テレワークでは、どうしても個人端末のケアが手薄になる。普段であれば社内ネットワークを経由したデータバックアップや、端末故障の予兆が見えた際の予防対応が可能だが、出社自粛対応が長期化すると、このような対応を取るのは。社内のヘルプデスクが最大限できることといえば、代替機を先出しセンドバックで送るくらいだろう。
そうなると、個人が使う端末は「平時以上に壊れうる」という前提に立って、いかにしてデータを守るかを考えなければならない。だが、1人1人、あるいは1台1台にバックアップ用の外付けストレージを用意したり、日次でリモートバックアップしたりするといった対応は現実を踏まえると簡単ではない。
個人端末のバックアップが難しければ、「元来重要なデータはファイルサーバ上で共有しよう」ということになる。ファイルサーバの利用頻度が通常よりも高くなるため、そのパフォーマンス不足は、全社規模の生産性の低下につながりかねない。
ES2486dcとES1686dcは、最大で1500台の端末が同時接続する環境にも耐えうる、エンタープライズ向け高パフォーマンスモデルだ。そのこだわりはCPU、メモリ、ストレージ、OSにファイルシステムと、全てのコンポーネントに現れている。
ES2486dcとES1686dcは、CPUとしてIntelの「Xeon D-2142IT」(1.9GHz〜3GHz、8コア16スレッド)を2基搭載している。先述の通り、それぞれがアクティブ/アクティブで稼働できるため、両方のCPUのパフォーマンスをフルに引き出せる。
ES2486dcとES1686dcは共に、コントローラーごとに4スロットのRDIMM/LRDIMM DDR4スロットを備えている。製品としては64GB(ES1686dcのみ)、96GB、128GBのメモリをインストール済みのものを取りそろえているが、必要に応じて最大512GBまで増設可能だ。
QNAPのNASといえば、独自のOS「QTS」を思い浮かべる人もいるだろう。しかし、エンタープライズ向け製品であるES2486dcとES1686dcでは、その用途に最適化されたOS「QES」を採用している。
QESはオールフラッシュアレイに最適化されており、SSDで最高のパフォーマンスが出せるようにチューニングされている。そのベースとなるのがファイルシステム「ZFS」だ。
ZFSは「コピーオンライト」はもちろん、データをストレージに書き込む際にブロック単位で重複を排除する「インライン重複排除」や「インライン圧縮技術」など高度なアルゴリズムによって、ストレージへのアクセスを最小、最適化している。1PB以上の容量を持つストレージもサポートしている。
インライン重複排除は、ストレージにデータを書き込む際にブロック単位で重複を排除する機能で、モダンなストレージにおいて、必須とも言えるものだ。
例えばファイルをコピーする操作を考えてみよう。ビジネスにおいて「ファイルをコピーする」「コピーしたファイルをベースに修正を加える」といった操作は日常茶飯事に行われる。100MBのファイルをコピーして、そのうち数百KB分を書き換えたり付け加えたりしたら、また100MBのファイルとして書き戻す……無駄が多いということは、感覚的に理解できるだろう。一方で、「修正したら『別のファイル』なのだから仕方ない」という諦観もある。
重複排除は、その“無駄”を省く技術だ。QNAPが採用しているZFSが持つ重複排除技術はブロック単位、つまりファイル全体ではなく、その一部分が重複していればそれを共通のデータとして取り扱うようになっている。書き換えによってそこに共通性がなくなれば、当然「別モノ」「オリジナル」として保存されるが、クライアント側で意識する必要は一切ない。QNAPはそれをインライン方式、つまり、保存しようとしたときに重複を排除する処理を行うからだ。PCなどのクライアントからは重複排除を行っていることは見えず、むしろ単なる「非常に高速なストレージ」として見える。
最新の「QES 2.1」では、全てのランダム書き込みをシーケンシャル書き込みに変換する、QNAP独自の「Write Coalescingアルゴリズム」も統合された。これにより、CPUのパワーを活用してストレージのパフォーマンスを大幅に改善できる。
ストレージやCPUのパフォーマンスが上がっても、ネットワークがボトルネックになるケースもある。特に5G(第5世代移動通信システム)や光ファイバーなど、高速な通信回線が個人にも普及しつつある。
そんな状況で大規模なテレワークによって接続人数が増えると、ファイルサーバの通信速度が「1Gbps」では足りなくなる可能性もある。
ES2486dcとES1686dcでは、2つのコントローラーにそれぞれ10GbE SFP+ポート×4と1000BASE-Tポート×3が搭載されている。リンクアグリゲーションでそれらを束ねてバランシングすることも可能なため、現時点で10GbE環境が整っていなくても1Gbpsオーバのパフォーマンスを実現できる。
その他、ユーザーの使い勝手に直結する以下のような機能も用意されている。
標準設定では、全てのポートで同じサービスを提供するようになっているが、設定を変更すれば、NIC単位で提供するサービスを指定することもできる。優先度の高いサービスに帯域を多めに確保しておく、といった使い方も可能だ。
QESでは、LUNや共有フォルダをグループ化し、それぞれに対してI/Oリソースの優先度を設定する「QoS」が利用できる。
バックアップや日次の自動処理など、「利用頻度は高いがそれほど高速でなくても構わない」という処理に使われる共有フォルダに対するリソース配分を制限すれば、ネットワークの利用帯域を抑えられて、ユーザーのアクセスパフォーマンスが相対的に向上する。
ES2486dcとES1686dcには、拡張スロットとしてPCI Express 3.0 x8ポートが2本用意されている。このポートには、必要に応じて40GbE/25GbE/10GbEのネットワークカードを搭載できる。
Mellanox Technologiesのネットワーク拡張カードを利用すれば、iSCSIの高速化技術「iSER」に利用できるので、VMware ESXiサーバのストレージとして利用する際に、パフォーマンスの飛躍的な向上を期待できる。
今回のコロナ禍が、半ば強制的に働き方を見直す機会となった企業も少なくないだろう。その結果、テレワークの導入そのものが間に合わなかった、あるいは導入済みであっても新たな課題を解決できなかった、というケースもあるはずだ。
しかし、新型コロナウイルスの問題が終息しても、それで「終わり」ということはない。事業の継続に困難をきたす災厄は未知の感染症だけではない。地震や台風など、自然災害によってオフィスへの出勤が困難になることも十分に考えられる。
厄災への備えはもちろん、ワークライフバランスの充実や勤務形態の多様化が進む昨今の情勢を踏まえると、できる限り全社規模でテレワークを実施できる環境を平時から整備しておくことは、現代に生きる企業として率先して取り組むべき課題といえる。
整備に当たっては、「何とか仕事ができる」ではなく、「オフィスと同等、あるいはそれ以上の生産性を上げられる」ことを念頭に置くことが何よりも重要だ。QNAPのエンタープライズ向けNAS「ES2486dc」と「ES1686dc」は、その大きな一助となるだろう。
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提供:QNAP株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2020年6月6日