ST60Eは「Endeavor ST55E」(2022年発売)の後継モデルに位置付けられており、外観デザインは踏襲されている。CPUは第13世代(Raptor Lake)のCore i5-1335UまたはCore i3-1315U、ストレージはM.2 NVMe SSDに対応し、2.5インチSATA SSDと合わせて計2基を搭載できる。メモリーはDDR5-5200 SODIMMを採用しており、1スロットのみだが8〜32GBまで用意されている。
ボディーについては特に冷却設計に注目したい。カバーはそれ自体がヒートシンクの役割を果たす金属製だ。背面のネジ2つで固定されているのでメンテナンス性もよい。カバーを外すと次はストレージトレーが現れる。
このストレージトレーは2.5インチSSD/HDD用のもので3つのネジによって本体フレームに固定されている。ストレージトレーはボディー側、マザーボード側双方に熱伝導シートが貼られている。マザーボード側の熱をフレームに伝え、その熱を金属カバーへと逃がすためだ。
マザーボード上にはCPU、メモリー、M.2 SSDスロット、無線LANカードなどがある。CPU上にはノートPCでよく見るスリムかつ小径のファンと、銅製のヒートパイプを用いたヒートシンクが装着されている。メモリースロットは1基なので、動作モードはシングルチャネルとなり転送速度はデュアルチャネルの半分程度になるが、その分、省電力で発熱が小さい。M.2 SSDはDRAM(キャッシュ)レスの低発熱タイプだが、さらにヒートシンクを装着して熱対策している。
コンシューマー向けのミニPCの中には、より高性能のCPUを搭載するモデルもあるが、ST60Eは省電力CPUを採用している。また、コンシューマー向けのミニPCはプラスチックカバーのボディーを採用するケースがほとんどだが、ST60Eは金属カバーに熱伝導シートを介して熱を逃がす構造だ。ST60Eがビジネス用途を想定して何よりも安定動作を重視していることが伝わるだろう。
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