さてさて、せっかくのハイパフォーマンスPCです、性能も見ていきましょう!
ところで、昔からの常識として「ノートPCのCore i7はなんちゃってi7。デスクトップよりずっと遅い」みたいなのがありますよね。ここでちょっと、デスクトップ用として最後の4コアi7であるCore i7-7700Kと、ノート用8コアi7である本機のパフォーマンスを比べてみました。
このテストは動画の書き出しなので、数分間、CPUをフル活用するタスクになります。「まあコア数は2倍だけどノートPCの電力と排熱の限界でせいぜい1.5倍とか1.7倍とかかな」と思っていたのですが、普通に2倍近くになってしまっています。
イラスト用途としては、今回はブラシレスポンスなどは比べません。元々イラストにはオーバースペックですし、PhotoshopやCLIP STUDIO PAINTは、本機の8コアを効率よく使える作りにはなっていないからです。
とはいえ当然、過去のCPUよりも動作クロックが上がっていて、マルチコアが苦手なアプリの動作も少し底上げされています。実際、自分が普段製作に使っているPCよりも快適でした。このまま返却せずに借りパクしたい程です。
これだけの性能があるんだから、さぞかし発熱するんでしょ? 冷却ファンの音がうるさいんじゃないの? と思われるかもしれません。確かに、先のテストのように全力でCPUをぶん回したときにはしっかりと冷却ファンの音がします。ですが、全力を尽くす「パフォーマンス」モードと、静かに動く「エンターテイメント」モードを本体のボタンでいつでも選べ、さらに静かな「省エネ」モードも用意されています。
もともと豪勢な冷却系を持っているので、「省エネ」モードでも、ちゃんとしたPCとして普段使いには余るぐらいのパワーがあります。個人的には省エネを基本にして静かで快適なPCとして使い、レスポンスが欲しいときに本体のボタンでパフォーマンスに切り替える、という運用が手早くて気に入りました。
「One液タブ」こと、Wacom Oneについてもお話しておきましょう。
発売直後に試したレビューでは、PhotoshopとCLIP STUDIO PAINTで弱い筆圧の反応が不自然で、オン加重も約19gと、ちょっと残念な結果になっていました。
ところが、今回お借りした機材と最新のドライバーで測り直したところ、オン加重は約6g、弱い筆圧への反応もずいぶん自然になっていて、同社の上位機で慣れた感覚で作業しても普通に進めることができます。
Wacom Oneは発売直後に感じた一番大きな弱点が直っていて、ずいぶん買いやすくなりましたね。イラスト作業中でなければサブディスプレイとして、軽いのでさっと置き方を変えて使えるのが便利でした。これは15.6型以上の液晶ペンタブレットでは真似しづらい芸当です。
ちなみに、DAIVのシリーズには液晶ペンタブレットのセットモデルが用意されていて、Cintiq 16またはWacom Oneをワコムストアより少し安く買うことができます。
さて、ここまで、DAIV 5Nの高い性能を見てきました。8コアCPUのCore i7はデスクトップ機とほとんど遜色ないパフォーマンスを発揮し、GPUのGeForce RTX 2060はイラスト用途で必要十分よりも数倍では済まないほどパワフルです。
これでできるのは何でしょう。イラストだけでなく、動画/3D/音楽/ゲームの制作、大作ゲームタイトルの鑑賞などなど……。ノートPCだから、デスクトップPCより非力だからという理由で、自然と諦めていたことが目の前にドバッと広がっています。
ところで、いまキラッと輝いている絵師を、思い出してみてください。動画で情報発信していたり、絵を自ら動かしていたり、3D製作をしていたり、写真を撮ってレタッチし、キャラ絵と組み合わせて素晴らしい情景を作っていたり。複数スキルで輝いている人が目立ち始めていないですか?
自分は、ある程度うまく描ければまあまあ重宝がられ、それだけで目立ったり仕事を得たりしやすい時代の絵師でした。ですが今、絵が上手い人の量、すごいですよね。画力はコモディティー化し、絵師としての「画力」は、「英語」がよく言われるような、「できなければ弱みだけど、できてもそれ単体では強みにならない」の領域に入りつつあります。
ならば今後、我々ができることは何でしょう。
ひたすら画力を研ぎたい……良いことです。今はまだ、それ以外のやりたいことは無い……それもまた普通のことです。ただ、イラスト以外のスキルや創作意欲の可能性を閉じておくようなことは、避けておきたい……そう強く思います。
自分は、必要なものを見極めるのが好きで、イラストを仕事にしてからずっと、PCはイラスト用途としてメリットがある範囲にしかスペックを盛らないようにしてきました。実は今、13.4型の小さなノートを製作用PCにしています。それで得られるものも少なからずありますが、自分ができることを自然に制限してしまっていたことも痛感しています。
今後何をやるか、それともやらないか、すぐには分かりません。それでも、イラスト作成のライブ配信やコラボレーション、遠隔講義など、いろいろと浮かんできますし、今回DAIV 5Nを試用させてもらって、今まで色んなことを無意識に諦めている状況から、ドバッと視界が開ける体験ができたのはとても貴重でした。
皆さんもそういう体験、いかがですか?
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2020年9月2日