プロイラストレーターがコスパ良好のXP-Pen液タブをガチで触ったら(2/2 ページ)

» 2019年11月01日 10時00分 公開
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お絵かきで実用性をチェック

 それでは、実際にお絵かきをしながら、実際の使用感を見ていこうと思います。今回は過去に製作したイラストの、各工程をやりなおしながら、感触をチェックしていきます。使用したアプリはAdobe Photoshop CCです。

 まずはラフから見ていきます。描き始めて最初に気付いた普段の環境との差は、動作の軽快さでした。なんで液タブが違うだけでPCの動作速度が変わるんや、と思われるかもしれませんが、実際に変わります。

 自分は普段の製作では4K対応のモデルを使っていますが、画面表示のための演算がフルHDの4倍必要になります。これは過去のレビューで4KとフルHDの動作を比較した動画ですが、大きなファイルではこれくらいの差になることもありますし、それほどでもないサイズや軽いブラシの作業であっても、サクサク感として響いてきます。

フルHDモデルと4Kモデルでの描画性能の違い

 15.6型だと画面解像度は4Kぐらいあった方がいいのかな、と思う人もいるかもしれません。4Kだと確かに表示品質は良いですが、使うPCや製作物のサイズによっては快適さや生産性が悪化したり、良い事ばかりではなかったりすることを覚えておくと良いでしょう。

 ラフの話に戻ります。ラフの工程では、自分は素早く色々試したり、大きな消しゴムを使う場合が多いので、遅延の小ささや動作の軽快さが大事です。また、鉛筆に近いブラシでラフを描くため、中程度の筆圧の反応が自然だとうれしいです。Artistシリーズの場合、これらは両方とも満足できるもので、普段制作に使っている、価格が何倍もする製品と比べても違和感はありませんでした。

XP-Pen Technology 普段は4K環境で仕事をしているため、フルHDのサクサク感を体験するのは久しぶりですが、意外と気に入りました

 次に線画です。線画の工程は、意図した位置に線を引くために、摩擦の一貫性やジッターがないなどのトラッキングの正確さが重要です。これについても先のテストの通り問題なく、実際に違和感もありませんでした。自分は普段摩擦の大きいフェルト芯を使っているので本機の芯の滑りは厳密には評価できませんが、滑らかで一貫性もありますし、摩擦が小さめで軽快感のある、疲れにくそうな描き味だと感じました。

XP-Pen Technology 摩擦の小ささに慣れてくると、だんだん狙ったように線が引けるようになりました

 また、過去のモデルであったペンの傾きによってカーソルがペン先からずれる現象も、軽減されているようでした。右手である程度自然に持っている限りは気にならないです。これはかなりうれしい改善点だと感じました。

 さて、では塗っていきましょう。彩色の工程では、自分は筆圧による薄いタッチやグラデーションを多用するので、軽〜中程度の筆圧の正確さが大事です。これについても違和感がなくて、普段使用している機材とほぼ同じ感覚で塗って引っかかるところもなく、快適に作業できました。

XP-Pen Technology グラデーションとハードエッジを主に筆圧で使い分けていますが、問題なくできました

 また、感心したのがホイールの使い勝手です。マウスホイールを軽くしたようなクリックのあるホイールで、素早くグルグル回すのと1ステップ単位で調節するのが両方ともやりやすいです。今回はブラシサイズに割り当てて使ってみましたが、例えば「5〜6段階だけ回そう」というのが指の感触だけでスパスパ決まるのは爽快でした。

XP-Pen Technology 親指でも、人差し指でも使い勝手は良好でした

 総じて、本機は普段使っている機材と同じものではないため、摩擦の度合いやペン先が触れるぐらいの一瞬の感触は同じものではないです。とはいえ、そのあたりの好みを一旦忘れれば、普段通りに描いていつもの速度と品質で作業が進んでいくというのが印象的でした。唯一、軽い摩擦に不慣れなせいで線が少し不安定になりましたが、しばらく描いているとだんだん気にならなくなりました。

 自分は環境の変化に弱い方で、違和感があると色々調べたり測ったりし始めて作業が止まってしまうことがありますが、今回は普段通りに描いて概ねいつもの速度と品質で作業が進んでいきました。日頃使っている機材の数分の1の価格で、これが実現できるというのは、もはや戸惑いすらあります……。

XP-Pen Technology 本機で描きおろしたわけではないですが、過去に描いた感覚を思い出しながら各工程をチェックするのは普段の環境と比較もしやすく、良い体験でした

まとめ

 ここまで、外観と設置、性能、実用についてそれぞれ見てきましたが、Artistシリーズは価格に対して非常に満足感の高い製品でした。

 設置については、コネクタや電源端子の工夫で安心感・耐久性を確保しつつ、シンプルな接続を実現しています。タブレットとしての性能は、過去には低価格機にありがちだった問題もなく、違和感や生産性の低下をほとんど心配しなくてもよい世代になりました。発色などの表示性能も、カジュアルな機種として十分かつ良い狙いどころに仕上がっていると思います。

 実際の作業に使用しても、自分としていつも通り作業して、ほぼいつも通りの成果が得られるのがとても印象的です。

 このような内容で、実売3万円弱〜4万5000円弱というのは本当にうれしい価格だと思います。いずれも薄型で軽い機種ですが、運搬性を重視するなら12型または13.3型を、家での作業を重視するなら15.6型を選ぶのが良いでしょう。15.6型ならば、12.9型のiPad Proを横持ちしたのと同じぐらいの画面の縦幅を得られます。sRGB標準を重視するなら、色域が近い12型も良い選択だと思います。

 自分ならば15.6型を選ぶと思います。伸び伸びと作業しやすいサイズですし、小さく描く癖がある人ならば、余った面積を資料の表示などに活用できます。毎日運ぶというわけでもなければ、必要に応じて運搬もできる薄さ・軽さでもあると思います。

 XP-Penは新興のメーカーということもあって、「なんとなく心配」という人がいるかもしれません。新興といっても液タブのシリーズは数年前からコストパフォーマンスなどが評価されている人気商品で、既に何年も走り続けているメーカーですし、だんだん熟成の域に入ってきていると思います。

 また、国内にオフィスも設置され、電話やメールなど、日本語でのサポートにも力を入れてきています。

 自分が最初に買った液タブは、たしか36万円でした。なので今、例えばお絵かきを始めたばかりで「液タブってどうなんだろう?」と思ったときに、ひとまず3万円前後あれば買えるというのはかなり喜ばしいと思います。過去にも10万円前後の買いやすい機種がありましたが、入門のしやすさが圧倒的に違います。

 最後になりますが、本機はこれまで色々とチェックしてきた通り、熟成が進んでいて失敗しづらい製品になっていると思います。それに、薄型・軽量で実用性があるので、仮によりこだわりの強い機種にステップアップしたとしても予備やモバイル用途に流用しやすく、無駄にもなりづらいです。液タブを検討している皆さんは、このあたりから入ってみる、というのも良いのではないでしょうか。

XP-Pen Technology
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提供:XP-Pen Technology
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2019年11月19日

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