「快適なPC」にとってパフォーマンスも重要だ。Webサイトを切り替え表示するとき、表計算で再計算を行うとき、画像処理を行うとき、そしてアプリケーションやファイルをセーブしたりロードしたりするとき、こうした操作をサクサク処理できるPCはパフォーマンスが高いといえる。そしてこの“サクサク”を実現するのがCPUやGPU、メモリやストレージといった内部のパーツである。
まず、m-Book W880ではCPUに第8世代のCore i7-8750Hを採用している。最新の世代のノートPC向けCPUだが、これまでのCPUとはちょっと違う。CPUの内部で実際に計算を行うのがコアと呼ばれる部分だが、ノートPC向けCPUはこれまで多くて4コア、一般には2コア程度だった。しかしCore i7-8750Hはこれが6コアに増えている。
これを調理に例えるなら、コンロの数が多ければ複数の料理を平行して作れるのに似ている。CPUに当てはめればコアが多いほど速く処理を完了できるわけだ。ベンチマークテストのCINEBENCH R15は、この処理の速さを具体的な数値で示してくれる。
m-Book W880のCINEBENCH R15のスコアでは、CPUテストが1000cbを超えている。ちなみに、1000cbの壁はデスクトップ向けで4コアのCore i7でもオーバークロックなしには超えられない壁だった。6コアCPUを搭載したm-Book W880は、まさにデスクトップPCに匹敵するCPUパフォーマンスを実現しているのはベンチマークテスト結果からも明らかだ。このベンチマークテストのようにCPUの複数コアで処理速度が向上する用途、例えば先ほど挙げた映像編集のような用途はm-Book W880にうってつけといえる。
これを分かりやすく数値化してくれるのがアプリケーションベンチマークテストのPCMark 10だ。スコアを見ると、写真や映像制作のテストとなるDigital Content Creationのスコアは4925ポイントで、十分に高い。Webブラウザを中心としたEssentialsは7341ポイント、Productivityも7267ポイントと非常に高い水準だ。実は昨今のアプリケーションでは、CPUだけでなくGPUも利用して処理を行う。そしてm-Book W880がCPUに内蔵されたGPUだけでなく、別途専用のGPUを搭載していることが大きく関わってくる。
m-Book W880のGPUにはNVIDIAのGeForce GTX 1050を採用している。ノートPCのカタログを見ると、グラフィックスの欄は「Intel UHD〜」となっていることが多い。これはCPUに内蔵されたグラフィックス機能を利用していることを示している。CPUに内蔵されているのでその分コストを抑えられるのがメリットだ。一方、GeForce GTX 1050は追加コストがかかるもののパフォーマンスは飛躍的に向上する。
まずはメジャーなベンチマークテストの3DMarkで3Dパフォーマンスを見てみると、Fire Strikeのスコアが5568ポイントだった。m-Book W880のCPUに統合されているIntel UHD Graphics 630のスコアは872ポイントだったので、GeForce GTX 1050によって6.3倍もパフォーマンスが高くなっていることが分かる。
3DMarkのスコアが5000ポイント台とはいえ、カジュアルな3Dゲームが楽しめるレベルである。FPSタイトルのような最新グラフィックスを高解像度、高画質、そして高いフレームレートで楽しむことを目的とするものではないが、特に国産ゲームタイトルを中心とした3Dゲームなら十分に楽しめる。
例として、「ドラゴンクエストX」や「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」を試してみる。まず、かなり軽量なドラゴンクエストXを同ベンチマークテストで計測してみると、1920×1080ピクセルの最高品質で15414ポイント。「すごく快適」という評価だ。このくらい軽いタイトルだと少し力を持て余してしまう印象だ。
一方、国産3Dゲームの中ではかなりヘビーなFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONも同ベンチマークテストで計測してみたが、1280×720ピクセル、軽量品質であれば「快適」評価が得られた。同じ画質設定で1920×1080ピクセルに引き上げても「普通」評価は得られ、これもプレイ自体にはそれほど問題ない。ただ、1280×720ピクセルと1920×1080ピクセルでは後者の方が美しい映像が楽しめるが、「快適」と「普通」の指標では1秒間に画面を書き換える回数「フレームレート」が異なる。「快適」はかなり滑らかに表示されるが、「普通」ではごくまれに映像に引っ掛かりを感じるかもしれない。
先ほど、「対象ではない」としたFPSのようなタイトルも、設定次第では十分に楽しめる。「Assassin's Creed Origins」では1280×720ピクセル、画質設定は下から2番目の「低」とすることで平均60fps、「安定」といった評価が得られた。
m-Book W880はゲーミングノートPCではないが、こうした息抜きのゲームは十分に楽しめることが分かる。それも17.3型の大画面なので、気分転換には十分だ。一方で、これ以上を求めるならば、同社のG-tuneゲーミングノートPCを選んだ方がいい。本格的に3Dゲームを楽しむならばGeForce GTX 1050よりも上のクラスのGPUが欲しくなるだろう。
しかし、m-Book W880がゲーミングノートPCではないことで得られるメリットもある。それはスリムさや静かさだ。ゲーミングノートPCでは本体も厚みがあり、例えば、パームレストの先端部分で20mm以上あるようなものも多いが、m-Book W880の一番薄い部分は、非ゲーミングの一般的な15.6型ノートPCと同じ程度の厚さである15mmにおさまる。
スリムモバイルノートPCでも10mm程度だから、普段そうしたノートPCで作業している人が触れても、少し厚みがあるかなとうっすら感じるくらいのものだろう。そして、何より感心したのが静音性だ。Webブラウジングなどではファンの存在に気付かないくらいの静かさで、3Dゲーム中には確かに音を感じるが、プレイの邪魔になるほどではない。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2018年8月14日