容積が約2LというMini-STXフォームファクターのボディーにAMD Ryzenを搭載したコンパクトデスクトップPCが登場。人気の高い「DeskMini A300」をベースにサイコムらしいカスタマイズを加えた製品だ。
サイコムの省スペースデスクトップシリーズ「Radiant S」シリーズに、AMD Ryzenを採用した新モデル「Radiant SPX2700A300A」が加わった。容積1.92Lのコンパクトなボディーと柔軟なストレージ類の拡張性、AMD Ryzenならではのコストパフォーマンス、CPU内蔵グラフィックス性能を生かした製品となっている。パーツ構成はBTOで柔軟にカスタマイズできるが、今回はRyzen 5 2400Gを搭載したハイスペック構成の評価機を入手した。その実力を検証していこう。
Radiant SPX2700A300Aの大きな特徴の1つが、Mini-STXフォームファクターを採用したコンパクトなボディーだ。このMini-STXは、比較的新しいフォームファクターで、省スペースというだけでなく、高い性能とある程度の柔軟な拡張性を持たせられる。
本体サイズは、約155(幅)×155(奥行き)×80(高さ)mm。容積では1.92Lだ。電源は内蔵せず、120WのACアダプターで駆動する。サイズ感としては弁当箱といったところ。縦置き、横置き、どちらにも対応でき、置き場所を選ばない。
放熱を効率化するため、CPUクーラー周辺は吸排気口が多く空いているが、吸気口部分にぴったり着脱できる防塵(ぼうじん)フィルターを標準で付属する。マグネットで簡単に着脱できるため清掃も容易にできる。
このボディーは、ASRockの「DeskMini A300」という汎用のベアボーンキットをベースにしたものだが、着脱式のフィルターはサイコムが独自で用意しているものだ。長期運用まで想定した細やかな配慮がありがたい。
CPUにはAMD Ryzen Gシリーズ(開発コード名=Raven Ridge)を採用。コストパフォーマンスの高さが魅力のRyzenのGPU内蔵モデルだ。AMDは単体GPUでも実績があるだけに、内蔵GPUの描画性能ではIntelに対して大きな優位性がある。標準構成ではRyzen 3 2200Gだが、BTOで上位モデルのRyzen 5 2400Gも選択できる。
マザーボード上にはメモリソケットとしてSO-DIMMソケットを2基装備しており、最大32GBまで搭載可能だ。ストレージ用としては、2基のM.2ソケットに加えて2.5インチベイを2基装備しており、BTOではM.2 SSDと2.5インチSSDおよびHDDを柔軟に組み合わせて2基まで搭載できる。
M.2ソケットはPCI Express 3.0 x4(NVMe)に対応した高速ソケットで、Samsung 970 EVO PlusやWD Black SN750 NVMeなど最新の高速SSDも選択肢に用意されている。
評価機は、500GBのPCI Express SSD(WD Black SN750 NVMe=WDS500G3X0C)に加えて、2.5インチベイに480GBのSerial ATA SSD(Crucial CT480BX500SSD1)を搭載した約1TBのストレージ容量をもつデュアル構成だ。この構成は、WD Black SN750 NVMeを1TB搭載するのに比べて、BTO価格(2019年3月12日時点)では1万8100円安い。D Black SN750 NVMeは最新かつ高性能なSSDではあるが値段が高いため、OSドライブとして必要十分な容量にとどめ、比較的安価な2.5インチSSDで容量を補うことで、リーズナブルなコストで快適さと大容量を両立させている。複数のストレージが搭載できるシステムのメリットを生かした好例といえる。
WD Black SN750 NVMeのようなPCI Express SSDは非常に高性能な一方で発熱が高くなりやすく、高温になるとサーマルスロットリング(故障防止のため性能を抑えて発熱を下げる機能)が発生してしまうことがある。
そこで、サイコムではオリジナルのM.2ヒートシンクをBTOのオプションとして用意。放熱を効率化することでSSDの温度上昇を防ぎ、高負荷が続いてもサーマルスロットリングの心配なしに安心して使えるよう配慮している。高速SSDを搭載するならば、こちらも合わせて選択しておきたい。
通信機能は1000BASE-T対応の有線LANを標準装備する。BTOではIEEE802.11a/b/g/n/ac対応の無線LAN/Bluetooth 4.2(Intel Dual Band Wireless-AC 3168)を追加可能だ。
前面端子はType-CとType-A両方のUSB 3.0ポートを装備。背面にはType-AのUSB 3.0とUSB 2.0を1基ずつ装備する。ディスプレイ出力端子は、DisplayPort、HDMI、アナログRGB出力(D-Sub 15ピン)を備え、DisplayPort、HDMIともに4K解像度でリフレッシュレート60Hzの映像出力が可能だ。
Intel系ではCPU内蔵GPUの仕様上、4K解像度で60Hz表示ができるのはDisplayPortのみである製品が多いので、このあたりもRyzen Gシリーズを搭載しているメリットといえる。
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提供:株式会社サイコム
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2019年3月21日