―― ノートPCをこれからリプレースする場合、担当者はどのようなポイントに着目して選ぶべきでしょうか。
春日井氏 これまでの日本市場では、実は15型以上の画面の大きめなノートPCが一番の売れ筋でした。家庭向けモデルではこの傾向は特に強くて、ほぼ据え置きで使う前提ながら、たまになら持ち運べないこともないという絶妙なサイズ感です。
ただ、先に触れた通り、最近は携行性に優れる14型以下のモバイルノートPCに人気が集まる傾向にあります。一般的なビジネスパーソンなら、13型前後が一番使いやすいと思います。私たちがお勧めしてきた「モダンPC」の多くも、ここに含まれます。
私たちが定義するモダンPCとは、以下のような特徴を備えるPCです。
今どき、「携行性を重視するならタブレットやスマホで良い」という意見もあるかと思います。しかし、ノートPCは成果を“生み出す”側にもなれるということは忘れてはいけないポイントです。
「アプリを開発する」「動画を編集する」ことはもちろん、「企画書を作る」「原稿を書く」「数字をまとめる」といった作業も“何かを作っている”ということになります。これらを生み出すためには、キーボードやマウスを始めとする入力デバイスが重要なポイントとなるのです。
Windowsでは、「Windows 8」からキーボードやマウスに加えてタッチ操作やペン入力への対応を強化し始めました。Windows 8.1、Windows 10、Windows 11と世代が進むにつれて、これらの操作は洗練され、対応モデルも増えてきています。
さらに、Windows 11では「音声入力」における日本語認識能力が格段に向上しています。マーケティングという仕事柄、私も長い文章を書く機会が多いのですが、最初に草案を作るときは、キーボードをカタカタ打つよりも、口述筆記ではないですが、自分が話す声を入力した方が楽だと感じるようになりました。何より、肩も凝りません。在宅勤務のように周囲を気にしなくても良い場面では、こういう使い方もぜひトライしてほしいです。
私たちは「ナチュラル操作」と表現していますが、本来の人間的な感覚のままに入力操作が行える選択肢が多いことは、“モダンPC”を選ぶ理由の1つとなるのではないかと考えています。
―― Windows 11ではセキュリティ機能の強化も図られているそうですね。ユーザーにおける具体的なメリットは何でしょうか。
春日井氏 特に中小企業ではOS単体でもユーザーをしっかりと保護できることが大きなメリットです。追加のコストを払うことなく、高い水準のセキュリティを確保できます。ちなみに弊社の従業員が使うPCも、Windows標準のセキュリティ機能しか入っていません。
最近よく聞く「ゼロトラストセキュリティ」(※1)という観点では、Windows 11には多要素認証とデバイス属性を組み合わせたゼロトラストセキュリティ機能を用意しています。加えて、ハードウェアベースでの暗号化やマルウェア保護も実装しており、セキュリティには細心の注意を払っています。
(※1)エンドユーザーを「一切信頼しない(ゼロトラスト)」ことを前提に構築されたセキュリティ体制
最近は企業でもWebブラウザベースの業務システムが普及しています。そのこともあり、セキュリティ上の脅威の多くはインターネットを経由して入ってきます。弊社のWebブラウザでいえば、長らく使っていただいてきた「Internet Explorer」のサポートが2022年6月をもって終了します。
このことを踏まえて、Windows 11ではInternet Explorerが単体のアプリケーションとして利用できなくなっています。今後は、よりセキュアなWebブラウザ「Microsoft Edge」の利用を推奨していくことになります。
―― OSのアップグレードを考える際に、大きな障壁の1つとなるのがアプリケーションの互換性です。特に企業や団体固有のアプリケーションを使っている場合、それがWindows 11で正常に動作するのか、事前に確かめることが難しいケースもあります。日本マイクロソフトとして、事前に互換性をチェックするサービスは用意しているのでしょうか。
春日井氏 弊社では「Windows 10上で動作しているアプリケーションは、原則としてWindows 11でも動作する」と説明しています。
ただ、企業/団体独自のアプリについては、かなり古いバージョンのWindowsでの動作を想定して開発されたケースもあります。Windows 11へのアップグレードによって想定外の問題が発生する可能性もゼロではありません。
そこで弊社では、企業/団体独自のアプリのWindows 10/11に対する互換性を確保するお手伝いをする「App Assure」というサービスを「FastTrack」に内包する形で提供しています。利用には一定の条件がありますが、アプリのどこを修正すれば互換性を確保できるのか、担当者が直接アドバイスします。
アプリが正常に動作しない原因がWindows側にあると判明した場合は、弊社から米国本社の担当者に連絡し、Windows自体の修正を依頼します。
―― Webブラウザベースの業務用アプリには、Internet Explorerでないと動作しないというものもあります。どうすればいいのでしょうか……?
春日井氏 確かに、Internet Explorerベースの業務システムをどうすればいいのかという不安はあるかと思います。
先に触れた通り、Windows 11ではInternet Explorer自体をお使いいただくことはできません。しかし、Microsoft EdgeにはInternet Explorerとしてふるまう「Internet Explorerモード」が用意されています。このモードでは「Internet Explorer 11」と全く同じレンダリングエンジンを使うので、ほとんどのケースは対処できるはずです。
ただし、これはあくまでも“一時的な対応”です。Internet Explorerモードも、「2029年まで」と搭載期限をしっかり設けています。今からでも、利用しているWebアプリやWebサービスをWebの標準仕様に対応させることを検討していただきたいと思います。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2022年3月10日