HDDのリーディングカンパニーとして知られるWDは、コンシューマー向けで初めて64層3D NAND技術を採用。容量が2TBに到達する最新SSDを投入した。詳しく見ていこう。
NANDフラッシュメモリにデータを記録するSSD(Solid State Drive)は、今やHDD(HardDisk Drive)に代わり、PC向けストレージの主流だ。SSDは電圧を操作するだけで読み書きできるため、高速で動作音がせず、衝撃や振動にも強い特性がある。OSをインストールするシステムドライブにSSDを導入すれば、サクサクと快適な操作が実現できる。
ストレージとしてはドライブあたりの容量が少なく、HDDに比べて高価でもあるが、ストレージ性能が使用感に直結するシステムドライブは高性能なSSD、容量が必要な保存や管理用にはHDDを使うなど、ストレージを適材適所で使い分ける運用方法も定着している。
ただし、SSDの普及が進むにつれて、ストレージシステムに占めるSSDを増やしたいというニーズも高まっている。また、個人が扱うデータは増加の一途だ。デジタルカメラ/ビデオカメラの高画素化は止まらず、配信されるコンテンツもHDからフルHD(2K)、さらに4Kへと高解像度化している。SSDも必然的に、これまでよりも大容量が必要になってきている。
半導体部品であるNANDフラッシュメモリはプロセスルールを微細化することで大容量化を続けてきたが、プロセスルールの微細化は限界に近づいている。というのも、微細化によってデータを記録するメモリセル1つのサイズがあまりにも小さくなってしまったため、メモリセル間の電気的な干渉が大きな課題となっているからだ。書き込み手順の複雑化、コントローラの高度な最適化によって性能と耐久性を確保してきたが、それもかなり限界に近い。
そこで、大容量化のブレイクスルーとして注目されているのが、3D NANDだ。従来のNANDフラッシュメモリ(プレーナ型)がメモリセルを平面方向に並べているのに対し、3D NANDではさらに垂直方向へも作りこむ。メモリセルの上にメモリセルを重ねるわけである。メモリセルの層は最新では96層(実用化レベルでは64層)に達しており、単純計算で1層の96倍の容量が得られることになる。そのため、極端なプロセス微細化をせずに大容量化を進めることができる。
ちなみに、誤解されやすいのだが、3D NAND技術は半導体のダイ(チップ)を積ねて1つのチップパッケージに収める(これはこれで以前から大容量化アプローチの1つとして実用化されている)わけではなく、半導体ダイそのものに多数のメモリセル層を作り込む。これを製造するには高度な技術と大規模な設備投資が必要で、メーカーは限られている。
極端な微細化をせずに大容量を実現できる3D NANDフラッシュメモリには、大容量のほかにも、コントローラの処理がシンプルですむため相対的に高性能かつ省電力、さらに耐久性にも有利であるなど、特性上のメリットがある。
SSD市場で大容量ニーズが高まり、中でも3D NANDフラッシュメモリへ注目が集まる中、WDから3D NANDフラッシュを搭載した新製品「WD Blue 3D NAND SATA SSD」が登場した。コンシューマー向け製品としては、いちはやく最新の64層3D NANDを採用しており、最大2TBの大容量を実現している。
基本スペックについては、Serial ATAインタフェースだけに目立たないが、Serial ATAの製品としてはトップクラスだ。先代の「WD Blue SATA SSD」に比べると、シーケンシャルリード/ライト、ランダムリード/ライト、いずれの値も向上している。CrystalDiskMark 5.2.2のスコアも、公称値どおりのスコアが出ている。
また、先代と比べると、消費電力も低くなっている。特に書き込み時には大きく下がっているが、これは3D NANDフラッシュメモリを採用している恩恵と思われる。
WD Blue 3D NAND SATA SSD | ||||
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容量 | 2TB | 1TB | 500GB | 250GB |
2.5インチ/7mm | WDS200T2B0A | WDS100T1B0A | WDS500G2B0A | WDS250G2B0A |
M.2 | WDS200T2B0B | WDS100T1B0B | WDS500G2B0B | WDS250G2B0B |
2.5インチ/M.2 | Serial ATA 6Gb/s | Serial ATA 6Gb/s | Serial ATA 6Gb/s | Serial ATA 6Gb/s |
パフォーマンス | ||||
シーケンシャルリード | 560MB/s | 560MB/s | 560MB/s | 550MB/s |
シーケンシャルライト | 530MB/s | 530MB/s | 530MB/s | 525MB/s |
ランダムリード | 95000IOPS | 95000IOPS | 95000IOPS | 95000IOPS |
ランダムライト | 84000IOPS | 84000IOPS | 84000IOPS | 81000IOPS |
消費電力 | ||||
平均 | 60mW | 60mW | 52mW | 52mW |
リード時最大 | 3W | 2.55W | 2.05W | 2.2W |
ライト時最大 | 3.8W | 3.75W | 3.35W | 2.25W |
休止状態 | 56mW | 56mW | 56mW | 56mW |
DEVSP時 | 5〜12mW | 5〜12mW | 5〜7mW | 5〜7mW |
信頼性/保証 | ||||
耐久性(TBW) | 500TBW | 400TBW | 200TBW | 100TBW |
MTTF | 最大175万時間 | 最大175万時間 | 最大175万時間 | 最大175万時間 |
保証期間 | 3年間 | 3年間 | 3年間 | 3年間 |
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2017年9月12日