AI開発をブーストする「DEEP∞」が世界一を目指すエッジAIとタッグを組む理由(2/3 ページ)

» 2020年09月02日 10時00分 公開
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AIを使った開発工程を大幅に削減できるailia SDK

――axはアクセルの90%子会社という形ですが、axが生まれた経緯や事業内容を教えてください。

品部氏:親会社のアクセルはLSI開発が主力事業です。特にパチンコやパチスロ向けに、特有のグラフィックスに最適な動画コーデックから独自開発した専用LSIを開発し、高い実績があります。こういった事業で培ったハードウェア、ソフトウェア、要素技術(圧縮、超解像、暗号、AIなど)の開発力を生かし、ミドルウェア、機械学習(AI)、ブロックチェーン、セキュリティといった成長分野へ展開していく戦略を進めています。axは、その機械学習とミドルウェア事業にフォーカスして、2019年に設立されました。

――axのAI事業における強みとは?

品部氏:LSIの開発で培ってきたハードウェアやソフトウェアの知見、要素技術の研究開発力は、AI事業でも大きな強みです。例えば、AIの「コンボリューション(畳込み)」処理は動画圧縮と技術的に近い要素があります。そういった知見を基に開発したミドルウェア「ailia SDK」を持っていることが大きな強みといえます。

アクセル ax(エーエックス)の品部仁志氏

――ailia SDKの特徴は何でしょうか?

品部氏:ailia SDKは、ディープラーニングのエッジ(端末)側での推論に特化したミドルウェアで、プラットフォームを問わずAIモデル(学習済みモデル)を簡単に組み込むことができること、GPUを最大限活用した高速な推論ができること、完全自社開発であることなどが特徴となります。オープンソースのフレームワークと違って、バージョンが上がっても互換性がほぼ保証され、弊社のみの許諾で製品化できる分かりやすいライセンスや、長期間にわたる継続したサポートが可能です。

ailia SDK 「ailia SDK」の特徴

――「簡単に」というのはどういった仕様によるものでしょうか?

品部氏:エッジAIでは、あらかじめサーバで学習を行った「AIモデル(学習済みモデル)」を組み込んだ環境を構築し、エッジ側のハードウェアで推論を実行します。AIモデルは大学や大手企業の研究機関、AIベンチャーなどから提供されており、無料で公開されているものが多数あるのですが、実際にそのAIモデルを組み込んで使おうとすると、さまざまな問題に直面します。

 言語がバラバラでプラットフォームごとに変換が必要だったり、ドライバ、ハードウェアとの依存関係が複雑だったりすることが原因ですが、ailia SDKを導入すれば、AIモデルをONNXという統一フォーマットで管理でき、ailia SDKのライブラリーだけで実行し、クロスプラットフォームのアプリケーション開発が容易に可能です。

――推論が速いというのは?

品部氏:GPUを積極的に活用することで世界最高水準の推論スピードを実現しています。同じハードウェアを利用した環境で、競合推論エンジンと比較して2倍の推論速度を実現した実証データもあります。ディープラーニングは演算の塊ですから、演算処理のアルゴリズムをどう組むかで性能が大きく違ってきます。当社はその道のスペシャリストを社内に抱えていますので、高速処理を実現できます。

ailia SDK ailia SDKでは、GPUを積極的に活用することで世界最高水準の推論スピードを実現しているという。マルチプラットフォーム環境でGPUを使った高速な推論が可能だ(アクセルの2019年度決算発表資料より引用)

――ailia SDKは、実際に何かのソフトに実装されていたりするのでしょうか?

品部氏:実績としては、セルシスさまが提供されている「CLIP STUDIO PAINT」の導入例があります。2019年7月のアップデートで実装された「スマートスムージング」という機能は、当社のailia SDKを使ったエッジAI処理で実現しています。

 画像の拡大などによって発生した荒れ(ジャギー)を軽減し、きれいな画像に変換するという機能です。セルシスさまは以前からCLIP STUDIO PAINTのAIモデルを自社開発されていて、従来はAI推論の演算処理をクラウドサーバ側でされていたのですが、ユーザー数も多いために、サーバの負荷が高く保守も大変だという課題があるとのことで、この機能ではailia SDKを利用いただいています。

CLIP STUDIO PAINT セルシスのペイントソフト「CLIP STUDIO PAINT」の「スマートスムージング」機能は、ailia SDKを使ったエッジAI処理で実現している(画像はアクセルのプレスリリースより引用)

さまざまなAI機能を簡単に試せるailia AI showcase

――ailia AI showcaseとはどのようなソフトですか?

品部氏:ailia AI showcaseは、ailia SDKを使用したデモソフトです。物体検出、画像分類、特徴抽出、骨格抽出、個人識別など、AIで実現できる機能を視覚的に確認することができます。

 例えば、「物体認識」では、画像や動画の中から「人」「バス」「車」などと、登録されているカテゴリー別に分類して表示します。「髪抽出」では、やはり映像から人の髪を検出して表示し、色を変えることができます。Webカメラ入力にも対応しているため、お客さまの実際の環境でリアルタイムにお試しいただくことが可能です。

 内部ではailia SDKを使用しているため、お試しいただいたユーザーさまには、動画やカメラ映像に対して高速にAI推論が実現されているのを確認いただけると思います。

ailia AI showcase 「ailia AI showcase」の画面。シンプルなUIで物体検出、画像分類、特徴抽出、骨格抽出、個人識別など、AIで実現できる機能を視覚的に確かめられる

――ailia AI showcaseがDEEP∞にバンドルされていますが、その狙いを教えてください。また、それによってどのような効果を期待しますか?

品部氏:当社としては、推論エンジンとして世界一のものを作るという意気込みで開発をしているのですが、現状はまだまだ知名度がありません。DEEP∞とのコラボレーションにより、AI開発、ディープラーニングをされる方に認知を高めたいという思いがあります。

――ailia AI showcaseは、単体販売されているのでしょうか?

品部氏:ailia AI showcaseについては、当社のデモ用として開発したもので、単体販売はしていません。今後アプリ公開などを行う可能性はありますが、現在のところは、DEEP∞の購入ユーザーさまにいち早く体験していただきたいと思っています。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2020年9月10日