―― セキュリティ機能についても国内ユーザーを意識されたそうですが、どのような点でしょうか?
新井氏 テレワークやビデオ会議の普及に伴ってセキュリティに対する意識が高まっており、それに対応したものになります。特に、Webカメラのハッキング対策として、物理的なプライバシーシャッターを搭載しています。
―― やはり物理的なシャッターが欲しいという声は多かったのでしょうか。
ウィニー氏 そうですね。ハードウェア的にカメラの電源を切る機能は以前から用意していましたが、やはり物理的に隠してくれた方が分かりやすく、女性の方からもシャッターがあった方がいいというお声をいただきました。
新井氏 その他にも、顔認証カメラに加えて、マスクをしていてもスピーディーなログインが行える指紋認証センサーの搭載、離席と同時にPCをロックするユーティリティー(Tobii Aware)も導入しています。さらに、TPM 2.0についても、ファームウェアTPMよりも強固なセキュリティを担保するハードウェアTPMチップを内蔵しています。
―― CPUにPBP 28WのCore i7-1280PまたはCore i5-1240Pを採用しています。PBP 15WのUシリーズの方が放熱設計がしやすく、軽量化もしやすかったと思いますが?
新井氏 確かにUシリーズの方が設計は楽になりますが、当社はゲーミングノートPCなどで実績があり、CPUの性能を引き出す冷却機構設計は得意とするところであります。その強みを生かせることと、お客さまにより良いパフォーマンスを提供したいという思いもあり、あえてUシリーズではなくPシリーズを採用しています。
第13世代CoreのCPUも発表はされていますが、一刻も早く日本のお客さまにお届けしたかったため、今回の製品は第12世代Coreプロセッサを採用しています。
―― 最新のIntel Evoプラットフォームにも対応していますね。
ウィニー氏 Intel Evoプラットフォームは、スペックなどに詳しい方でなくとも良い体験ができるPCを選べることを目的として、Intelが推進している認定プログラムです。認定を取得するには、さまざまな面で厳しい規定を満たす必要があります。その内容は、搭載CPU、軽さや薄さ、長時間バッテリーといった基本的なものだけでなく、スリープからの復帰時間、充電時間や充電方法、画面の明るさ、カメラの画質、マイクの音質など多岐に渡ります。
開発の各段階で、いろいろな計測ツールを使って検証するプロセスを挟むため手間はかかるのですが、ユーザーのみなさまのメリットも大いにあると思います。
―― 御社はゲーミングPCやクリエイターPCのイメージが強いですが、ビジネス向けPCにおける強みはどこにあるとお考えでしょうか?
新井氏 当社はゲーミングノートPCの開発で培ったノウハウをビジネスPCにも導入しており、冷却機構の設計、パフォーマンス面で強みを生かすことができます。ビジネスPCにも一層力を入れていきますので、ぜひご期待ください。
自社に工場を所有しており、企画/開発から製造/検査まで、自社で一貫してできる体制が整っているのも強みです。品質を高いレベルに保てるだけでなく、製造ロットの制限に縛られないため、お客さまのご要望にも柔軟に対応することができます。日本市場向けに新規に開発した製品をリリースすることができたのも、こういった体制があるからこそ実現できました。
CPUは上位モデルがCore i7-1280P(Pコア6基/Eコア8基、14コア20スレッド)、下位モデルはCore i5-1240P(Pコア4基/Eコア8基、12コア16スレッド)を採用する。第12世代Coreプロセッサのモバイル向けとしては、高性能なPシリーズのCPUだ
Intel Evoプラットフォームに準拠する。パフォーマンス、レスポンス、バッテリー駆動時間、画面やWebカメラ/マイクなども含めて、Intelが「良い体験ができるPC」と認めたPCであることを示しているPrestige 13 Evo A12M シリーズの内容を見ていくと、決して軽いだけの製品ではないことが分かる。Core i7モデルでも約21時間のロングバッテリー、豊富なインタフェース、PシリーズのCoreプロセッサの採用など、軽量化とはトレードオフになる要素も妥協なしに盛り込んでいる。
「国内カスタマーからのフィードバックを細かい部分まで反映させた」(新井氏)というだけあって、完成度は非常に高い。キーボードの配列、セキュリティ/プライバシーといった部分まで、文句のつけるところがない内容になっている。2種類のACアダプターが標準で付属している配慮もうれしい。
評価機を試用した印象も良い。約990g(実測で970.5g)の軽量ボディーは、横幅が30cm未満と、かつての11.6型クラスのノートPCに匹敵するコンパクトさも魅力だ。
「主張しすぎない」(新井氏)ことを意識したというデザインやカラーも好印象だ。指紋防止コーティングがされた表面はベトつかず、サラッとした触り心地に仕上がっている。
ビジネスアプリケーションの動作もサクサクだ。ファンの音がうるさいなどといったこともなく快適に利用することができた。
1kg未満のビジネスモバイルPCは、日本市場においては激戦区だ。ライバルも多いが、そこに割って入り、王道で勝負できる実力は間違いなくある製品に仕上がっている。ハイブリッドワーク向けに薄型軽量のモバイルPCを探しているならば、有力な候補になるだろう。
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