ASUSTORの10GbE/2.5GbE対応NASでワンランク上の快適環境を手に入れようもう10GbEにしてもいいんじゃね(1/2 ページ)

動画や写真に音楽など、データはどんどんリッチになっています。当然、NAS(ネットワークストレージ)もより高速なものを使うとより快適になります。この記事では、10Gbps/2.5Gbps通信に対応するASUSTOR(アサスター)のNAS「Lockerstor 8」に、ウエスタンデジタルのNAS用ストレージ「WD Red」シリーズを組み合わせてそのパフォーマンスを検証します。

» 2020年01月23日 10時00分 公開
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 デジタルデータの大容量化はとどまるところを知らない。1時間分の動画でも、DVDだと4.5GB(720×420ピクセル/10Mbps)、地デジだと7.65GB(1440×1080ピクセル/17Mbps)、Blu-ray Discだと18GB(1920×1080ピクセル/40Mbps)……というふうに、品質が高くなるにつれて容量も大きくなる傾向にある。

 この傾向は、TV局を始めとするプロのコンテンツメーカーが作る動画だけでなく、ユーザー自身が作成するデータでも同様だ。現在では、デジタルカメラで撮影した写真(静止画)の容量が1枚当たり10MBを超えることも珍しくない。

 このような大容量のデータをストレスなく扱うためには、大容量のストレージはもちろん、高速な通信も不可欠となる。2019年現在、オフィスや家庭内の有線ネットワークで主流となっている規格は「1000BASE-T」、つまり1Gbpsのイーサネットだ。かつては高速と思われた速度にも限界を感じることが増えてきたのではないだろうか。

 そこで今回は、ASUSTORのマルチギガ(10GbE/2.5GbE)対応NAS(ネットワークストレージ)「Lockerstor 8(型番:AS6508T)」に、ウエスタンデジタル(WD)の信頼性を高めたNAS用ストレージ「WD Red」シリーズを組み合わせて、“オーバー1Gbps”環境での利用を検証する。

AS6508T ASUSTORのマルチギガ対応NAS「AS6508T」
WD RED(HDD)WD RED(SSD) NASに最適化されたウエスタンデジタルの「WD Red」シリーズには3.5インチHDD(写真=左)の他、2.5インチSSDとM.2 SSD(写真=右)も用意されている

設置環境を考慮したポート構成

 AS6508Tの背面には、RJ45(イーサネット)のポートが4つある。そのうちの2つが10Gbps対応の「10GBASE-T」ポート、もう2つが2.5Gbps対応の「2.5GBASE-T」ポートとなっている。一見奇妙な構成にも思えるが、現在の有線ネットワーク状況を鑑みると、非常に実態に即した構成ともいえる。

 有線ネットワークの規格は10Mbpsの「10BASE-2/5/T」、100Mbpsの「100BASE-TX」、そして現在の主流である1Gbpsの「1000BASE-T」というように、最高通信速度は10倍刻みで進化してきた。その流れに従うと、次は10Gbpsの「10GBASE-T」……と行きたい所ではあるが、この速度はPCのストレージで使われる通信規格「SATA 3.0」の6Gbpsを超える速度だ。

 ここまで高速になると、既存の「CAT5e」「CAT6」といった従来のLANケーブルではより高速化することが難しい。そのため、10GBASE-Tでは「CAT6A」など、より高品質な上位規格のケーブルを使用することが前提となっている。

 とはいうものの、既に床や壁に埋設されているLANケーブルを刷新するのはコストがかかる。接続されているPCのネットワークアダプタ(NIC)やスイッチ、NASなどを一斉に10GbE対応品に切り替えるので、LANケーブルの取り換えも必要コストとして受け入れやすいかもしれない。だが、全てのケーブルを敷き直しても、その恩恵にあずかれるのは10GBASE-TのNICを備える一部のPCを使う人のみ、という状況ではなかなかハードルが高い。

 10Gbpsとまでは言わなくても、今までのケーブルで少しでも高速にできないものか――そんな観点から生まれたのが、CAT5e/CAT6ケーブルをそのまま使う「マルチギガビット・イーサネット」という規格だ。この規格は「NBASE-T」とも呼ばれ、CAT5eケーブルでは2.5Gbps、CAT6ケーブルでは5Gbpsの通信を実現できる。「1000BASE-Tと10GBASE-Tの中間にあたる規格」ともいえる。

 AS6508Tは2.5GBASE-Tポートを2つ備えるため、既存のCAT5eケーブルを使って1Gbps超の通信を実現できる。「IEEE 802.3ad」などのリンクアグリゲーションに対応するスイッチと組み合わせれば、さらなる高速化も可能だ。将来的にCAT6Aケーブルへの移行が完了したら10GBASE-Tポートに切り替えて使えばよい。

 言うまでもなく、新しい規格の通信にはケーブルだけでなくPC(NIC)、NAS、スイッチにも対応製品が必要となる。特に現時点では10GBASE-Tに対応する機器がマルチギガビット・イーサネットに対応するとは限らない点には注意が必要だ。

AS6508Tの背面 AS6508Tの背面。4つ並ぶイーサネットポートのうち、上2つが10GBASE-Tポート、下の赤い2つが2.5GBASE-Tポートとなる

ローカルストレージの高速化も重要

 1Gbpsを超える高速なネットワーク環境を構築する際に考慮しなければいけないことの1つとして、「ボトルネックはどこにあるか?」という点が挙げられる。いくらNASが10GbEをサポートしていても、NASの内部ストレージへのアクセスが低速では宝の持ち腐れとなってしまう。

 AS6508Tは、2.5インチ/3.5インチサイズでSATA 3.0規格(最大6Gbps)のHDD/SSDを装着できる「共有ベイ」を8つ備えている。これらのベイは「シングルボリューム」はもちろん、「JBOD(スパニング)」や「RAID0/1/5/6/10」まで、自由に組み合わせて構成できる。

 速度を最優先するなら、複数のストレージに分散して書き込みや読み出しを行うRAID0が有利だが、シングルボリューム運用と比べると耐障害性が下がってしまう。ある程度の速度を維持しつつ、耐障害性を確保するためにRAID1/5/6/10のいずれかで運用するのが一般的だろう。CPUに「Intel Atom C3538」(2.1GHz4コア)を採用し、メインメモリを8GB(DDR4 SO-DIMM:最大32GBまで拡張可能)を備えるAS6508Tなら、処理負荷の比較的大きいRAID5/6を使った場合でも、パフォーマンスの低下はそれほど大きくならないだろう。

ストレージベイ AS6508Tの前面には、2.5インチ/3.5インチ兼用の共有ベイが8つある。8つのストレージをどのように運用するか、柔軟に設定できる
メモリスロット メインメモリはDDR4 SO-DIMMを採用。標準では8GBのモジュールを1枚搭載済みだが、換装・増設によって最大32GB(16GB×2)まで拡張できる

 AS6508TにはSATA 3.0とPCI Express(NVMe)の両方に対応するM.2 SSDスロットも2つ備えている。ここに装着したM.2 SSDは、共有ベイのストレージに対するキャッシュとして利用できる。

 HDDはSSDと比べて安価な反面、物理的な制約でランダムアクセスが遅いという欠点を持つ。M.2 SSDをキャッシュとして使えば、その欠点を補い、快適なアクセスを実現できる。

SSD ボディー内部にはM.2 SSDスロットが2基用意されている。
SSDキャッシュ M.2 SSDは、共有ベイのストレージに対するキャッシュとして運用する

 さらにAS6508Tはハードウェア暗号エンジンを搭載しているため、ストレージ内のデータの暗号化・復号処理を高速に行える。暗号方式は、安全性の高い「AES256」を採用している。

 産業廃棄物を処理する処理業者の従業員が回収したHDDをネットオークションで転売し、世界最悪級の個人情報漏えい事件が発生したことは記憶に新しい。重要なデータを自衛するためにも、ストレージの暗号化がより強く求められる現在において、ハードウェアによる暗号化は必須機能になるだろう。

暗号化設定 ファイルの暗号化は、共有フォルダ単位で設定する
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2020年1月29日