先述した通り、Chromebox Microはコンパクトだ。それに加えてファンレス設計なので、動作音がほとんどしない。オフィスでの利用はもちろん、病院や図書館といった静粛性を求められる環境でも業務用端末やキオスク端末として活用可能だ。
Chromebox Microの活躍の場は多岐に渡る。ゆえに「何でもできる」では困ってしまうケースもあるだろう。デスクトップPCとしての利用に加えて、オフィスの入口に設置する「案内用(キオスク)端末」や店舗の「サイネージ用端末」といった用途を特化して使う場合は特にそうだろう。
その点、ChromeOSでは利用者に対して特定のアプリやWebサイトの起動/閲覧のみ許可する「キオスクアプリ」設定が可能だ。設定はGoogle Workspaceの「Admin(管理)コンソール」から比較的簡単に行える。
例えばChromebox MicroをGoogle Meet用端末にしたいのであれば、当該端末にキオスク設定を行い、Google Meetアプリのみ起動する許可を与えればよい。
今回は分かりやすい例としてGoogle Meet用端末として仕立ててみたが、他用途のキオスク端末、あるいはデジタルサイネージ用端末として運用する際も応用可能だ。自動起動はChromeOSアプリやWebサイトの他、Chromeの「拡張機能」も指定できる。
他のOSでは、このような用途を限定するための設定を集中管理をしつつ行うことが難しく、場合によっては有料のアプリも用意しなければならないこともある。キオスク端末やデジタルサイネージに仕立てやすいのも、ChromeOSのメリットといえる。
ChromeOS端末は、Googleアカウント(企業の場合は「Google Workspaceアカウント」)さえあれば利用できる。しかし、企業として複数台のChromeOS端末を一斉に管理したい場合は、Google Workspaceのライセンスに加えて「Chrome Enterprise Upgrade(CEU)」という管理用ライセンスが必要となる。
CEUのライセンスには、企業(アカウント)にひも付くライセンスと端末にひも付くライセンスの2種類が存在する。企業にひも付くライセンスは任意のChromeOS端末に割り当てられるが、1年ごとにライセンス料金がかかる。一方で、端末にひも付くライセンスは当該端末以外にライセンスを移動できないが、端末が自動更新期限(AUE)を迎えるまで追加料金なく、クラウド経由で管理を行える。
通常、端末を長期間使う場合は、CEUライセンスが付帯する端末を買った方が費用面でお得になる。その点、Chromebox Microは「CEUライセンスなし」「CEUライセンスあり」の両方が用意されている。企業のニーズに合わせて、CEUライセンスの有無を選べるのは心強い。
CEUを使うとどんなことができるのか――今回は、Chromebox Microをキオスク端末として運用する際に便利な設定を中心に紹介しよう。
【インベントリ情報の自動収集】
企業でPCを管理するに当たって、非常に重要なのがインベントリ情報の記録作業だ。
従来のインベントリ情報の記録作業といえば、PCを購入したタイミングで管理簿に情報を記載して、どの社員に払い出したかを都度更新して管理する、というマンパワーに頼るケースが多い。しかし、これだとヒューマンエラー(ミスや更新の失念)が避けられず、情報の信頼性が揺らいでしまう
その点、CEUとGoogle Workspaceを組み合わせた場合、登録されている端末のインベントリ情報や利用者を自動で収集/更新できるようになる。そのため、インベントリ情報の登録/更新にかかる手間が大幅に削減できる。
【遠隔地に設置した端末をリモート管理】
キオスク端末を管理する上で、大きな課題となるのがトラブル発生時やメンテナンスの対応だ。
管理者がリモートで端末を操作する場合、新たにVPNを構築してリモートデスクトップを利用する事が定石だ。しかし、VPNやリモートデスクトップは、導入や運用にコストが掛かる。ゆえに、VPNを使わずにキオスク端末にグローバルIPアドレスを割り当ててリモートデスクトップ接続する運用を取るケースもある。しかし当然だが、この運用はセキュリティ上のリスクが大きい。
その点、ChromeOS端末でCEUを利用すれば、VPNを用意せずとも安全に遠隔管理ができる。インターネットにつながる環境さえあれば、Google 管理コンソールから「Chromeリモートデスクトップ」経由で画面も確認できる。コスト抑制と安全性を両立しやすい。ハードウェアの故障を除けば、完全なリモート対応で運用できるのは非常に魅力的だ。
Chromebox MicroとCEUを組み合わせれば、簡単かつ低コストに業務用端末を整備できる。超小型ボディーに高い拡張性を備え、ファンレス設計なのは魅力的だ。
従業員に貸与するPCやデジタルサイネージやキオスク端末の導入/運用にあたり、コストに困っている人は、この組み合わせをぜひ検討してみてほしい。
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