それでは今回の作例PCを、ベンチマークテストで性能を確かめよう。性能比較に用いられる主要なベンチマークと、いくつかゲームベンチマークを走らせてみた。
PCは基本的に万能なデバイスだが、用途別にどのくらいの性能なのかを評価するのがULのPCMark 10だ。PCMark 10のExtendedテストのスコアを見てみよう。
Essentialsはホーム用途でブラウジングやビデオ通話/ビデオ会議、アプリケーションの起動速度などで構成される。トータルスコアは1万1372ポイントで、1万点を超えたあたりから高性能と言えるので、この構成も十分に高性能だ。
Productivityはビジネス用途で、表計算と文書作成で構成される。こちらも1万1496ポイントと1万を超えている。オフィス系ソフトでもGPUを活用することがあり、グラフィックスカードを搭載するゲーミングPCはこういった用途も強力だ。
Digital Content Creationはクリエイティブ用途で、写真補正/映像編集に加え、データのビジュアル化という専門的なシナリオも用意されている。ここまでのシナリオの中では最もGPUを活用することもあって、1万6124ポイントとスコアもより高い。
Gamingは、次に紹介する3DMarkのテストの1つ、Fire Strike(相当)を実行している。グラフィックスカードを備えたゲーミングPCは当然だが、Gamingスコアが飛び抜けた格好になる傾向だ。スコアも2万9265ポイントと非常に高い。
次に同じULの3Dベンチマークである3DMarkをテストした。さまざまなPCのゲーミング性能を横断的に比較する際の指標として用いられる。
高スコアのもの、それと比べると低いスコアのものがあるが、これはGPU負荷が異なるさまざまなテストがあるためだ。快適さで見ると1万ポイントを超えるあたりが目安になる。Speed WayはDirectX 12 Ultimateで取り込まれたリアルタイムレイトレーシングなど、現状の最新映像表現をふんだんに用いるテストだ。
次のSteel Nomadはレイトレーシングを用いていないものの、DirectX 12のGPUにとってかなり高負荷なテストである。これらはかなりシビアなスコアになっているのは、GeForce RTX 5060 Tiがメインストリーム向けGPUであるためだ。
とはいっても、Steel Nomadの軽量版であるLightは十分なスコアであるし、Speed Wayよりは軽量だがレイトレーシングを用いるSolar Bay Extremeも1万点を超えている。なお、Solar Bay無印はスマートフォンを含むクロスプラットフォーム向けにかなり軽量に作られたレイトレーシングベンチマークなのでスコアが飛び抜けている。ゲーミングPCの3D性能評価向きではないが、スマートフォンとの比較をするならこのスコアが参考になるだろう。
ゲームベンチマークとして、ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークのスコアを紹介しよう。GPU負荷としては中量級だ。そのためWQHD(2560×1440ピクセル)までは最高品質でも60fpsを余裕で超える。
4K(3840×2160ピクセル)まで解像度を上げると、さすがに最高品質は60fpsを割り込むが、プリセットを1つ下げた高品質(デスクトップPC)で65.52fps(スコア的には1万を若干下回る)を得ている。
もう1つ、モンスターハンターワイルズ ベンチマークも見てみよう。GeForce RTX 50シリーズならフレーム生成にも対応しているが、そもそものGPU負荷が高いタイトルでもある。最高画質設定として「ウルトラ」が用意されているが、これはフルHDでも8GB超のグラフィックスメモリを要求する。つまり16GB版のGeForce RTX 5060 Tiかそれ以上でないと難しい。
といった理由から、ここでは画質設定「高」でのスコアを見ていこう。高画質設定であればWQHDもフルHDもともに平均100fpsを超えるフレームレートで快適に楽しめる。
ただし、高画質設定のフルHDでレイトレーシング「高」を適用すると、スコア&平均フレームレート上ではWQHD時より高いものの、映像全体を見るとカクつくシーンがいくつか出てくる。高負荷なシーンで瞬間的に30fpsを割り込むのだ。
このベンチマークテストの場合、スコア&フレームレートだけで判断するのではなく、映像全体を見た上でフレームレートの変化、60fpsを大きく割り込むことがないかどうかで画質設定を詰めていくと良いだろう。
このように、今回の構成でPCとしてはマルチに使える高性能PC、ゲーミングはフルHD〜WQHDで中〜高画質設定が可能といったパフォーマンスだ。据え置きタイプのコンシューマーゲーム機と異なり、高価だがより豊かなグラフィックスを楽しめるのがゲーミングPCだ。それもお金をかければかけるだけ向上する。
最高画質で4K超の高解像度、さらには120Hzや144Hzのリフレッシュレートといったゲーミングディスプレイと組み合わせたスムーズな映像など、「お金をかければかけただけ」の世界でもある。
「これよりまだ上があるんだ」という思いを次のアップグレードに続けていくのがゲーミングPCの楽しみ方だろう。あまりに長期間空けなければ、一部のパーツを使い回してアップグレードしていけるのも自作デスクトップPCの醍醐味(だいごみ)だ。いくつかの段階を経て真の姿に近づいていくというのも楽しめる。
まずは作例のPCをベースにして、予算や用途に応じてパーツをチョイスしてほしい。その試行錯誤する段階が最も面白いところでもあるからだ。
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