ASUSTORの10GbE/2.5GbE対応NASでワンランク上の快適環境を手に入れようもう10GbEにしてもいいんじゃね(2/2 ページ)

» 2020年01月23日 10時00分 公開
[PR/ITmedia]
PR
前のページへ 1|2       

「MyArchive」で高速アクセスと大容量を両立

 AS6508Tには他にも高速アクセスと大容量ストレージを両立する仕組みがある。それが「MyArchive(マイアーカイブ)」機能だ。

 ストレージには、原則として抜き差しや交換をしない「内蔵ストレージ」と、必要に応じて着脱する「外付けストレージ」の2種類がある。通常、NASに装着するストレージは内蔵ストレージという区分になる。

 AS6508Tを含め多くのNASは、ボディー前面から簡単にストレージを着脱できるようになっているが、これはメンテナンス性を考慮したもの。ストレージが故障した時の交換、あるいはストレージを増強するためにある。頻繁に抜き差しすることは想定していない。もちろん、取り外したストレージを他のNASやPCにつないで使うということもできない。

 MyArchive機能は、本来は“挿しっぱなし“で使用する内蔵ストレージを取り外して他のストレージと交換したり、抜いたものをNASだけでなくWindows PCやLinux PC、Macなどから直接利用したりできる機能だ。「指定したベイを外付けストレージとして利用できる機能」と言い換えてもいい。

 これをうまく使うと、コンテンツアーカイブメディアとしてHDDを利活用しやすくなる。定期的なバックアップをMyArchiveディスクに取り込んで、「コールドストレージ」として遠隔地や金庫などに保管しておく、という使い方もできるだろう。

 なお、MyArchive機能の対象となるストレージにも暗号化処理を施せる。万が一ディスクが盗難に遭っても情報流出を避けられるが、暗号化できるのは「EXT4」で初期化されたストレージに限られるので注意しよう。

ボリューム作成画面 MyArchiveで使うストレージは、ボリュームのセットアップでその旨を指定する
形式選択画面 選択できるフォーマット形式はLinuxで用いる「EXT4」、Windowsで用いる「NTFS」、Mac(macOS)で用いる「HFS+」のいずれか。ただし、ボリュームの暗号化はEXT4形式でのみサポートしている
MyArchive AS6508Tの場合、システム用に指定したベイ1つを除く7つのベイをMyArchiveディスクとして利用できる。どのベイにどのMyArchiveディスクが入っているかは、ストレージマネージャから確認可能だ
Windows PCにつなぐ NTFSで初期化したMyArchiveディスクを取り外し、Windows PCに接続したところ。データは「MyArchive」フォルダの下に保存されている

AS6508T×WD Redでベンチマーク

 10GBASE-Tポートと2.5GBASE-Tポートを備えるAS6508Tは、どのくらいのパフォーマンスを発揮するのか。ベンチマークテストを実施して確かめることにしよう。

 NASは複数のHDDを高密度に搭載するため、他のベイに装着されたHDDからの振動などの影響を受けやすい。また、24時間の連続稼働、複数クライアントからの同時アクセス、データに求められる耐障害性など、NASの動作環境はデスクトップPCとは大きく異なる。高いパフォーマンスと高い信頼性を両立するためには、ウエスタンデジタルのWD RedシリーズのようにNAS用に最適化されたストレージを選ぶことも重要だ。

 今回は、AS6508Tにおいて2基のSSD(WD Red SA500 2TB)と2基のHDD(WD Red NAS Hard Drive 14TB)で構成したRAID1ボリュームを用意した他、NAS用HDD同士を比較できるように「WD Red NAS Hard Drive 14TB」と「WD Red Pro NAS Hard Drive 12TB」をシングルボリュームで用意している。さらに3基のHDDを用いたRAID5ボリュームも用意した。キャッシュストレージとして、PCI Express接続のM.2 SSD(Western Digital CL SN720 NVMe SSD 1TB)」も2基搭載している。

 10GBASE-TポートのテストではASUSTORの10GbEアダプター「AS-T10G」を搭載したPCを用意し、ASUS製の10GbEスイッチ「XG-U2008」を介してAS6508Tと接続する構成とした。一方、2.5GBASE-TポートのテストではASUSTORの2.5GbEアダプター「AS-U2.5G」を搭載したPCと、AS6508Tを直結する構成とした。MTU(1フレームで送受信できるデータ量)はどちらも最大値を設定している。

 PCは4コア8スレッドで動作するIntelのCore i7-7700を搭載し、メインメモリを16GB備え、Windows 10 Pro(64bit版)をインストール済みのものを使った。ベンチマークソフトはひよひよ氏が製作した「CrystalDiskMark 6.0.2」の64bit版を用いている。

 なお、今回はテストの都合上、クライアントPCの台数を1台のみとしているが、ASUSTORのテスト結果では、2台にするとアクセス速度が約1.5倍程度向上するという。

AS-T10G 10GBASE-Tのテストで用いた「AS-T10G」。PCI Express接続(PCIe 2.0 x4)のデスクトップPC向けアダプターだ。今回のテストではMTUを最大値の9014Bに設定している
AS-U2.5G 2.5GBASE-Tのテストで用いた「AS-U2.5G」。USB 3.2 Type-C接続でノートPCでも使えるアダプターだ。今回のテストではMTUを9KBに設定している
XG-U2008 10GBASE-Tのテストで用いたスイッチ「XG-U2008」。10Gbpsポート×2、1Gbpsポート×8を備える安価なアンマネージドスイッチだが、2.5GBASE-Tには非対応となる

RAID1(SSD×2)

 まず、2基のSSDで構成したRAID1ストレージに対してテストを実施した。

 シーケンシャル読み出しではネットワークの差が如実に表れた。1000BASE-T接続時と比べて、2.5GBASE-T接続時は約2.5倍、10GBASE-T接続時は約10倍と単純にネットワークが速くなった分だけパフォーマンスが向上している。一方、シーケンシャル書き込みの結果を見ると、2.5GBASE-Tの速度で“頭打ち”となってしまうようだ。

 ランダムアクセスでは、ネットワーク速度による有意な変化はあまり見られない。これは2.5GBASE-Tや10GBASE-Tにおいてジャンボフレームを有効にしていることが影響している可能性もある。

シーケンシャル結果グラフ シーケンシャルアクセスの比較。読み出しは綺麗にネットワークの速度と比例している。一方、書き込みは2.5Gbpsで頭打ちになっているようだ
ランダム結果グラフ Q8T8ランダムアクセスでの比較。シーケンシャルアクセスとは異なり通信速度による有意な差は見受けられない
ランダム結果グラフ Q32T1ランダムアクセスでの比較。こちらも通信速度による有意な差はあまりない
ランダム結果グラフ Q1T1ランダムアクセスでの比較。やはり通信速度による有意な差はあまりない

RAID1(HDD×2)

 次に、2基のHDDで構成したRAID1ストレージに対してテストを実施した。

 傾向を見ると、先述のSSDによるRAID1ストレージと同様だ。シーケンシャル読み出しは10GBASE-T接続時は毎秒1200MBオーバー、2.5GBASE-T接続時で毎秒300MBと1Gbps接続時と比べるとリニアに速度が向上する。NAS用のWD Red HDDのポテンシャルの高さゆえなのか、10GBASE-T接続時のシーケンシャル書き込みがSSDよりも高速だったことも特筆すべき事項だろう。

 シーケンシャル読み出しなら、SSDでもHDDでも10GBASE-Tのポテンシャルを十分に引き出せるだけのパフォーマンスを発揮できていることが分かるはずだ。

シーケンシャル結果グラフ シーケンシャルアクセスの比較。SSDと同様に、読み出しはネットワークの速度と比例して高速で、書き込みは2.5Gbpsで頭打ちになる
ランダム結果グラフ Q8T8ランダムアクセスでの比較。シーケンシャルアクセスとは異なり通信速度による有意な差は見受けられない
ランダム結果グラフ Q32T1ランダムアクセスでの比較。こちらも通信速度による有意な差はあまりない
ランダム結果グラフ Q1T1ランダムアクセスでの比較。やはり通信速度による有意な差はあまりない

RAID1とRAID5のパフォーマンス比較

 NASは情報が集約・共有されるハブとして利用される。そのため、高い可用性と耐障害性を求められる。そのため、実運用ではシングルボリューム、JBODやRAID0といった冗長性を持たない構成を取らず、耐障害性を備えるRAID1/5/6/10で利用することがほとんどだろう。

 どのRAID構成を採用するかは、ストレージの最低構成台数、容量効率、障害許容台数やアクセス速度などを勘案して決定することになる。また、RAID1/10が比較的単純な仕組みであるのに対し、RAID5/6は書き込みの際にパリティ(等価性)を計算する必要があるため、NASの処理速度次第で書き込み速度が大きく変動する。つまり「RAID1とRAID5/6ではどちらが高速か?」という問いに対する答えは一様には出ない。

 AS6508Tではどうなのか。複数台のHDDでRAID1とRAID5のボリュームを作成し、シーケンシャルリード/ライトをネットワーク速度別に比較した。

 結果は以下のグラフで示した通り。1Gbpsから2.5Gbpsまでは、構成による速度差はほとんどなく、ネットワークがボトルネックになっている様子がうかがえる。それに対し、10Gbps環境ではRAID5構成のシーケンシャルライトがRAID1構成の1.5倍弱のスコアとなった。

 高速なネットワーク環境を構築できる場合は、RAID5の方が速度的に有利なようだ。RAIDの構成を考える際の参考にしてもらいたい。

RAID1とRAID5のパフォーマンス比較 2台のHDDでRAID1とRAID5のパフォーマンスを比較。AS6508Tの場合、高速なネットワーク環境ではRAID5の方が良好なパフォーマンスを発揮できるようだ

HDD同士の比較(WD Red vs WD Red Pro)

 最後に、HDD同士の速度を見比べるべく、WD RedとWD Red Proをシングルボリューム構成で比較した。WD Redシリーズは一般的なNASでの利用を想定した設計なのに対し、WD Red Proシリーズは8ベイ以上ある中・大規模企業向けのNASで利用することを想定した設計となっている。

 結果を見れば分かるが、AS6508Tで利用するならWD Redシリーズでも十分なパフォーマンスを発揮できる。むしろ、NASにアクセスする際のプロトコル(通信方法)が速度を左右している。

 8ベイまでならWD Red、それ以上のベイを備えるならWD Red Proを使うとよいだろう。

シーケンシャル結果グラフ シーケンシャルアクセスの比較。両HDD共に結果は拮抗(きっこう)している
ランダム結果グラフ Q8T8ランダムアクセスでの比較。NASにアクセスする際のプロトコルが速度を左右している
ランダム結果グラフ Q32T1ランダムアクセスでの比較
ランダム結果グラフ Q1T1ランダムアクセスでの比較

すぐに速くなる、これからもっと速くなるNAS

 AS6508Tの特徴は「今より速い環境をすぐに手に入れられること」と「さらに速い環境に育てられること」だ。

 ネットワークではすぐに利用できるCAT5eのケーブルを使いながら2.5Gbpsへのスピードアップ、リンクアグリゲーションで5Gbps、そこからCAT6Aに移行すれば10Gbps、リンクアグリゲーションで20Gbpsにまで達する。その一方でストレージは「HDDのみ」「HDD+SSDキャッシュ」「SSDのみ」……というように容量とコストを勘案しながらグレードアップさせることができる。

 NASを利用するPCも、段階的な速度向上が期待できる。たとえPCのネットワーク速度が1Gbps止まりだったとしても、NASのネットワーク速度が速ければ、複数台で利用した場合の速度低下が抑えられる、PCのネットワークインタフェースを高速なものに取り替えれば高速化の恩恵に預かれる。USB接続の2.5GBASE-T対応アダプタは比較的安価で、今回テストで使用したAS-U2.5Gは税込みで実売6000円弱で入手可能だ。

 10Gbps環境で運用するAS6508TとWD Red/Red Proのポテンシャルは非常に高く、ストレージとしての死角がなくなったような印象がある。今までであれば「速度が求められるデータはローカルに、容量が求められるデータ、重要なデータはNASに」というような使い分けをしていたが、NASの方が高速となると話は変わってくる。

 参考までに、TS動画ファイルを「TMPGEnc Video Mastering Works 7」のプラグイン「Commercial Candidates Decetror」でCM検出を行ってみたところ、スピードは「内蔵HDDよりも高速で内蔵SSDにやや及ばない程度」となった。動画のシーク、ランダム再生でも、もたつきは全くない。

 こうなってくるとデータの保存・共有用としてだけではなく、作業用ファイルの置き場所としてもNASを活用することが現実味を帯びてくる。複数台のPCのストレージ増設を1台のAS6508Tでまかなえるということを考えると、コストパフォーマンスが優れた一手といえるかもしれない。

 ネットワークの高速性を十分生かすことができるウエスタンデジタルのWD Red/Red ProシリーズとAS6508Tを組み合わせれば、すぐに速くなる、そしてこれからもっと速くなる環境を簡単に手に入れられる。動画や静止画の大容量コンテンツを扱っている人はもちろん、会社の大容量データで日々困っている人は、ぜひ導入を検討してみてほしい。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:株式会社ユニスター
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2020年1月29日