LOCKERSTOR 4は2.5GBASE-Tポートを2基備えている。同時に使えば、最大で5Gbpsのスループットを発揮できる。2つのポートにLANケーブルを挿せば、クライアントPCで5Gbpsのスループットが出る……というわけではないものの、クライアントが増えた場合でもパフォーマンスが落ちにくくなることは、大きなメリットといえる。ユーザーの満足度も向上するだろう。
複数の有線LANポートを最大限に活用するための最も単純な方法は、運用による“分散”である。各ポートに別個のIPアドレスを割り当てて、クライアントごとにアクセスするIPアドレスを分ける、という手法だ。
10GbE PCと1GbE PCがアクセスするポート(IPアドレス)を別々にした上で、先ほどの同時アクセステストを実行してみると、分散によるパフォーマンス向上が確認できる。
1GbE PCで大量のデータをやりとりをしつつ、10GbE PCにおいてスピードテストを実行すると、シーケンシャルリードが毎秒250MB強、シーケンシャルライトが毎秒280MB強となった。逆に、10GbE PCで大量のデータをやりとりしつつ、1GbE PCにおいてスピードテストをすると、シーケンシャルリードが毎秒120MB弱、シーケンシャルライトが毎秒114MB強となった。
1GbE PCでは、1台ずつアクセスを行った場合と遜色のない読み書き速度を実現している。10GbE PCでは、1台ずつアクセスした場合と比べると毎秒28〜56MBの低下が見受けられるが、2台で1つのポートを共有した場合と比べると落ち込み幅が少なくなった。読み書き速度のボトルネックが、ネットワークの速度からディスクアクセスの速度に移ったものと考えられる。
クライアントごとにアクセスするポートを分けると、LOCKERSTOR 4に備わる2基の有線LANポートを気軽に有効活用できる。しかし、片方のポートにアクセスするクライアントと他方のポートにアクセスするクライアントで協働する場合、ファイルパスの共有において混乱をもたらす可能性がある。
多数のクライアントが存在する環境では、複数の物理ポートを論理的に1つにまとめて、クライアントから単一のIPアドレスでアクセスできるようにする「リンクアグリゲーション(ポートトランキング)」の利用をお勧めする。LOCKERSTOR 4では、環境に合わせて8つの方式のリンクアグリゲーションを利用できる。
最適な方式は、ネットワーク構成やクライアント数、利用方法などによって変わる。方式によっては、対応するスイッチを用意する必要もある。主な方式におけるパフォーマンスについては、以下のグラフを参考にしてほしい。
LOCKERSTOR 4には、SSDキャッシュ用のM.2スロットが2基搭載されている。今回のテストではSSDキャッシュを利用していないが、これまで見てきた通り、LOCKERSTOR 4とWD Red Plusの組み合わせでは、ネットワークの上限ぎりぎりまでのシーケンシャルリード/ライト性能を叩き出している。ファイルサーバへのアクセスはシーケンシャルが中心となるため、WD Red Plusを始めとする十分に高速なHDDを搭載すれば、後は高速なネットワーク環境を構築することで高いパフォーマンスを発揮できる。
先述の通り、2.5GBASE-Tなら1000BASE-T環境で利用されるCAT5eケーブルをそのまま利用できる。改めてケーブルを購入することなく、費用を抑えてより高速なネットワークストレージ環境を構築できるのは、コストパフォーマンスの面でも有利だ。中小規模のオフィスはもちろんのこと、写真や動画など大容量化の一途をたどるデータを保存するパワーユーザーのNASとしても力を十分に発揮できる。スマートフォンアプリで簡単にセットアップできることも、今どきはありがたいはずだ。
テレワークの普及に伴い、自宅やシェアオフィス/サテライトオフィスで使うPCのパフォーマンスに注目が集まっている。それと同様に、NASもパフォーマンスが重要だ。複数台のクライアントがある環境において高いパフォーマンスを実現するLOCKERSTOR 4は、NASの買い換え/買い増しに最適といえる。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2021年1月26日