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価格も機能も最高峰のフラッグシップAVノート――「VAIO type A」を試すSanta Rosa×BD×WUXGA液晶(2/4 ページ)

ソニーのノートPCで最上位に君臨する「VAIO type A」は、“フラッグシップAVノート”のうたい文句を掲げる多機能かつ高機能なモデル。その実力に肉薄した。

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インタフェースは充実しているが、ドッキングステーションは廃止

 VAIO type Aはどのモデルを選んでも、本体の基本的な構造は同一で、有効131万画素のWebカメラ「MOTION EYE」やFeliCaポートといった、VAIOシリーズでおなじみの機能も実装済みだ。通信機能は、1000BASE-Tの有線LAN、IEEE802.11a/g/bの無線LAN(オーナーメードモデルでドラフト11n選択可)、Bluetooth Ver2.0+EDR、FAXモデムをそろえており、不満がない。

 各種の端子やカードスロット類の配置については、抜き差しする頻度の高いUSBポートが右側面の一番手前に2つ並べられ、ユーザーによっては使用頻度の低いIEEE1394端子や、S-Video、HDMI、アナログRGBの各映像出力端子は右側面奥のカバー内、そして抜き差しする頻度が最も低いと思われる電源コネクタやTVアンテナ入力は、USBポート1基とともに背面に回されている。メモリースティックやSDHC対応のSDメモリーカードスロットは前面に、PCカードやExpressCardのスロットは右側面にある。

VGN-AR73DBの前後

VGN-AR73DBの左右

 インタフェースは、有線LANの端子が右側面のカバー内にあることを除けば、おおむね合理的な配置だが、従来モデルでオプションとして販売されていたドッキングステーションは今回提供されず、従来モデル用のドッキングステーションを接続することもできなくなった点は注意してほしい。

 デスクトップ機よりも割高で拡張性も低い大型ノートPCをあえて選択するからには、たとえPCを使う机は決まっていても、常に据え置くのではなく、使わないときは机上を広くあけたいと思うユーザーもいるだろう。こうした場合にドッキングステーションが使えないことは利便性の面でマイナスポイントになる。それに、従来モデル用のドッキングステーションは、光学ドライブやHDDの増設にも対応できる優れものだったことからも、今回対応が見送られたのは残念だ。

ACアダプタは、外形寸法が66.5(幅)×155(長さ)×37(高さ)ミリ、重量が約575グラムと大振りだ(写真=左)。容量11.1ボルト 5200mAhの標準リチウムイオンバッテリで、約1.5時間駆動する(写真=中央)。底面のメモリスロットやHDDは、ネジを回してカバーを外すだけでアクセス可能だ(写真=右)

大型ボタンを生かした余裕のある操作性

 キーボードは19ミリピッチ/2.5ミリストロークの88キーを内蔵している。配置には無理がなく、タッチそのものは良好ながら、ベース部分の剛性感がやや乏しい印象だ。また、タッチパッドと左右のクリックボタンがキーボードから離れているので、キーボードで文字を入力しつつ、タッチパッドを扱うような作業はやりにくい。操作性を向上させたい場合は、別途マウスを接続するのがいいだろう。

 本体サイズが大きく、余裕がたっぷりあることから、キーボードの左右にはプログラマブルキーや電源スイッチといったボタン類が並べられている。2つ用意されたプログラマブルキーのSボタンは、初期状態では1つがTV視聴/録画ソフトの起動に、もう1つが前述の液晶ディスプレイ画質モードの切り替えに割り当てられているものの、どちらも11種類のプリセットから選んで割り当てを変えることも可能だ。

 製品にはTV視聴やWindows Media Centerの操作などに便利な赤外線リモコンが同梱されるが、キーボードの奥に並ぶボタン類でリモコン操作の一部を代用することもできる(リモコン受光部は本体に内蔵)。

キーボードとタッチパッドの間隔が通常のノートPCに比べて、かなり離れている(写真=左)。Sボタンの設定では、各ボタンごとに機能の割り当てを変更できるが、用意されている選択肢はどちらも共通だ(写真=中央)。任意のアプリケーションを起動したり、Sボタンをスリープボタンとして使うといった設定が選べる。赤外線リモコンが同梱される(写真=右/クリックで全体を表示)

上位モデルは録画した地上デジタル放送をBlu-ray Discへムーブ可能

 VGN-AR73DBを機能面からみると、地上デジタル放送の視聴や録画はもちろん、ハイビジョン対応ビデオカメラで撮影した映像の編集やオーサリング、さらには専用チップによる高品質な音楽鑑賞といったAV関連機能を充実させることで、他機種との差別化が図られた製品といえる。ここでは、今回アップデートされた機能を中心に、各機能の詳細を見ていこう。

 地上デジタル放送の視聴や録画は、従来通りピクセラ製ソフトの「StationTV Digital for VAIO」を用いる。リモコンに搭載された「VAIO」ボタンで起動できるほか、Windows Media Centerの画面から利用することも可能だ。一方で、Windows Media Centerのメニュー画面に用意されたアナログ放送の視聴機能は、本体内蔵のTVチューナーが地上デジタル放送専用のため利用できず、BSやCSの視聴にも対応しない。

 StationTV Digitalで録画した映像は、StationTV Digital上での再生に加えて、ネットワークメディアプレーヤーのルームリンク「VGP-MR200」と併用して、家庭内LANで接続された別の機器に配信することもできるが、約8分ごとに1Gバイトと転送量が膨大なため、保存しておきたい番組は、必要に応じてBlu-ray DiscやDVDといったディスクメディアへムーブするといいだろう。前者は録画時の画質/解像度のままBD-AV形式で、後者はSD解像度のMPEG-2へ再エンコードしたうえで、DVD-VR形式で書き込む仕様だ。保存したディスクは、市販のタイトルなどと同様に、DVD/Blu-ray Disc再生ソフトの「WinDVD BD for VAIO」で楽しむことができる。

 裏番組録画ができないなど、本格的な録画機として使うには制限が多く、アナログ放送の場合とは違い、録画済み番組の編集も行なえないため、リビングではなく書斎で個人的かつ手軽に楽しむ用途に限定されるだろうが、1層のBD-R/REメディアへなら2倍速で書き込めるようになり、従来よりも使い勝手は確実に向上している。あとはBlu-ray Discメディアがさらに安くかつ手軽に入手できるようになればいいのだが、これは本製品を含めた録画機の普及しだいということになるのだろう。

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