもできる。紙をデジタル化して管理する、という使い方にとってEvernoteはとても相性がいいのだ。
Evernoteは無料で使い始めることができるが、私が活用しているのは月額5ドルもしくは年額45ドルの有料サービスである。こちらは1カ月の転送容量が1Gバイトまで拡大され、1ファイルあたりのデータ容量も50Mバイトになる。PDF化した資料をそのままEvernoteに登録して管理するなら、有料サービスのほうがお勧めである。
Evernoteの導入により、筆者はデジタルライズした紙の資料を、文字通り「いつでもどこでも」見られるようになった。仕事用のノートPCで確認できるのはもちろん、今ではiPadやスマートフォンでも“サッと取り出して、すぐに読む”ということができる。電車やタクシーでの移動中、空港でのちょっとした待ち時間などが活用できるようになったのは、仕事の効率向上に大きく貢献している。
かくて筆者のドキュメント管理法は1つの完成を見たわけだが、その一方で、1つ悩みもあった。Evernoteで管理・検索・閲覧が便利になったことで、ますます“紙の資料をデジタル化する作業”の重要性が増したのだ。また、それに合わせて仕事の量も年々増えていき、扱う資料の量も倍増していった。
ここで悩みが生じた。従来のドキュメントスキャナは収納時はコンパクトなのだが、書類のスキャン時にはシートフィーダの展開スペースや原稿の排紙スペースを確保せねばならず、これが結構面積を取っていたのだ。むろん、ずぼらな私のデスクが、いつも片付いているわけがない。忙しくて紙をスキャンする時間がなくて置きっぱなしにしておいた紙の資料が次第に積み上がり、スキャナの使用に必要な給紙・排紙のためのスペースを埋め尽くすという、笑えない悪循環に陥っていたのである。
そのような中、筆者の目にとまったのがキヤノンの「imageFORMULA DR-C125」である。
同機は独自の「ラウンド・スキャン」という機構を搭載し、給紙された原稿がUターンして本体前面から上に向かって排出される。これにより本体の設置面積とほぼ同じスペースのまま、(机の上を片付けなくても!)スキャン作業を行える。すなわち「机の上に積み上がった書類を片付けないと、机の上の書類をデジタル化して片付けられない」という哲学的な命題を解決してくれるのである。これはまるで“片付けられない人間”の生態を研究し尽くしたような秀逸なコンセプトと言えるだろう。
実際、操作方法も簡単だ。筆者はimageFORMULA DR-C125をMac OS環境で利用しているが、最初に付属の「CaptureOnTouch」というソフトをインストールすれば、このソフト上でスキャンからその後の管理までができる。フルオートモードで用紙サイズの検知や原稿の向き検知、斜行補正を自動で行ってくれるため、ユーザーが操作に迷うことはない。基本的には、本体側のスキャンボタンを押せばOKの気軽さだ。
また、Evernoteのクライアントソフトがすでにインストールされていれば、「Scan to Evernote」が自動的に登録される。私の場合、ドキュメントスキャナの利用は「Evernoteへの登録」がメインのため、「CaptureOnTouch」上であらかじめ本体のスキャンボタンに設定を割り当てておいた。後は本体のスキャンボタンを押せば、紙のスキャン後、ダイレクトでEvernoteに送信してくれるので手間いらずだ。こうした細かなカスタマイズができるところも、imageFORMULA DR-C125のよさである。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2011年7月3日